新型コロナとの付き合い方【×ソーシャル・ディスタンス→◎フィジカル・ディスタンス】

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 新型コロナのウイルスの感染抑止には、人と人の間に十分な距離を保つ「ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の確保)」が重要とされますが、4月下旬頃からフィジカル・ディスタンシング(身体的・物理距離の確保)と言い換える動きが出てきています。

 そもそも、「ソーシャル・ディスタンス(社会的距離の確保)」を発信したのは、世界保健機関(WHO)です。
 「社会的に距離を確保」と想像すると、物理的な距離の確保はもとより、社会的に距離感をとって、人とのつながりが減少して、社会的孤立が生じる恐れがあることから、世界保健機関(WHO)では「身体的、物理的距離」を意味する「フィジカル・ディスタンス」に言い換えるよう推奨しています

 「身体的・物理的な距離を確保する」の場合は、「社会的なつながり」を物理的な距離を確保して会話したり、遠く離れていても電話や手紙、ビデオ対話など、普段の生活で利用している情報伝達技術(ICT)を使うことで、社会的な孤立が生じることは、ほぼありません。

「社会的な孤立がほぼ生じない」と上記に述べた注意すべきポイントを説明します。

 新型コロナウイルス感染抑止対策で、生活様式が変化する過程において、一時的に経済活動が停滞しました。
 政府から緊急事態宣言が発出され、自粛要請で周辺の様子が一変したことによる混乱で、冷静な判断ができなくなり、普段であればさまざまな課題に対応できていた方々が、今回の自粛を「社会的孤立」と勘違いして、何も調べないまま苦しい立場に追い込まれ、強い不安やストレスを感じた方々がおられたからです

 情報を自分自身の中で理解しておかなければ、大変な事になるのですが、残念ながら、マスコミや一般的な場面では、未だに「ソーシャル・ディスタンス(社会的距離の確保)」の言葉を使用しており、日々変わる状況に対応や更新する事なく、疑いもなく誤解を招く言葉の使用が散見されます。
 このことは、記者の池上彰さんが自身が司会するテレビ番組で危惧されていました。

 世界保健機関(WHO)では、「ソーシャル・ディスタンス(社会的距離の確保)」ではなく、「フィジカル・ディスタンス(身体的・物理的距離の確保)」が重要であることを説明しています。
 また、さまざまな資料で「フィジカル・ディスタンス」の理解の重要性を説明しています。


まとめ

 「ソーシャル・ディスタンス」や、「社会的距離の確保」を使用している方やマスコミ、施設は、情報の正しい上書き(更新)ができておらず、最新の感染抑止の理解が十分でない恐れがあるため、事態が収束するまでは、適度な距離感を保ち、あまり関わらないようにする事が望ましいと考えます。

 新型コロナウイルスの感染抑止対策の情報は日々変化しており、誰も正解がわかっていません。
 だからこそ誤解を招く言葉や、頑なな古い情報の使用は、感染抑止対策が不十分なだけではなく、ほかの弊害を生じさせてしまう恐れがあることを、周囲の方々とよく話し合いましょう。

参考リンク

  • 作成:令和2年6月9日
  • 文:能登 健
  • 出典元:世界保健機関(WHO)
能登 健
  • 能登 健
  • オフィスまちかど 代表
    消費者問題と、デジタル分野に詳しい、大阪で活躍するファイナンシャルプランナー
     
    主にスマホ料金相談事業者として、消費者に寄り添った対応で、利用プランと支払い額の最適化を実施し、余分な支払いを削減している。
    不当な契約があれば解約の上、行政の消費者相談窓口を案内している。
     
    化学プラント設備メーカー、産業用エンジンメーカーの商品開発(防災用発電設備)のプロジェクトリーダー・マネージャーなどを経て、現在に至る。

    社会課題を解決するために、問題と向き合い深掘りし、組織を横断して、時には政府に意見し、さまざまな問題に対応し、解決へ導くことをライフワークとしている。
     
    ファイナンシャルプランナー(国家資格:FP技能士)、情報処理技術者試験 初級システムアドミニストレーター(国家試験)、相続診断士(相続診断協会)、お客様対応専門員(消費者庁後援)、色彩検定2級(文部科学省後援)
    デジタル推進委員(デジタル庁)、食品ロス削減推進サポーター(消費者庁)