著名人を使った投資詐欺にご注意ください! 騙されないための重要ポイントを確認しましょう。
■この記事のポイント
⚫︎NISA制度の変更点
2024年から、NISA(少額投資非課税制度)の期間条件が撤廃され、NISA枠内での株式や投資信託からの利益が非課税になりました。以前は、これらの利益に20.315%の税金がかかっていました。
⚫︎NISA対象商品:
① つみたて投資枠:長期積立・分散投資など、金融庁基準を満たした投資信託。
② 成長投資枠:国内外の上場株式やその他の投資信託。
⚫︎NISA対象外の金融商品
NISA対象外の金融商品は従来通り課税され、例えば現金預金の金利や実物の金や銀の売買利益、暗号資産の利益は最大55%の累進課税、国内FXは申告分離課税です。
⚫︎投資詐欺への警告
NISA新制度に便乗した投資詐欺に注意が必要で、特にLINEグループでの「特別な投資情報」の提供をうたう詐欺が増加しています。
⚫︎金融機関からのNISA口座開設・移管の勧誘
NISA口座は一つの金融機関にしか指定できず、開設や移管の際には金融機関から税務署への承認が必要です。自社の投資信託を勧める金融機関には注意が必要です。
⚫︎金融リテラシーに学びが足りない日本
日本人の間違った金融リテラシーが投資失敗の原因となっており、正しい情報を得て無駄な出費や手間をかけないことが重要です。年金の財源は現役年金納付世代の社会保険料と税金から拠出されています。正しい情報に基づいた個人の経済設計が求められます。
※この記事は投資その他を勧誘または勧めるものではありません。
新NISAとは
新NISAをひとことで説明すると非課税制度です。
以前より期間条件があった制度が、2024年1月からNISA(少額投資非課税制度)の期間条件が撤廃されました。
これにより、NISA枠内での株式や投資信託からの利益は非課税となります。以前は、これらの利益には20.315%の税金がかかっていました。
政府は国民が金融被害に合わないための情報周知のために、どこの金融機関にも属さない認定アドバイザーの制度を用意していますが、実際はNISAの制度変更には間に合ってません。
これが投資詐欺が急増した最大の要因と、私は個人的に考えています。
NISA対象商品
まず、新しいNISAの制度について知っておきましょう。将来老後に備えておくための資金作りとして、1,800万円までの投資枠で得た利益を非課税にしています。
- つみたて投資枠:長期積立・分散投資に適した特定の投資信託が対象です。
※金融庁の基準を満たした投資信託に限定されています。
- 成長投資枠::国内外の上場株式やその他の投資信託が対象です。
⚫︎出典元:金融庁
NISA制度対象外の金融商品など
NISA対象外の金融商品は従来通り課税されます。
例えば、現金預金の金利や実物の金や銀の売買利益、暗号資産の利益は最大55%の累進課税、国内FXは申告分離課税です。
NISAの制度変更に便乗して、怪しい暗号資産の取引の持ちかけや、FXの自動利益確保ソフトの購入勧誘など、将来老後の生活資金が足りなくなると不安をあおり、詐欺的な手法での被害が急増しています。
ちなみに、将来の不安をあおって契約をさせた場合は、消費者契約法では無効取消を主張することが可能です。
投資の基本
金融商品を決定する際に考慮しなくてはならないのは、収益性、安全性、流動性です。
収益性、安全性、流動性の全てを兼ね備えている金融商品は存在しません。もし有ると勧誘を受けた場合は間違いなく詐欺商品です。
リスクを抑えることを目的とした投資手法として長期投資、積立投資、分散投資などがあります。
投資の基本は、①長期運用で一喜一憂せず長期間で考えること、②配当利益の再投資での複利運用で資産元本を増大させていくことが基本です。
NISA新制度に便乗した投資詐欺にご注意!
- 著名人を騙る詐欺が増加中。特にLINEグループでの「特別な投資情報」の提供をうたうものには警戒が必要です。
- これらのグループには実際には何の価値もなく、参加するための会費を騙し取る手口です。
- 著名人が登場する投資情報は、招待制のLINEグループやSNSグループで行われることが多いです。これらは詐欺の可能性が高いため、関わらないようにしましょう。
もし怪しい勧誘を受けた場合は、興味がないことをはっきり伝え、勧誘を拒否したにも関わらず勧誘が継続した場合は警察に通報してください。
対面にて勧誘を受けて、拒否後の勧誘継続にはこっそりとスマホで警察に電話をしておきましょう。
警察に投資詐欺勧誘の会話が筒抜けになり、警察が駆けつけてくるでしょう。
金融機関からのNISA口座開設・移管の勧誘
- NISAの口座は一つの金融機関にしか指定できません。
NISAの口座を開設や移管の際には、金融機関から税務署への承認が必要です。
NISAの口座は一つしか保有できないことを考慮すると、口座手数料や購入手数料が発生する金融機関は避けた方が良いでしょう。
- 自社の投資信託を勧める金融機関には注意が必要です。
銀行などが勧める自社の金融商品は、信託手数料などが高く設定されていることが多く、金融機関の利益を優先する商品である可能性があります。
- 金融機関の融資担当者が、事業取引に関係のない個人向けの制度であるNISAのパンフレットをちらつかせるなどのほのめかして、あたかも条件であるかのように忖度させるような事業取引を誘導する行為は、公正取引委員会が禁止している「優越的な地位の濫用」にあたる可能性があります。
融資をしている銀行からは、「にらみ資産」と呼ばれ、事業取引をしてる間は引き出すことができません。
まとめ
投資のキーワードに、日本人は間違った認識を持っていたり、金融リテラシーがないが故に著名人や大手や馴染みの金融機関からの話を鵜呑みにして、大切な将来への経済設計を失敗することになります。
例に挙げると、多くの高齢者である老齢年金受給者は、自分たちが積立てた年金額を返してもらっていると思い込んでいます。
これは戦後のハイパーインフレまではその通りでしたが、その後はその時点での年金の受給者数と年金納付額を、その時点での年金納付世代の平均給与の半額を給付しています。
年金の財源は、その当時の現役年金納付世代が納めている社会保険料と税金から拠出されています。
すなわち、年金受給者は年金納付者に頭が上がらないはずなのですが、事実を確認することなく、古い破綻した話を持ち出して、自己暗示だけならまだしも周囲に高圧的に他人から何となく聞いたデマを広めています。
「調べないので決められない、正解もわからない、誰もわからなくても大丈夫だから平気だろう」このように思考停止したことで、調べて行動する人に疎外感を与え、今の日本の国際競争力を低下させたのです。
これが日本人の金融リテラシーのレベルと考えると、金融機関の担当者や詐欺グループは、赤子の手をひねるように簡単に騙せることが容易にわかります。
これからの超高度情報化社会を生きていくためには、正しい情報にいかに辿り着き、無駄な出費や手間をかけないかがポイントになります。
※この記事は投資その他を勧誘または勧めるものではありません。
参考リンク
- 金融庁 未来を育む資産形成 NISA:
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/
- 作成:2024年6月28日
- 著者:能登健
- 出典元:財務省、金融庁、国税庁、国民生活センター