スマホのプランによって、音声通話品質の種類があるのをご存知ですか?

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■この記事のポイント
⚫︎スマートフォンのプランによって音声通話の品質が異なることをご存じでしょうか。VoLTE(ボルテ)は、4G/LTEネットワークを利用した高品質な音声通話サービスです。このサービスは、自然な音声でクリアな通話が可能であり、通信の混雑に影響されにくい専用の領域を使用しています。
⚫︎VoLTEを利用するには、両方の通話者がVoLTEおよび4G/LTEに対応したスマートフォンを使用して、4G/LTEまたは5Gの通信エリア内にいる必要があります。
⚫︎格安SIM(MVNO)のプランでは、低価格にするための特定の中継網を使用するため、VoLTEに比べて音声品質が劣る場合があります。音声通話の品質は、重要な会話をする際に特に重要であり、品質が悪いと誤解を招く可能性があります。
⚫︎iPhone6以降のモデルや、大手キャリアのバージョンアップを受けたAndroidスマートフォンは、VoLTEに対応しています。
⚫︎音声通話の規格は向上しており、無料通話アプリの使用が増えたことで、高品質な通話を体験する機会が減少しているかもしれません。音声通話無料の範囲内であれば、電話アプリでの通話を試してみることをお勧めします。すぐに通話が始まり、聞き取りやすい体験ができるでしょう。

音声通話の品質は向上しています

 スマホのプランによって、音声通話品質の種類があり、現在一般的に高品質とされているVoLTE(ボルテ)は、となりで会話しているかのような違和感のない音声で、聞き取りにくいことはありません。

VoLTEの特徴

 音声通話の仕組みが4G/LTEを前提に開発されたもので、音声の品質が以前のものより向上し自然な音声で聞き取りやすくなっています。

 音声通話中であっても高速通信が可能なことから、イヤフォンやスピーカフォンで通話しながらインターネット検索が可能です。

 発信から相手への着信までの時間が短縮されています。また音声の遅れも改善されているので、相手との自然な通話ができます。

 VoLTEは無料通信アプリのようなデータ通信の混雑状況に依存しにくいように、通信会社がVoLTEの音声データ通信専用の領域を確保しているので、安定した高品質な音声で通話ができます。

VoLTEが使える条件

 このVoLTEは、①通話する双方がVoLTEと4G/LTEに対応しているスマホで、大手キャリアの②VoLTE対応プラン等で、③標準の電話アプリで通話した場合に限ります。

 ④3Gの通信エリアではVoLTEは使えません。※現状はドコモ以外は3G通信サービスを終えているので、au、ソフトバンク、楽天モバイルの方は現状で使える可能性が大きいです。

 ①〜③に対応しているかご自分で確認するようにしてください。※店舗では問い合わせに対して別途料金が発生する場合があります。

 格安SIMと呼ばれるMNVOの通話プランでは、VoLTEで発信するものの低価格を実現するための中継網を使って音声通信をしていることで、品質がVoLTEよりも劣るものが多くあります。

VoLTE音声通話品質にならない例

 格安SIMと呼ばれるMVNOのなかには、音声通話の発信は専用のアプリを使用しなければ通話料金が安くならなかったり、定額制の対象にならない場合があります。

 音声通話発信専用アプリは、プリフレックスと呼ばれる電話番号の前に4ケタから6ケタの数字をつけて、低価格になるように特定の中継網を通り発信した相手につながります。

 この時の発信はVoLTEですが、特定の中継網で音声の品質が普通の音声通話に変換されるために、遅れが生じ、1世代前の音声のような品質になります。

⚫︎プリフレックス発信のイメージ
発信側(VoLTE)…→中継業者(普通の音声に変換)…→着信側(普通の音声)

 2021年4月以前は、標準の電話アプリで発信履歴を見れば相手先の電話番号の前に4ケタから6ケタの数字が追加されていて、VoLTE通信か中継網を使っているプリフレックスかが簡単にわかっていました。
 2021年4月以降は格安SIMのMVNOの競争力を強化するため、大手通信会社側でプリフレックス番号をつける事が可能になりました。
 そして消費者の操作性や利便性を向上したのですが、通話の音声品質を求める方には契約前に約款でよく調べなければプリフレックスかVoLTEなのかわからなくなりました。
 一部のMVNOの通信会社は、プリフレックス用の電話発信アプリを継続して利用しています。

 格安SIMは消費者が自ら調べてネット上で契約することが多く、契約してからしばらくして“電話の音声が以前より悪くなったのかな?”、“少し聞き取りにくい時がある”などに気がつきますが、そのまま使うことが多いと思います。

 なぜなら、自分自身がVoLTE等の音声品質がよいスマホで該当プランに加入していたとしても、相手のスマホがVoLTE等に対応している本体またはプランでなければならないからです。

通信会社のVoLTEとプリフレックス通話の一覧表

 通信会社(MNO)と、通信回線網を借りている通信会社(MVNO)の大手の音声通話品質をまとめました。
 MNOは、サブブランドを含めて、当然ですが全てのプランでVoLTEに対応しています。
 MVNOは、表向きはVoLTEを使っている説明があったりしますが、プリフレックスを利用している場合が多く、約款をよく確認しなければわかりません。

MNO/
MVNO
通信会社の名称利用している
通信会社網
標準プランの
VoLTE対応
通話定額等の
VoLTE対応
MNOdocomoD(自社回線)
MNO┗ahamo
 ※docomoオンライン契約専用
D(自社回線)
MNOauA(自社回線)
MNO┣UQ Mobile
※auサブブランド
A(自社回線)
MNO┗povo
 ※auサブブランド
A(自社回線)
MNOSoftBankS(自社回線)
MNO┣Y!mobile
※SoftBankサブブランド
S(自社回線)
MNO┗LINEMO
 ※SoftBankサブブランド
S(自社回線)
MNO楽天モバイルR(自社回線)
MVNOOCNモバイルONE
※新規契約終了
D××
MVNOIIJmioD/A×
MVNOmineoD/A/S×
MVNO日本通信D
MVNOHISモバイルD
MVNOイオンモバイルD/A××
MVNONUROモバイルD/A/S××
MVNOBIGLOBEモバイルD/A/S××
MVNOJ:COMモバイルA
※通信会社の表記 D:docomo、A:au、S:SoftBank、R:楽天モバイル
※○はVoLTE、×はプレフレックスのためVoLTEにはならない。

なぜ、音声通話の品質が大事なのか

 スマホで、大切な会話をしていて相手の言葉が聞き取りにくい、またはこちらの声が聞き取りにくい場合があれば、それだけで不快な気持ちになりませんか?

 最悪の場合は、会話の大切な部分が聞き取りにくいことで、勘違いして伝わってきて、あとで話が違うといったこと発展しかねません。

無料通話アプリの仕組みとは違うの?

 LINEや楽天リンクの無料音声通話で、相手の声が高くなったり、少し遅れたりと聞き取りにくくなるときがありますよね。

 それはLINEや楽天リンク、iPhoneのFaceTime、Instagram、オンライン会議アプリなどはデータ通信の状況に応じて音声の品質が変化するからです。

 VoLTEは通信会社が音声データ通信専用の領域を確保しているので、通信の混雑に関係なく安定した音声で通話ができます。

 LINEやSNSなどの無料アプリの通話は、通信量を消耗しますが、VoLTEの音声通話は通信ですが通信量のカウント対象外です。

どのスマホが対応しているの?

 iPhoneはiPhone6以降で通信キャリアのバージョンアップしていればVoLTEに対応しています。

 Androidスマホの場合は、スマホメーカーが直接販売するケースが最近になってからで、どこの大手4社のVoLTEに対応しているかは仕様に記載しています。

 通信会社で販売されているモデルは、他の通信会社での利用を前提としていませんので、他社やMNVOに乗り換えた場合は、VoLTEが利用できるかは動作保証対象外になっています。

 さらに、Androidスマホの場合は、MNVOの VoLTEを使う場合に設定が必要になることもあります。

 VoLTEの音声品質を求めるのであれば、私は個人的にiPhoneをご利用されることをお勧めします。


まとめ

 通信回線が4Gから5Gに移りつつある今、実は音声通話の規格が向上されていたのをご存知ない方が多いと思います。

 これは、無料通話メッセージアプリのLINEやSNSアプリで通話する事が増えたためで、高性能化したスマホ間での通話を体験する機会が減ったからだと思われます。

 せっかくなので、音声通話無料があればその範囲内で電話アプリで通話をしてみてください。すぐに呼び出しが始まり、かなり聞き取りやすくなっていますよ。

  • 作成:2024年4月30日
  • 著者:能登 健
  • 出典元:ドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、楽天モバイル、総務省
能登 健
  • 能登 健
  • オフィスまちかど 代表
    大阪で活躍する消費者問題と、デジタル分野に詳しいファイナンシャルプランナー
     
    主にスマホ料金相談事業者として、消費者に寄り添った対応で、利用プランと支払い額の最適化を実施し、余分な支払いを削減している。
     
    化学プラント設備メーカー、産業用エンジンメーカーの商品開発(防災用発電設備)のプロジェクトリーダー・マネージャーなどを経て、現在に至る。

    社会課題を解決するために、問題を深掘りし、組織を横断して、時には政府にあかんし、さまざまな問題に対応し、解決へ導くことをライフワークとしている。
     
    ファイナンシャルプランナー(国家資格:FP技能士)、情報処理技術者試験 初級システムアドミニストレーター(国家試験)、相続診断士(相続診断協会)、お客様対応専門員(消費者庁後援)、色彩検定2級(文部科学省後援)
    デジタル推進委員(デジタル庁)、食品ロス削減推進サポーター(消費者庁)