【ハラスメント防止法が義務化】 他者への配慮をアップデートしましょう!

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ハラスメント防止法が中小企業も含めて全面施行

 下記の職場でのハラスメントは、法律で禁止されているものがあります。

  1. 優越的な地位を悪用したパワーハラスメント
     
  2. 性的に不快な扱いをするセクシャルハラスメント
     
  3. 妊娠、出産、育児に関わる休職や当日休暇などを不利益に扱うマタニティハラスメント
     
  4. 精神的な苦痛を与えるモラルハラスメント
     
  5. 男らしさや女らしさなどのジェンダーの特徴を強要したり人事配置に影響を及ぼすジェンダーハラスメントなど

ハラスメント対策がない職場によくある例

 一般に、ハラスメントの感度は世代間で異なり、1986年施行の男女雇用機会均等法から始まり、さまざまな法施行の時期と、一人ひとりが社会に出た時期で大きく変わります。

 以前では理不尽でも許容していたハラスメントには、世代間の価値観や人間性で被害者に自覚がなくストレスをため込んで、メンタルヘルス疾患などにつながる事が多く社会問題になっています。

 メンタルヘルス疾患になると、労働基準監督署から事業者の安全配慮義務が問われ、是正指導や組織名の公表などの行政処分があります。組織名が公表されますので、就職活動などで利用する有料の企業情報に掲載されている場合があります。

 職場でのハラスメントがキッカケで、メンタルヘルス疾患になった場合、労災認定が受けられなくても、自費負担が自立支援医療など公費で補われる自治体などのセーフティネットがあります。

組織のハラスメント対策の成果を調べるには

 ハラスメントなどで退職する人材の動向を知りたい場合は就職四季報などを確認しましょう。
 就職四季報では、残業時間(月平均)、②有給休暇取得日数(年)、③3年後離職率、④平均勤続年数、⑤四半期ごとの従業員数などを確認して、実際に担当者に軽く質問してみるのも良いでしょう。

 就職四季報で「N/A」(無回答:no answer)の項目が多い場合は、情報開示に消極的で組織統治などのガバナンス機能が機能不全で要注意といえます。

 そのような組織の多くでは、ハラスメントが横行していて、自浄作用が機能していない、いわゆるブラック企業(行政や団体も含む)である事が懸念されますので、在職者は就職四季報で対外的に発表している内容と職場の肌感覚とを比較するなど確認してみましょう。

 また、就職や取引先を探されているをされている方は、そのような組織は金融機関の評価が低い場合が多く、資金繰りの影響が日常業務や人件費などに波及している場合が多く見られます。

行政機関などではハラスメントがないと早合点するのは、危険です!

 行政の場合は評価しにくい部分が多いですが、民間からの転職は仕事に対する範囲やペースに戸惑い、民間企業での業務ペースでこなしていると、仕事がなくなり酷い疎外感を感じ、職場に居づらくなって退職をするなどの話はよくあります。

 民間企業はもとより、社会人として一般的に古い習慣や常識が現状維持が原則なため、ことごとく古い既成概念だらけの非常識になっていることが多く、組織内には改善の概念がありません。

 風通しがない無風状態の組織なので、「失敗から学ぶ」、「課題解決」などの民間企業でのPDCAサイクルがないことから、民間企業で経験した社会人としての達成感がなく充実感が得られずに既成概念の中だけでの風土に耐え切れなくなって、中途採用を含む人材の半数が1年以内に離職しています。

 公務員の人事評価が減点方式なので、新たなチャレンジをしない、変化を望まない仕組みが、時代にあった住民サービスを提供する事なく、業務の成果を低下させています。

 職員は平均的にの向上心が民間企業より低く、知見が狭く機転が効かない、自ら学ぼうとしない人生を送ることになります。

 収入面で安定しているのは、一部の高度人材や課長職以上の難関な昇進試験を突破した、ほんの一握りの優秀な人材であって、大多数が係長級からは昇進による大幅昇給が思い描いているより難しいため、出世に諦めムードがあり、職場の雰囲気は異質です。

 公務員への就職が安定した薔薇色の人生と、一部の側面だけ見て誤解している方は、自らにとって都合の悪い事実も考慮して、公務員以外の選択肢を探した方が時間の節約になります。

中小企業とは

 中小企業(中小企業者)とは、下表の業種・①資本金・②従業員数に応じた分類にあてはまる事業主を指します。 ※①又は②を超えた場合は大企業に分類されます。

業種①資本金の額又は
出資の総額
②常時使用する
従業員の数
③小規模事業者の
常時使用する
従業員の数
小売業5,000万円以下50人以下5人以下
サービス業
(サービス業、医療福祉等)
5,000万円以下100人以下5人以下
卸売業1億円以下100人以下5人以下
その他の業種
(製造業、建設業、運輸業等上記以外全て)
3億円以下300人以下20人以下

労働者とは

 正規雇用労働者だけでなく、パートタイム労働者、契約社員等いわゆる非正規雇用労働者を含む事業主が雇用する労働者全てを指します。

 派遣労働者も含み、派遣労働者については、派遣元事業主だけでなく、派遣先事業主にも雇用管理上の措置義務が生じます。

 派遣先事業主も派遣労働者 が相談等を行ったことを理由として労働者派遣の役務(えきむ)の提供を拒む等の不利益な取扱いを行ってはいけません。

ハラスメント防止法の行政の指導や処分の条文抜粋

第十一章 雑則

 (助言、指導及び勧告並びに公表)

第三十三条 厚生労働大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、事業主に対して、助言、指導又は勧告をすることができる。

2 厚生労働大臣は、第三十条の二第一項及び第二項(第三十条の五第二項及び第三十条の六第二項において準用する場合を含む。第三十五条及び第三十六条第一項において同じ。)の規定に違反している事業主に対し、前項の規定による勧告をした場合 において、その勧告を受けた者がこれに従わなかつたときは、その旨を公表することができる。

(資料の提出の要求等)

第三十五条 厚生労働大臣は、この法律(第二十七条第一項、第二十八条第一項並びに第三十条の二第一項及び第二項を除く。)を施行するために必要があると認めるときは、事業主に対して、必要な資料の提出及び説明を求めることができる。

 (報告の請求)

第三十六条 厚生労働大臣は、事業主から第三十条の二第一項及び第二項の規定の施行に関し必要な事項について報告を求めることができる。 2 (略)

(権限の委任)

第三十七条 この法律に定める厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、その一部を都道府県労働局長に委任することができる。 2 (略)

(罰則)

第四十一条 第三十六条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、二十万円以下の過料に処する。

関連条文、指針 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(抄)
(昭和41年法律第132号) パワーハラスメントに関する改正部分の抜粋(令和2年6月1日施行時点)

職場における「パワーハラスメント」の定義

 職場で行われる、下記の要素全てを満たす行為をいいます。

  1. 優越的な関係を背景とした言動
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
  3. 労働者の就業環境が害されるもの

※客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は該当しません。

職場におけるパワーハラスメントの代表的な言動の類型、該当すると考えられる例

代表的な言動の
6つの類型
該当すると
考えられる例
身体的な攻撃
暴行・傷害
⚫︎殴打、足蹴りを行う。
⚫︎相手に物を投げつける。
精神的な攻撃
脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言
⚫︎人格を否定するような言動を行う。
⚫︎相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な言動を含む。
⚫︎業務の遂行に必要な以上に長時間にわたる厳しい叱責を 繰り返し行う。
人間関係からの切り離し
隔離・仲間外し・無視
⚫︎1人の労働者に対して同僚が集団で無視をし、職場で孤立させる。
過大な要求
業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害
⚫︎新卒採用者に対し、必要な教育を行わないまま到底対応できないレベルの業績目標を課し、達成できなかったことに対し厳しく叱責する。
過小な要求
業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや、仕事を与えないこと
⚫︎管理職である労働者を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせる。
⚫︎気に入らない労働者に対して、嫌がらせのために仕事を与えない。
個の侵害
私的なことに過度に立ち入ること
⚫︎労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露する。

 個別の事案について、パワハラに該当するのかの判断に際しては、当該言動の目的、言動が行われた経緯や状況等、様々な要素を総合的に考慮することが必要です。
 また、相談窓口の担当者等が相談者の心身の状況や当該言動が行われた際の受け止めなど、その認識にも配慮しながら、相談者と行為者の双方から丁寧に事実確認を行うことも重要です。

「職場におけるパワーハラスメントを防止するために講ずべき措置」とは?

 事業主が必ず講じなければならない具体的な措置の内容は以下のとおりです。

事業主の方針等の明確化および周知・啓発① 職場におけるパワハラの内容・パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発すること。
② 行為者について、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等文書に規定し、労働者に周知・啓発すること。
相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備③ 相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること。
④ 相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるようにすること。
職場におけるパワハラに関する事後の迅速かつ適切な対応⑤ 事実関係を迅速かつ正確に確認すること。
⑥ 速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと。
⑦ 事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行うこと。
⑧ 再発防止に向けた措置を講ずること (事実確認ができなかった場合も含む)。
併せて講ずべき措置⑨ 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ その旨労働者に周知すること。
⑩ 相談したこと等を理由として、解雇その他不利益取り扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。
※労働者が事業主に相談したこと等を理由として、事業主が解雇その他の不利益 な取り扱いを行うことは、労働施策総合推進法において禁止されています。

職場におけるパワーハラスメント防止等のための望ましい取り組み

 以下の望ましい取り組みについても、積極的な対応をお願いします。

 パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントは、単独ではなく複合的に生じることも想定し、一元的に相談に応じることのできる体制を整備すること

 職場におけるパワーハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための取り組みを行うこと
(コミュニケーションの活性化のための研修や適正な業務目標の設定等)

 職場におけるパワーハラスメントを行ってはならない旨の方針を行う際に、自ら雇用する労働者以外に、 以下の対象者に対しても同様の方針を併せて示すこと

  • 他の事業主が雇用する労働者 ・就職活動中の学生等の求職者 ・労働者以外の者(個人事業主などのフリーランス、インターンシップを行う者、教育実習生等)

カスタマーハラスメントに関し以下の取り組みを行うこと

  • 相談体制の整備
  • 被害者への配慮のための取り組み
    (メンタルヘルス不調への相談対応、行為者に対して1人で対応させない等)
  • 被害防止のための取り組み
    (マニュアルの作成や研修の実施等)

まとめ

 働く人の多様性を尊重し、お互いに配慮し合う事が求められています。ですが、現状維持が強い日本の社会構造では急に変化することはありません。

 しかしながら、ゆがんだ社会構造的な要因で痛ましい事件などがあると、要因分析の上、法施行や法規制、考え方の変化は5年程度でかなり変化します。

 やるかやらないかの◯か×の単純極端な2択ではなく、100%の熱量を持ってその社会課題に真っ向から向き合うか、1%でも継続して毎年振り返って必要に応じて軌道修正し、自分自身を誉めて、前向きに継続的に取り組む等が、苦手な方や、その概念がない方が大多数であることも大きな要因となっています。

 多様性を尊重する時代ですので、まずは自分の中の多様性を確認して、自分自身を含め周囲の外観や思想、意見が異なることに配慮して、違和感と違法行為を区別できるようになりましょう。

 もしハラスメントの被害に遭ったり目撃した場合は、組織内の内部通報または労働局へ相談しましょう。

参考リンク

  • 作成:令和4年2月20日
  • 文:能登健
  • 出典元:厚生労働省
  • 画像:いらすとや、ぱくたそ
能登 健
  • 能登 健
  • オフィスまちかど 代表、ファイナンシャル・プランナー、グラフィック・デザイナー、エンジニアリング・アドバイザー、システムアドミニストレーター、相続診断士、お客様対応専門員(CAP)、消費者啓発活動ボランティア、課題解決型・組織横断型地域ボランティア・政策提案型ボランティア