【分割購入注意】 スマホの長い分割支払期間は、行き過ぎた囲い込みで、通信会社の選択の障壁に
AppleのiPhone12シリーズがいよいよ全機種(iPhone12ProMaxとiPhone12mini)が出揃いました。
Appleのメーカー希望小売価格と、通信キャリアの代理店などの割高な価格設定を比較してみると、36回や48回などの長期間分割支払いで、さらに他社への転出を防ぐためにSIMロックをしています。これでは行き過ぎた囲い込みをしてるように見えます。
iPhoneにみる実質負担額の実態
通信キャリアショップでは、Appleのメーカー希望小売価格より割高な独自の価格設定をして、分割支払い期間を36回や48回などにして、24回まで支払いiPhoneの分割支払い残債が損傷が一切ない事を条件に、免除になる場合の達成条件が困難な、最も少ない支払額を実質負担額と表示してます。
この実質負担額はiPhoneの有料保証期間延長であるAppleCareの金額が含まれていません。
通信会社によっては、有料のAppleCareの別途加入が前提の場合があり、実質負担額はあくまで端末代金だけに限定した、販売側の都合の良い数字であり、消費者は実際には実質負担額では利用できない場合があります。
これは、景品表示法に抵触する疑いがあります。
実質負担額の達成条件を複雑化や、分割支払い期間を長期化の狙いは、通信会社による長期間拘束が目的
SIMロックをした制限付きのiPhoneをメーカー希望小売価格より高額な価格設定をして利益を搾取して、長期間の分割払いにすることで、他の通信会社の転出を避ける狙いがあり、「通信料金と端末料金の完全分離及び行き過ぎた囲い込みの禁止」(電気通信事業法73条の3において準用する電気通信事業法第27条の3)の対象と考えます。
実際に消費者は、分割支払い期間中に他の通信会社への転出を考えることに、複雑さを感じて、実利が伴うにも関わらず、妥協して先延ばしすることに、事業者側はつけ込んだ で対象者を狙っているのです。
事業者側の規制の形骸化に、総務省は年内に国民である消費者に強力かつ有利な、結論を出すために、アクションプランを公表
キャリアショップなどの販売代理店では、SIMロックされたiPhoneはAppleよりもかなりの高額設定にして、長く繋ぎ止めて、iPadはAppleのメーカー希望小売価格と同じ価格帯にして、お得感があると錯覚させて、1人の消費者の契約数を増やして、それもまた繋ぎ止める手段にしているのです。
契約が増えれば、当然ですが支払いが増えます。
「通信料金と端末料金の完全分離及び行き過ぎた囲い込みの禁止」(電気通信事業法73条の3において準用する電気通信事業法第27条の3)に該当すると考えますが、10月27日総務省公表の「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」では規制の強化が列挙されています。
2. 具体的な取組
(1)分かりやすく納得感のある料金・サービスの実現
①通信料金と端末代金の完全分離
ア 事業法第27条の3の着実な執行、違反事案の摘発
覆面調査を実施し、不適切な実態が判明した場合には、携帯電話事業者や販売代理店に対して是正を求めていく。【引き続き実施】
総務省 モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン
現状は、規制が形骸化しており、違法な手段で行き過ぎた囲い込みをするための販売契約などを、総務省が引き続き覆面調査などで、事情現場調査と是正を実施しています。
②利用者に誤解を与える表記や販売代理店における不適切な説明の是正
ア 「頭金」の用法の是正
携帯電話業界独自の「頭金」という用語の用法に ついて、利用者の立場に立った是正が行われているかどうかについて消費者庁とも連携しながらフォローアップを行い、必要に応じて是正を求める。【年内に携帯電話事業者が行っている代理店指導の状況等を確認し、必要に応じて是正を求 めるとともに、継続的にフォローアップを実施】
総務省モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン
すなわち、一括支払いの場合であっても、総額に含まれない「頭金」の名目で販売代理店側の利益を上乗せしていることが、「頭金」の表示として不適切な表示にあたり、総額の一部の頭金に是正されます。
イ キャリアショップごとに端末価格が異なる可能性があることについての周知
販売代理店ごとに端末価格が異なることについて、携帯電話事業者による周知が適切に行われるようフォローアップを行うとともに、消費者庁とも連携しながら、総務省として一般消費者への積極的な周知を行う。【年度内に携帯電話事業者の対応状況等を確認し、必要に応じて是正を求めるととも に、継続的にフォローアップを実施】
総務省 モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン
要は、価格比較すると、メーカー希望小売価格と異なる価格で販売してることを消費者に分かりやすく、明確に表示することを目的としています。
どうでしょうか?このような実態で、通信キャリアの代理店で購入されることにメリットを感じますか?
Apple製品のiPhoneやiPadの設定は、代理店では消極的で、質問にも奥歯に物が挟まったような回答しかなかった経験がありませんか?
それは、iPhoneやiPadなどのApple製品は、Appleがアフターサービスを全てするので、購入すると、他者は介入できない事業者間のルールになっており、メーカーであるアップルサポートへ連絡して、データの引き継ぎをサポートしてもらうのが、最も望ましい手段であるからです。
コロナ禍以前では、Appleストアにて、対面でデータ引き継ぎを全て無料にてしていただけました。正規販売店として、勧誘などは一切なくシンプルな対応で、安心してメーカー希望小売価格にて、機種変更と継続利用が可能でした。
コロナ禍で、店内では15分以上(濃厚接触の定義)かかるデータ移行作業は出来なくなり、アップルサポートで対応することになっています。
アップルサポートでは、勧誘などは一切なく、シンプルな対応で安心してご利用いただけます。
まとめ
電気通信事業法では、「通信料金と端末代金の完全分離」が規制されていますが、消費者側が高額商品を購入するにあたり、複雑な条件で理解を妥協して、この規制の形骸化が、事業者側に付け込まれて、長い分割支払い期間での契約になり、結果として、行き過ぎた囲い込み状態を発生させているのです。
Appleストアのメーカー希望小売価格との差額を見ると、通信料金のひと月分程度以上の額が上乗せされており、そこで比較検討できていない、いわゆる情報弱者をターゲットにして、事業者である販売代理店を始め、通信会社は高い利益率をあげているのです。
総務省は、規制で悪質な手法を違法行為に法改正しています。
ですが現状は、販売代理店などの事業者側が消費者側が違法行為に気がついてないことにつけ込み、意図的に錯誤を伴う契約に至るケースが散見されています。
この価格比較で、iPhoneで長期支払いでの拘束で、iPadは利益は載せずに、囲い込みのために契約数を増やす手段になっているのです。もちろん手段といえど、支払いは発生するので、必要のないものは契約してはいけません!
ついつい販売代理店側のペースに飲み込まれそうになった場合は、一旦頭を冷やすために、急用を思い出したことにして、その場を去って、消費者ホットライン(局番なしの188)へ相談してください。
参考リンク
- 総務省「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」の公表のウェブサイト: https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban03_02000673.html
- 作成:令和2年11月10日
- 文:能登 健
- 出典元:総務省、Apple、NTTドコモ、au、ソフトバンク
- 絵:いらすとや