【景品表示法違反の不当表示の措置命令→返金無し→課徴金】 LINEモバイルのTVCMを鵜呑みにしてはいけない

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 TVのCMで催眠商法のごとく“LINEモバイルの月額300円から”使えると宣伝しているので、果たしてどのような使い方で月額300円になるのかを調査しました。

 この内容に端を発して、令和元年7月2日に公正取引委員会から景品表示法の不当表示の優良誤認、令和元年12月27日に、公正取引委員会がLINEモバイル株式会社に対して、不当表示の違反であったにも関わらず、消費者への返金に応じなかったため、課徴金納付命令に至ったものです。

追記:令和元年7月2日、令和元年12月27日

◎リンク:消費者庁:LINEモバイル株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について(令和元年7月2日)
消費者庁:LINEモバイル株式会社に対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について(令和元年12月27日)

① LINEフリー(データ1GB)

 LINEの音声通話、トーク、画像と動画の送受信、タイムラインのみデータとしてはカウントされなく、データを使い切っても利用が可能。※トーク内のライブ動画配信閲覧、外部リンクへの接続は対象外。
※高速と低速の切り替えは不可能で使い切り、追加で高速容量を追加購入しなければなりません。

  • データ通信のみ:月額500円
  • データ通信のみ(SMS付き):月額620円(SMSは都度料金発生)
  • 音声通話:月額1,200円

② コミニケーションフリー(3GB)

 LINEフリーに加えて、以下のSNSのサービスがカウントされなく、データを使い切っても利用が可能。※外部リンクへのアクセスは対象外。
⚫︎Twitterのタイムライン閲覧、ツイート(画像も含む)、ダイレクトメッセージ ※動画閲覧は対象外。
⚫︎facebookのタイムライン閲覧、画像・動画投稿、コメント、お知らせ ※facebook Live、Messengerの利用は対象外。
⚫︎Instagramのタイムライン閲覧、画像・動画投稿、アクテビティ、ダイレクトメッセージ
※高速と低速の切り替えは不可能で使い切り、追加で高速容量を追加購入しなければなりません。

  • データ通信のみ:プランなし
  • データ通信のみ(SMS付き):月額1,110円(SMSは都度料金発生)
  • 音声通話:月額1,690円

③ MUSIC+(3GB)

 コミニケーションフリーに加えて、LINE MUSICの音質-中での利用に限りカウントされなく、データを使い切っても利用が可能。※LINE MUSICの月額利用料はプラン料金には含まれておりません。別途費用が必要です。
※高速と低速の切り替えは不可能で使い切り、追加で高速容量を追加購入しなければなりません。

  • データ通信のみ:プランなし
  • データ通信のみ(SMS付き):月額1810円(SMSは都度料金発生)
  • 音声通話:月額2,390円

特定条件での3ヶ月だけのキャンペーン

 月額基本料には300円の表記はありませんでした。
 これは①と②の音声通話がキャンペーン適用時に3ヶ月間に限り月額基本料が300円なるキャンペーンでした。
 また音声通話には12ヶ月間の期間縛りがあり、それまでに解約する場合は9,800円の解約手数料が請求されます。

 いわゆる格安SIMと呼ばれるMVNOは、大抵高速と低速の切り替えスイッチがあり、低速に限っては無制限のものが多く見られます。これは高速通信容量を節約するためで、不急の通信には低速を使うことで、少ない高速通信容量を比較的安価で利用することが可能です。※LINEモバイルには切り替え機能はありません。
 また低速モードでもLINEやSNS、音楽ストリーミング配信限っては若干の遅延があるが利用は問題なく可能です。


まとめ

 このような月額300円のような圧倒的に低価格(実はキャンペーン価格)を前面に訴求し、消費者を誤認させるような広告は好ましくない。
 消費者は他のいわゆる格安SIMと呼ばれるMVNOのサービスや料金も比較検討した方が良い。

 高速容量が少ないことや、低速モードの安定性で本当に消費者個々の生活スタイルにあったサービスを見つけることはなかなか難しいものである。
※価格やサービスは平成31年2月26日時点のものです。

  • 作成:平成31年2月26日
  • 文:能登 健
  • 出典元:LINEモバイル
  • 画像:ぱくたそ、いらすとや

 本件は執筆と並行して、関係行政機関へ通報した内容です。
 後にLINEモバイルのTVCMは「個人の感想です」と強調した内容に変更しています。
 消費者は、このような困惑する誇大広告からは、常に守られるべきであると考えます。

追記:令和元年9月

能登 健
  • 能登 健
  • オフィスまちかど 代表
    大阪で活躍する消費者問題と、デジタル分野に詳しいファイナンシャルプランナー
     
    主にスマホ乗換相談事業者として、消費者に寄り添った対応で、利用プランと支払い額の最適化を実施し、余分な支払いを削減している。
     
    化学プラント設備メーカー、産業用エンジンメーカーの商品開発(防災用発電設備)のプロジェクトリーダー・マネージャーなどを経て、現在に至る。
    課題を解決するために、問題を深掘りし、組織を横断して、さまざまな問題に対応し、解決へ導くことをライフワークとしている。
     
    ファイナンシャルプランナー(国家資格:FP技能士)、情報処理技術者試験 初級システムアドミニストレーター(国家試験)、相続診断士(相続診断協会)、お客様対応専門員(消費者庁後援)、色彩検定2級(文部科学省後援)
    デジタル推進委員(デジタル庁)、食品ロス削減推進サポーター(消費者庁)