【停電対応】 大規模災害などの停電時に、非常用発電設備を運転させる場合の注意事項
東日本大震災から10年が経過しつつある2月13日深夜に宮城、福島両県で最大震度6強を観測した地震で、大規模な停電が発生しています。
消防法や建築基準法、火災予防条例で設置が義務付けられている非常用発電設備は、火災発生時に停電が発生して、非常誘導灯やスプリンクラーのポンプへの非常用専用電源への給電を目的とする、火災停電時に人が建築物から退避するまでの防災設備です。
大規模災害などが発生して、長時間停電により救助や避難施設での給電の需要がある場合は、専門技術者等が手動にて給電運転などが可能です。※火災発生時には本来の防災運転が可能である事が前提です。
専門技術者等が必要な理由
大規模災害時後の停電は長時間化する可能性が多く、非常用発電設備で発電する場合は、発電設備の発電容量や負荷投入率の許容値、2次側の給電する負荷機器の電力消費計算による燃料消費予測や燃料調達計画が必要です。
発電機を駆動させるディーゼルエンジンの燃料には、ディーゼル軽油、灯油、LSA重油、A重油などの指定燃料があり、追加給油する燃料種別を誤ると重大な故障が発生する場合があります。必ず指定燃料を使用してください。
ディーゼルエンジンは構造上、燃料がなくなり燃料系統に空気が入った後に給油しても、エンジンはかかりません。必ず燃料消費計算や油量計の確認など計画的に運転を実施してください。
ディーゼルエンジンの燃料がなくなり、燃料系統に空気が入り込み、給油した後の空気を抜く対処などは、下記を参考に専門技術者などが必ず実施してください。
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まとめ
非常用発電設備は建築物や施設などの個別の防災計画に基づき設置されているため、発電容量、非常用の負荷機器への給電、燃料タンク容量、吸排風設備、排気管、外部燃料配管など複雑な計画のものとに計画設計されています。
運転時はキュービクル内は高温になり、エンジンにはラジエーターファンや、それを回転させるためのファンベルトが高速で回転しており、多数の安全確認が可能な専門知識を必要とします。
運転させる場合は必ず専門技術者などが実施しなければ、発電設備全体に重大な故障が発生して発電が行えなくなる場合があります。
必ず専門技術者(電気主任技術者、自家用発電設備専門技術者など)が運転するようにしてください。
- 作成:令和3年2月15日
- 文:能登健
- 出典元:ヤンマー株式会社、一般社団法人 日本内燃力発電設備協会
- 絵:いらすとや