【緊急解説】 通信サービスのアクションプランの目的と影響

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 総務省から、「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」が早々に発表されました。
 2019年10月に法改正があったばかりで、影響を考えた場合の重要性とスピード感を感じます。

モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プランの概要
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 前代未聞の驚くべき点は、電気通信事業者に表示や比較を任せずに、総務省が消費者(国民利用者)に対して誤解のないようにわかりやすく実施することです。
 また、同アクションプランの本文の10ページの内容は、
消費者の利益の確保や、不当な勧誘や契約などの禁止行為からの保護などの代理店などへのさらなる規制強化が中心にあげられています。

 全国の消費者行政が受けた相談件数をデータベース化しているPIO-NETでは、消費者問題として通信サービス関連分野の相談件数が他の分野より圧倒的な数がカウントされており、社会問題となっていることが背景にあります。

モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プランの本文(全10ページ)
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 利用者やマスコミは、「いくら安くなるのか?!」と結果ばかり急いでますが、一人ひとりが仕組み冷静に理解して、通信サービスの料金が低減された後に、さらに無駄な契約を排除することで、支払いは少なくなることになります。

※マスコミは、通信会社から多額の広告費を受けている利害関係がありますから、スポンサーに都合の悪いことは決して伝えません。マスコミの説明を鵜呑みにすると混乱します。マスコミはスポンサーのことだけを考えており、視聴者のことはあまり考えていません。

消費者問題の発生する仕組み

 総務省の通信サービス分野からから少し脱線しますが、消費者問題が発生する仕組みを説明します。※商品をスマートフォンや苦手とする分野や、怪しい悪質商法に置き換えていただくと理解が深まります。

①消費者の想像を超えた、従来にない画期的で革新的な商品(モノやサービス)が登場した場合には、専門知識が必要になります。
②専門知識を有した事業者と、理解が追いついていない消費者と間では、情報量、経済力、交渉力に圧倒的な格差が生じます。
③そして、事業者が自らの利益に都合の良い手段で、商品を提供して消費者が十分に理解できない不利益な契約などになり、消費者側に不利益や被害が発生します。
④その状態に事業者が便乗して、消費者の財産や利益を継続搾取することで、消費者被害が継続します。

アクションプランの目的は、国民を守るための、悪質な事業者の排除

 このアクションプランの発表を受けて、大手3社と代理店などは、かなりショックを受けて困惑していることでしょう。

 なぜならば、今までは代理店などで不当な勧誘や契約をして、消費者(利用者)の毎月の支払額を不当に水増ししていて、電気通信事業者から代理店へ利益配当をしていたのです。
 今後の規制強化で、その消費者から不当勧誘や不当契約などで集めていた余分な支払い分が減り、利益配当に頼っていた1次から3次まで存在する代理店の収益構造(「いわゆるマルチ商法」連鎖販売取引に酷似)が成り立たなくなり、事業継続が困難になるからです。

 既に総務省はオンラインにて手続きを完結することで、無駄な費用や時間を省くように、事業者へ法改正前の要請し、eSIMなどの既存のハードウェアの積極的活用など仕組みづくりを提言しています。
 要は、代理店などの店舗に行く方は、支払い内容の把握をしていない、持っている高額なスマートフォンの使い方がわからない情報弱者なのです。
 その情報弱者から経済的に搾取する「適合性の原則から逸脱した」行為は禁止されていますが、実際には消費者被害が多く、法規制が形骸化しているのが事実でした。
 年明けの第四四半期(2021年1月〜3月)のタイミングで、各社は価格体系を変更せざる得なく、また規制がさらに強化されます。何が禁止行為に該当するのかを総務省がわかりやすく示す事が今回のアクションプランに記載されてあるのです。

 これまで不法に禁止行為をして売上目標を達成していた代理店などにとっては、経営方針が不適切なので、事業継続が困難になり、悪質な代理店などの店舗数が減るでしょう。

悪質であっても代理店が減ると困る方は、さまざまな進歩のメリットで少なくなる

 代理店が減って遠くなると、わからないことがあったときに困る…調べればわかる話です。
 自己解決できるレベルであるにも関わらず、予約をして長時間の遅れを待って、さらに長時間にわたって専門用語ばかり聞かされて、①分かったつもりになってるのか、②わからないと伝えることを恥ずかしいと思っているのか、③妥協してしまうのかわかりません。

 既に時代は大きく進歩して、あなた方の手の中のスマートフォンで長時間待たされていた時間を比較にならない短時間で、すぐに調べることができるのです。

 「詳しくないから」と出来ない理由や始めようとしない理由など、セルフネグレスのようにすると、将来は見通せない危険な兆候ですので、時代の進歩での文明の力を活用して、出来るだけ解決しましょう。
※必要に応じて周囲に支援を求めましょう。

 従来のような代理店に頼ることを継続することは、余分な支払いを増やすことになり、すなわち禁止行為を継続している反社会的な事業者に利益を与えることになります。

 何が起きているのか理解するための知識が必要ですが、スマートフォンの利用目的を少ない機能だけに限定しても使えないのであれば、諦めることも選択肢に入れてください。

画期的で革新的なモノやサービスが、人類の生活スタイルを進歩させる

 30年前は、携帯電話で、無線電話しかできませんでした。それが画期的なスマートフォンの登場で1台だけでさまざまな文房具や情報通信機器、高性能なビデオカメラ、オーディオ機器などを個別にそろえる必要がなく、用途の利便性や製造や作業での省力化に貢献しています。

 今では、時間や場所に拘束されずに、さまざまな情報を調べることができるようになって、以前では考えられない生活スタイルの多様性が実現できてきます。

 この全世界を取り巻くコロナ禍に間に合ったおかげで、さまざまな情報共有や連絡手段で、幸いにも人類は間一髪助かっている状態です。


まとめ

 日本政府においては、21世紀になってからのIT分野での国際競争力が低下しているので、生活スタイルから変化を促すために、デジタル庁の設置や行政手続きの簡素化が進められています。
 このアクションプランの解説した理由は、スマホ中心とした通信サービスの家計支出の割合(総務省統計局2020年4月〜6月)では、8%程度と上昇傾向にあり、家計負担の増大の大きな要因になっているからです。

 旧時代の既得権益や前例主義に執着している方以外は、一人ひとりの生活の利便性と、経済的なメリットと、情報収集による人としての豊かさになる満足感を優先して、新たな時代へ対応すると思われます。

 不当な勧誘や契約でトラブルになると感じた場合は、消費者ホットライン(局番なしの188)へ相談してください。

ファイナンシャルプランナーからひとこと

 コロナ禍のようにいきなり迫ってくるモノでもなく、方向性の理解や時期などには余裕があるモノですから、新しいモノやサービスを前向きに受け入れて活用して余裕を増やすことが、人としての文化的な暮らしの向上につながると考えます。

参考リンク

  • 作成:令和2年10月28日
  • 文:能登 健
  • 出典元:総務省
  • 絵:いらすとや
能登 健
  • 能登 健
  • オフィスまちかど 代表
    大阪で活躍する消費者問題と、デジタル分野に詳しいファイナンシャルプランナー
     
    主にスマホ乗換相談事業者として、消費者に寄り添った対応で、利用プランと支払い額の最適化を実施し、余分な支払いを削減している。
     
    化学プラント設備メーカー、産業用エンジンメーカーの商品開発(防災用発電設備)のプロジェクトリーダー・マネージャーなどを経て、現在に至る。
    課題を解決するために、問題を深掘りし、組織を横断して、さまざまな問題に対応し、解決へ導くことをライフワークとしている。
     
    ファイナンシャルプランナー(国家資格:FP技能士)、情報処理技術者試験 初級システムアドミニストレーター(国家試験)、相続診断士(相続診断協会)、お客様対応専門員(消費者庁後援)、色彩検定2級(文部科学省後援)
    デジタル推進委員(デジタル庁)、食品ロス削減推進サポーター(消費者庁)