【新型コロナウイルス感染後症状の重症度の参考】 医師が持つ実際のイメージとのギャップ
20歳代などの若い世代は、コロナに感染しても“軽症”で済む場合がが多いから、感染対策をまじめにしないと、報道であたかも若い世代が、悪いみたいに言われてるけど、そもそも“軽症”って、どの程度なの?
“軽症の定義”がキチンと説明の機会が少なくてあいまいなまま、言葉だけが毎日のように繰り返し使われてるけど…
その通りですよね。
一般的なイメージではなく、感染した場合の具体的な“軽症の定義”を明確に国民にわかるように説明してなければ、それぞれの勝手な解釈になりますよね。
しかも、若い世代が感染した場合は、ほとんどは“軽症”で済むと説明するのであれば、“軽症”の定義を医療関係者向けではなく、国民にわかりやすく説明してから、その言葉を使うべきですよね。
でなければ、間違った認識が広がりますし、是正もされません。
そして“軽症”があいまいなままで、何を信じて良いのかわからず、感染対策をどの程度すればいいかわからなくなりますよね。
大切な情報をキチンと説明を受ける機会がなくて、雑に扱われていると感じられても仕方ありませんよね。
それで、報道をはじめマスコミや政治が若い世代が悪者にするのは、誤った順序であると思います。
そうですよね。
なんだかよくわからなくて、疑心暗鬼になりそう。
学生の大切な時期なのに、キチンとした説明が受けれないし、政府の厚生労働省のサイトでは、医療関係者向けの資料で重症度しか記載がないのよ。
これでは、専門知識がない国民はイメージできないと思うの。
これって、とても大切な部分をつたえていなくて、納得できる材料を開示しないまま、お願いを聞いてくださいと言われてるようで、あまり効果がないと思うの。
厚生労働省の“新型コロナウイルス感染症 診断の手引き 第5.2版”によると、具体的には「軽症」は高熱であろうが、“酸素飽和度(SpO2≧96%)または肺炎状態”が「中等症」との判別する基準になっています。
すなわち具体的には、40℃程度の高熱や咳、ひどい頭痛が10日間継続しても、味覚や嗅覚が無い状態であっても、酸素飽和度が基準値未満または肺炎状態などでなければ、軽症と扱われます。単純に酸素吸引などの処置の検討が必要かの判断基準なのです。
ですが、一般的な軽症のイメージは、軽い風邪の症状で、咳が出る程度で平熱または微熱程度の、ほとんど日常生活に支障がなく、ひどくないと思われがちです。
こんなのは専門家が判断に使う目安で、一般の患者がイメージできる内容ではないですよね。
なにそれ、こわい…
高熱が何日間も継続しても、ひどい頭痛が続いても、酸素吸引の必要性を検討するレベルではなかったら、軽症だなんて…
思ってたのとレベルが違いすぎて、想像しただけで、つらすぎる。
そうでしょう。
だから、新型コロナウイルス感染症の正しい情報を発信している「ころナビ」の有志の先生方が、適宜わかりやすく情報を発信されています。
それが報道ではなかなか使われてこないのが現実で、どちらかというと数字や怖がらずことばかり伝えて、国民の共感や納得をえることからは、論理的にかけはなれてますよね。
それで、国民に危機感を共感してほしいなんて、説明の順序が誤ってるのは明らかで、虫が良すぎます。
今は、それに気がつかないくらいにデルタ株で感染拡大が広がってて、その原因をなにか悪者にしたてあげた方がいいと考える、日本人的な中身のない同調圧力の思想がそうさせています。それはそれでこわいですね。
この重症度の説明は、20歳代の若い世代だけではなく、あらゆる世代が知りたい情報なのに、なぜ多くの国民は疑問に思わないのかな?
それは、日本人が一人ひとりが自ら積極的に考え、調べることを苦手としてるからです。
国民の多くは、受身で政府や周囲がなんとかしてくれるだろうという楽観的な考え方です。
その中で自ら調べて行動するなんて、他と違った変わった方だなと、周囲から白い目で見られる風習が根強いからです。
だから、誰も責任を取らない習慣で、自らの命にかかわる話でも、よく調べようとしないのです。
ありがとう。
重症度の内容はよくわかったよ。
それに、自らの命を第一に考えると、自らが調べなければならないこともよくわかったよ。
今回のコロナ禍で、いろんな本質や課題が見えてきた気がするわ。
一般と、医師などの重症度のイメージとのギャップ
このわかりやすい、一般の一部の方の持つ一般的なイメージと、医師の持つ新型コロナウイルス感染症の専門家が使う具体的な症状のイメージのギャップのイラストを作成していただいたのは、(一社)保健医療リテラシー推進社中「こびナビ」で、新型コロナウイルス感染症や新型コロナウイルスワクチンに関する正確な情報を皆さんにお届けするプロジェクトで、そのメンバーで幹事の安川康介教授で、米国内科専門医、米国感染症専門医です。
問題視されている、軽症のイメージのギャップ
厚生労働省の“新型コロナウイルス感染症 診断の手引き 第5.2版”によると、「軽症」は高熱は関係なく、酸素飽和度(SpO2≧96%)または肺炎状態などが「中等症」との判別する基準になっています。
すなわち具体的には、40℃程度の高熱や咳、ひどい頭痛が10日間継続しても、味覚や嗅覚が無い状態であっても、酸素飽和度が基準値未満または肺炎状態などでなければ「軽症」と扱われます。単純に酸素吸引などの処置の検討が必要かの判断基準なのです。
ですが、一般的な軽症のイメージは、軽い風邪の症状で、咳が出る程度で平熱または微熱程度の、ほとんど日常生活に支障がなく、ひどくないと思われがちです。
感染の現状
新型コロナウイルス感染症は、変異を続けて感染力の強い変異種が従来の感染対策をすり抜けて、感染拡大させる要因となっています。
この新型コロナウイルス感染症に対しては、緊急事態宣言が令和2年の春に発出されてから、規制と緩和を繰り返しています。
さまざまな対策をかけわせて、ある程度抑え込むまでは、規制と緩和を交互に繰り返して、感染拡大による医療のひっ迫を避けつつ、経済活動を継続していかなければなりません。
政府から国民向けの重症度の定義の説明がなく、勘違いの要因に!
重症度の定義が、「診療の手引き」などの医療関係者向けになっており、政府や都道府県などの国民向けの発表では、「軽症、中等症、重症」という言葉が医療関係者以外の国民にわかりやすい説明がないまま、一般的なイメージが先行して、具体的な理解を得る機会が少なく、言葉だけが何度も繰り返し使われています。
間違った認識による情報災害が、感染拡大の要因に!
これが、一部の方が誤認して、「感染しても軽症なら感染対策なんてしなくても大丈夫」と、人が集まるところへ行く事をためらわなくなり、飛沫による感染が懸念される酒類を伴う飲食を、平気でするようになりますが、いざ感染すると残念ながら“後の祭り”です。
今までの対策では効果が不十分なデルタ株がまん延している状態で、このような間違ったイメージの認識は、命に関わる重大な情報を誤って理解して行動されている方が少なくありません。ですので、現在は指数関数的(二次関数的)に新規感染者が増加しているのです。
間違った認識が、高いリスクも平気な行動に!
もちろんワクチン接種の効果があり、高齢者やその下の世代はワクチン接種を終えていることもあり、新規感染者の割合は低いですが、まだワクチン接種は全人口に対しては有効な数に達していなく、高齢者の次にリスクの高い基礎疾患を有する方や、50才代へのワクチン接種を進めています。
都道府県や自治体などでは、リスクの高い方から接種予約を受け付けていますが、その他の集団接種では年齢条件なしもあります。
ワクチン接種の予約をインターネットで申し込もうとしても、予約分が少なくすぐに予約受付終了となり、予約が可能な複数の場所を何度も回らなければなりません。1度だけ申し込みをしようとして、予約できなくて諦めるのは、命に直結する話にもなりますので、簡単にはあきらめないことが重要です。
当然ですが、ワクチン接種は任意です。強制ではありません。
予防接種法第9条で努力義務となっていますが、接種は強制ではなく、最終的には、あくまでも、ご本人が納得した上で接種をご判断いただくことになります。
ですので、ワクチン接種を希望する場合は、各自でさまざまな予約場所を調べて、予約を決め早く終わらせる事が、自分自身のリスク軽減と、社会の公衆衛生の問題解決に繋がります。
ですが、この状態においても、自ら行動せずに周囲がなんとかしてくれるだろうと思っている方も少なくありません。
ワクチンを待っている間も当然ですが感染リスクがあります。しかも生死に関わる場合が多く、リスクが高い状態にあるのです。
自分で決めるのではなく、誰かにリスクをとってほしい、失敗はしたくない、自ら行動したくないと、ゼロリスクという「ないものねだり」を平気で話している方がいてる一方で、新規感染者が急拡大して重症化する方や亡くなる方が増えてきています。
命に関わる事なのに、なぜこのような事が起きるの?
医療関係者などの専門家向けの説明を、一般の方に丁寧にわかりやすくせずに、そのまま一般国民向けに無理やり使い、混乱する事すら考えていない、政府やマスメディアの責任です。
まぎらわしい曖昧なままでの説明をして、重症度の定義をしっかりと説明していないのです。
新型コロナウイルス感染症が令和2年1月から世界中に広がり、国民の多くは医療従事者ではないのに、一方的に高度な専門用語を押し付けてきて、何がなんだかわからなくて、疑心暗鬼になってきており、緊急事態宣言が発出されたとしても、感染拡大防止の効果が薄れてきています。
多くの国民は政府やマスメディアを信頼せず、あまり聞く耳を持たなくなったのです。
改善に向けてのささやかな取り組み
筆者は、この誤認を招く影響を危惧して、消費者庁の景品表示法の状況提供フォームに、以上の趣旨を「厚生労働省が一般国民に対して誤解を招く表示など」として、送付しましたが、どのように対応されるのかは分かりません。
一般国民向けに重症度の定義をわかりやすく説明して、国民一人ひとりが正しい対策が取れるように、直ちに周知するように申し入れました。
この取り組みが速やかに反映されるかは筆者にはわかりませんが、傍観はできませんのでささやかながら申し入れをしました。
まとめ
感染すると、軽症でもかなりのつらい症状になるとご理解いただけ、軽く考えて対策をおこたると、大変な目に遭う事が容易に想像できたと思います。
医療情報は必ず出典元が必ず政府機関などの信頼あるサイトにて、一般的な内容と、具体的な内容などを総合的に判断しなければなりません。
不安をあおる情報に振り回されずに、自ら正しい情報の集めて、“生き残るセンス”を高める事が重要になっています。
参考リンク
- こびナビ:
https://covnavi.jp
- 厚生労働省 新型コロナウイルス感染症 診療の手引き 第5.2版(2021年7月30日改訂):
https://www.mhlw.go.jp/content/000815065.pdf
- 作成:令和3年8月1日
- 文:能登健
- 出典元:こびナビ 安川康介教授の情報発信
- 画像:ぱくたそ