燃料費整単価の高騰で、地域の大手電力会社から他社の自由化プランに乗り換えた場合、安くならない場合があります!

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■この記事のポイント
燃料費の高騰
⚫︎燃料費の上昇により、電力会社を変更しても料金が安くならない可能性がある。
⚫︎日本はエネルギーを海外に依存しており、地政学リスクによる影響を受けやすい。
福島第一原子力発電所の事故
⚫︎2011年の東日本大地震後、津波により冷却機能が失われ、原発事故が発生した。
⚫︎津波による想定外の被害で、非常用発電設備が機能しなくなった。
非常用発電設備の問題
⚫︎防潮堤が不十分で、津波のリスクに対応できなかった。
⚫︎非常用発電設備は通常、津波のリスクを考慮して高所に設置されるべきだった。
コスト優先の問題
⚫︎安全を犠牲にしてコストを優先した結果、大規模な事故が発生した。
⚫︎原発の冷却用電源の非常用発電設備の計画は、安全よりもコストを優先するメーカーによって行われた。
太陽光発電の固定買取価格制度
⚫︎高額な買取価格が設定され、太陽光発電のコストが国民に転嫁されている。
⚫︎民主党政権下で太陽光発電の固定買取価格が高額に設定され、再エネ賦課金として国民に負担がかかっている。
原子力発電所の再稼働
⚫︎新規制により、再稼働が進む地域とそうでない地域で経済格差が生じている。
⚫︎太陽光発電事業の推進による問題が社会問題になっている。
火力発電とCO2排出
⚫︎原子力発電が少ないため、火力発電に依存しCO2排出が続いている。
⚫︎日本は国際的にCO2排出を減らす努力が不十分であると指摘されている。
政策と世代間の問題
⚫︎過去の政策が現在の世代に負担を残しており、電気料金の問題に対する理解が必要。
⚫︎高度経済成長期の原子力発電は、次世代に問題を残す形で進められた。
まとめ
⚫︎電気料金が自由化されても必ずしも安くなるわけではない。
⚫︎電力消費者は合理的な判断をする必要がある。
⚫︎エネルギー政策の複雑さと将来世代への影響、持続可能なエネルギーへの移行の重要性を理解することが求められる。

燃料費の高騰

 燃料費の上昇により、電力会社を変更しても料金が安くならない可能性があります。日本は産業やくらしに欠かせないエネルギーを海外に頼っています。

 エネルギーを海外からの輸入に頼っていると、戦争などの地政学リスクが発生した場合に、日本では指をくわえて見ているだけしかできません。

福島第一原子力発電所の事故

 2011年の大地震後、津波による被害で冷却機能が失われ、原発事故に至りました。

 2011年の東日本大地震で、福島第一原子力発電所は地震直後は安全に規程通りに停止しました。

 しかし、その後に想定の範囲を超えた津波被害で、原子力発電所の燃料を冷やす冷却電源用の電源が途絶え、非常用の発電設備は津波で浸水して発電することができなくなりました。
 その結果、熱エネルギーを発散し続ける原発燃料を冷やせず、燃料の温度上昇が想定の範囲を超えて、建屋内の空気中の水分の熱膨張を起こして水蒸気爆発し、建屋の外壁を吹き飛ばしたのです。
 その後も熱エネルギーを発散する燃料は、原子炉の内壁を溶かして、原子炉の下部に溶け落ちているとされています。
 冷やして管理下におくことができれば、爆発的な熱エネルギーで気化した作動流体で、発電用タービンを回転させ電力を発生させ、福島第1原発から離れた関東エリアに電力を届けることができるのです。

非常用発電設備の問題

 津波のリスクに対する防潮堤が不十分で、事故を防げませんでした。

 通常では非常用発電設備は設置計画で、弱点である津波に対して、建物の屋上付近などの高所に設置することを検討します。万が一が同時に複数重なっても対策を何重にもして、被害を最小限にして、発電を再開し東京電力管内に電力を届ける予定でした。

 これは結果的に原発事故に発展しましたが、非常用・防災用発電設備の研究開発に長年携わってきた経験から意見させていただくと、設備設計と設備付近の防潮堤対策が不十分であったと考察します。

 三陸沖は何度も津波が来ている場所で、万が一が発生した際に、安全に原子力燃料を冷却する目的のためには、非常用発電設備の防潮堤など、非常時に動作する目的を考えれば、さまざまなトラブルを想定して対策を過剰にしておくべきでした。

コスト優先の問題

 安全よりコストを優先して進め手柄にしようとした人物が組織内の倫理観の欠如の押し付けで、結果的に大規模な事故が発生しました。

 当時の非常用発電設備を計画を請け負い、津波で運転できなかったのは、最近になって行政処分されたことで分かった、安全よりもコストを優先していたメーカーでした。
 パワハラ問題が後で発覚して、自動車の出荷停止などの行政処分を受けていました。

 当時の非常用発電設備を請け負ったメーカーは、親会社の国内最大手の自動車会社から出向された役員が自身の手柄を上げるために、ものづくりのルールの信頼性工学としてあってはならない倫理観を捻じ曲げて、安全や確実に動作することよりもコストを重視し、開発部門に不正な方針変換を指示しました。
 当時に開発された自動車は、最近になって顕著に不正が明らかになりました。

太陽光発電の固定買取価格制度

 高額な買取価格が設定され、不安定な太陽光発電のコストが国民に転嫁されています。

 親会社から出向してきた役員が、会社風土をパワハラで捻じ曲げる方針がキッカケで、未曾有の大惨事に繋がりました。
 当時の世論は、非常用発電設備のリスク評価が甘かったにも関わらず、“原発事故が問題”、“再稼働反対”へ話がすり替えられていきました。
 当時の政権である民主党が、経産省の反対を強引に押し切って、太陽光発電を固定買取価格40円/kW•hという高額設定を10年間保証し、向こう見ずに制度化して電力を使う国民には再エネ賦課金という形で、補助金を国民に負担させる合意形成のないまま、五月雨式に特定の企業からの働きかけに、民主党政権がクリーンなエネルギーだと便乗したのです。

 実態は7円/kW•h程度でしか買い取り価値がない不安定な太陽光の電力を40円/kW•hで電力会社に買い取らせて、電力会社はその差額を再エネ賦課金として、消費する国民の電力使用料の項目で負担しています。
 短い運転期間の太陽光発電事業には高額すぎる補助金で、固定買取制度の期間を終えた発電設備の適切な処分方法などは決められておらず、短期間で大量の太陽光発電パネルが廃棄または、放置されています。

原子力発電所の再稼働

 新規制により再稼働が進む地域とそうでない地域で経済格差が生じています。

 10年以上経過した今では、原子力発電所の見直された厳しい新規制の認可が確認されて、徹底的な整備のもとで、再稼働している地域と、再稼働の目処が立たない地域とで経済格差が起きています。

 一方で太陽光発電事業を実利目当てで推し進めたため、太陽光発電所の設置場所の地盤が脆弱化して、土砂崩れなど災害が散発し、また古くなって処分しなくてはいけない太陽光発電機器が増加し始めて、社会問題になっています。

 関西電力のエリアは、一般家庭では自由化前の電力メニューが自由化電力価格よりも年間で数万安くなっています。

 これは、関西電力が原子力発電の電力供給割合が多く、火力発電の割合が小さいため、経産省への値上げの申請もありませんでした。

 ですが、産業は関西電力エリアだけに集中しているわけではないので、四国電力と九州電力を除くエリアでは、火力発電にたよわざる得ない厳しい現実が発生しており、燃料価格の高騰が電力価格に反映されて産業のコストが著しく上昇しています。

火力発電とCO2排出

 原子力発電が少ないため、火力発電に依存しCO2排出が続いています。

 原子力発電が稼働して給電できているエリアは少数派なので、海外から見ると日本は火力発電をやめず、CO2を増加させ続けていると、毎年開催されているCOPで指摘されています。

 輸出では、産業が火力発電由来のCO2をたくさん排出して、作った自動車などは欧州は評価が低く、低迷が続いています。

 私が個人的に考えるのは、当時の政権が原発事故の責任を東京電力に全て負わせて、弱体化させたことは良くないと思います。
 日本中から袋叩きを継続し弱体化しているため、再稼働の申請を出してもNG判定でいつまで経っても東京電力管内の産業界はコスト面で苦しい経営を継続しています。
 関西電力の再稼働の申請をいくつもクリアしてきたチームを東京電力に送り込んで、東京電力は関西電力に人材の交換留学で足りないことを学び、他の様々な問題は別にして、再稼働に向けて進めて欲しいものです。

再生可能エネルギーより原発稼働が財布には優しい

 全ての原発を停止した2011年は円が強く80円台でした。
 再生可能エネルギーで補助金率が格段に高い太陽光発電の発電出力は天候に左右されやすく、必要な電力を安定して確保するためには、電力調整用の火力発電所が欠かせません。
 再生可能エネルギーの固定価格買取制度の導入当初は、火力発電所で発電に必要な石油や天然ガスなどの化石燃料の購入価格は為替的に調達しやすい経済情勢でした。
 その後にコロナ禍の影響で全世界的に海上輸送が停滞した場合は、安定した燃料確保が難しくなりました。
 また、ロシアのウクライナ侵攻で石油と天然ガスの調達価格が上昇し、政府が激変緩和措置で補助しているのが現状です。

 地域の大手電力会社の火力発電の依存率が高いほど、高額な電力料金になっています。
 一方で原発の新審査に適合し稼働している原発が最も多い関西電力では、従量電灯Aが一般家庭向けで他社の一般的な自由化料金より数万円安くなっています。※ただし使い方にもよります。

政策と世代間の問題

 過去の政策が現在の世代に負担を残しており、電気料金の問題に対する理解が必要です。

 原子力発電は、高度経済成長期に当時の生活者の欲望を叶える無い物ねだりから生まれました。
 処理を考えずに消費するだけで、難しいことは次の世代に任せて、実利のみ得たいという人間の欲望が原子力発電です。
 これからの世代に強引に解決することを背負わせて、自分対の世代は無責任に消費して、政治の争いやマスコミに踊らされて、反対運動までする当時の世代の方もおられます。明らかにこれからの世代の足を引っ張っているのです。

 家事は洗濯機を使ってラクに済ませたい。
 仕事で疲れて帰ってきて、クーラーの効いた部屋で、冷蔵庫で冷えたビールを飲みながら、カラーテレビで野球のナイター中継を見る「電力の大量消費」が、当時のブームでした。
 無い物ねだりを一度してしまうと、さらに無理を口にするのは、人間の性です。

 今は、この世代が国民の1番のボリュームゾーンになっているため、彼らに合わせた政策になり、現役以下の世代は彼らの負の遺産(公共事業の赤字)の処理や、高額な社会保険料など、考えたら絶望しかありません。


まとめ

 せめて、電気料金が安くなる方法だけでもきちんと理解して、希望の持てるようになりましょう。
 電気料金が自由化されたからと、必ず安くなる状況ではありません。
 むしろ自由化された電力プランは従来の地域の大手電力会社の規制プラン(値上げ時に経産省の承認が必要)の方が安い場合が多くあります。
 問題は、電力を消費する消費者が、都合の良い情報に踊らされ、合理的な判断ができていないことにあります。実際に過去の使用電力から比較をしてみましょう。

 これらの問題がどのように連鎖しているか、エネルギー政策の複雑さと、それが国民生活に与える影響を考えましょう。
 将来世代への影響と、持続可能なエネルギーへの移行の重要性について建設的に考えましょう。

参考リンク

  1. 原子力規制委員会 原子力発電所の現在の運転状況
    https://www.nra.go.jp/jimusho/unten_jokyo.html
  • 作成:2024年4月8日
  • 文:能登健
  • 出典元:原子力規制委員会
  • 画像:ぱくたそ
能登 健
  • 能登 健
  • オフィスまちかど 代表
    大阪で活躍する消費者問題と、デジタル分野に詳しいファイナンシャルプランナー
     
    主にスマホ料金相談事業者として、消費者に寄り添った対応で、利用プランと支払い額の最適化を実施し、余分な支払いを削減している。
     
    化学プラント設備メーカー、産業用エンジンメーカーの商品開発(防災用発電設備)のプロジェクトリーダー・マネージャーなどを経て、現在に至る。

    社会課題を解決するために、問題と向き合い深掘りし、組織を横断して、時には政府に意見し、さまざまな問題に対応し、解決へ導くことをライフワークとしている。
     
    ファイナンシャルプランナー(国家資格:FP技能士)、情報処理技術者試験 初級システムアドミニストレーター(国家試験)、相続診断士(相続診断協会)、お客様対応専門員(消費者庁後援)、色彩検定2級(文部科学省後援)
    デジタル推進委員(デジタル庁)、食品ロス削減推進サポーター(消費者庁)