【ハラスメント防止】さまざまな場面でのハラスメントを考えましょう。

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 内閣府男女共同参画局では、政治分野におけるハラスメント防止のための取組として、「政治分野におけるハラスメント防止研修教材」の動画教材研修教材パンフレットを作成し公開しました。

出典元:内閣府 男女共同参画局

 動画は、「政治分野における…」となっていますが、内容自体はくらしや仕事の中で思い当たる場面があると思います。
 動画を見ることで、ご自身の行動を客観視して振り返り、知らない間に周囲に不快なハラスメント行為を継続的にしていたなんてことも気づくかもしれません。また、そのような場面に出会っているかもしれません。

 ハラスメント行為は決して許されるものではありません。
 ですが、加害者側が自覚がない場合が多く、周囲からの指摘や説明がなければ加害者側は気が付かず、組織内の人材流出や人間関係の破綻に繋がりますので、皆さんで協力して取り組まなければならないことが求められています。

「男女共同参画」の法整備の経緯

 そもそも、「男女共同参画」が繰り返し周知されているのか疑問に思う方が多いと思います。

 なぜなら、社会で活躍し始める時期によって「男女共同参画」の法改正や制度の内容が異なり、年代によって考え方や理解が異なるからです。

  1.  男女雇用機会均等法が1985年に制定され、翌年の1986年に施行されました。
     企業の事業主が募集・採用や配置・昇進・福利厚生、定年・退職・解雇にあたり、性別を理由にした差別を禁止することなどを定めました。
     それまでは、女性は男性の補助的な業務が当然と考えられて、さらに求人応募の条件には「25歳以下の女子で容姿端麗、業務内容はお茶汲みや雑用など」といった、女性の人権を軽視した扱いがあり、今では考えられない事が当時の社会では当然に行われていました。
     
  2. 施行当初は、各種差別禁止の項目の多くは努力規定としてスタートしましたが、1999年の改正により禁止規定となりました。
     
  3. 2007年の改正では出産・育児などによる不利益取扱の禁止や、1999年の改正で規制されていなかった男性に対する差別、さらにはセクシャルハラスメントの禁止などが規定されました。
     
  4. 2017年の改正では、マタニティハラスメントに対する禁止規定が制定されました。
     
  5. 2020年6月1日から改正法が施行され、職場のパワーハラスメント防止措置が義務づけられました(ただし、中小企業では、2022年4月1日以前は努力義務)。さらに、セクシャルハラスメントやマタニティハラスメントなどの防止指針が改正され、対応が必要となっています。
法制定や施行、
法改正の時期
(経過年数)
法制定や施行、法改正の内容【参考例①】
法制定の1985年に、
年齢が22歳のその後の年齢
【参考例②】
各法改正等の当時に、
22歳のその後の年齢
1985年
(37年前)
男女雇用機会均等法の制定22歳61歳
1986年
(36年前)
男女雇用機会均等法の施行
(努力義務)
23歳60歳
1999年
(23年前)
男女雇用機会均等法の改正
(禁止規定化)
36歳45歳
2007年
(15年前)
出産・育児などによる不利益取扱の禁止
②男性に対する差別の禁止
③セクシャルハラスメントの禁止
44歳37歳
2017年
(5年前)
マタニティハラスメントに対する禁止57歳27歳
2018年
(4年前)
高校等生徒の妊娠等を理由に退学へ誘導は不適切
文部科学省
58歳26歳
2020年
(2年前)
職場のパワーハラスメント防止措置が義務づけ
(大企業向け、中小企業は努力義務)
60歳24歳
2022年
(現在)
職場のパワーハラスメント防止措置が義務づけ
(中小企業も含む)
61歳22歳
※男女共同参画に向けた法制定や法改正の経緯と経過年数を記載し、法施行や法改正当時の年齢を参考として記載する事で、社会環境の変化をイメージしやすくしています。

 このような法制度の改正が重なり、今の社会を形成しています。
 1985年以前に社会で活躍していた現在の60歳前後の方の中には、職場でそれ以前の法制度がない時代の先輩方の強い影響を長期間に渡り受け続けていたため、残念ながら女性や多様性を軽視したり排除する傾向が残っている場合が稀に見られます。

 また、組織内では、法改正の都度に変化をしてきたはずですが、仕事では男性が中心の考え方が所々に根強く残っており、女性が継続して活躍する妨げになっています。

 正常化への妨げが原因で不利益が発生することは、決して許されませんし、組織の事業継続にも悪影響があります。
 法制度改正で禁止されているはずの事案が発生し、時には心身が傷つくことがあります。

 今までの法改正の経緯を考えると、全ての国民が当事者意識を持ち、周囲に配慮するために、変化に柔軟に対応していくことが求められています。

ハラスメントとは

  • 相手の人格や尊厳を侵す人権問題で、被害者が心身に支障を来し、最悪の場合 には自死を選ぶ場合もあります。
  • 加害者は、刑事上、民事上の責任を問われる場合もあります。
  • 組織は、ハラスメントを防げない組織として信用が失墜し、評判をおとしめるケースもあります。

パワーハラスメント

 職場において行われる①優越的な関係を背景と した言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③本人の就業環境が害されるものであり、①〜③までの要素を全て満たすものをいいます。

1 身体的な攻撃 

 暴行・傷害

2 精神的な攻撃 

 脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言

3 人間関係の切り離し 

 隔離・仲間外し・無視

4 過大な要求 

 業務上明らかに不要なことや遂行 不能なことの強制・仕事の妨害

5 過小な要求 

 業務上の合理性なく能力や経験 とかけ離れた程度の低い仕事を 命じることや仕事を与えないこと

6 個の侵害 

 私的なことに過度に立ち入ること

事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号)

セクシュアルハラスメント

1 対価型セクシュアルハラスメント

 職場において行われる本人の意に反する性的な言動に対する本人の対応により、当該本人が解雇、降格、減給等の不利益を受けること。

2 環境型セクシュアルハラスメント

 職場において行われる本人の意に反する性的な言動により業務 環境が不快なものとなったため、 能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該本人が職務を行う上で看過できない程度の支障が生じること。

事業主が職場における性的な言動に起因する 問題に関して雇用管理上講ずべき措置等につ いての指針(平成18年厚生労働省告示第615号)

マタニティハラスメント

1 制度等の利用への嫌がらせ型 

 産休や育休等の制度等の利用に 関する言動により就業環境を害されるもの

2 状態への嫌がらせ型 

 妊娠・出産したこと等に関する言 動により就業環境が害されるもの

事業主が職場における妊娠、出産等に関する言 動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針(平成28年厚生労働省 第312号)

固定的な性別役割分担意識とは

 男女を問わず個人の能力等によって役割の分担を決めることが適当であ るにもかかわらず「男は仕事・女は家庭」、「男性は主要な業務・女性は補助 的業務」等のように、男性、女性という性別を理由として、役割を固定的に分ける考え方のことです。
 このような考え方は、ハラスメント行為につながり得るものであり、払しょくしなければなりません。


まとめ

 さまざまな法改正があっても、自分が最初に覚えた内容を現状維持して変われなく、その内容が変化していることを指摘されても「これで大丈夫な時もあるんだよ。君は知らないのか?」と、正論を個人的な都合で否定や排除される事がたまにあります。
 男女共同参画に限ってのことではなく、くらしや仕事の利便性向上のためのデジタル化導入を頑なに阻んでいる柔軟性のない方もおられます。
 多様性の時代とはいえ、ハラスメント行為は社会的に許されるものではありません。

 今回の教材は政治分野になっていますが、それぞれの場面の似たような光景を身近で目の当たりにした事がありませんか?

 法改正しかり、時代は社会に合わせて変化しています。自分自身を振り返ってみて、気をつけるようにしましょう。

参考リンク

  • 作成:令和4年4月22日
  • 文:能登健
  • 出典元:内閣府 男女共同参画局、文部科学省
  • 画像:いらすとや
能登 健
  • 能登 健
  • オフィスまちかど 代表
    消費者問題と、デジタル分野に詳しい、大阪で活躍するファイナンシャルプランナー
     
    主にスマホ料金相談事業者として、消費者に寄り添った対応で、利用プランと支払い額の最適化を実施し、余分な支払いを削減している。
    不当な契約があれば解約の上、行政の消費者相談窓口を案内している。
     
    化学プラント設備メーカー、産業用エンジンメーカーの商品開発(防災用発電設備)のプロジェクトリーダー・マネージャーなどを経て、現在に至る。

    社会課題を解決するために、問題と向き合い深掘りし、組織を横断して、時には政府に意見し、さまざまな問題に対応し、解決へ導くことをライフワークとしている。
     
    ファイナンシャルプランナー(国家資格:FP技能士)、情報処理技術者試験 初級システムアドミニストレーター(国家試験)、相続診断士(相続診断協会)、お客様対応専門員(消費者庁後援)、色彩検定2級(文部科学省後援)
    デジタル推進委員(デジタル庁)、食品ロス削減推進サポーター(消費者庁)