【注意喚起】高齢者に展示会で着物等の悪質業者「きもの松葉」が、行政の是正勧告に従わないため公表

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出典元:大阪市

 大阪市は、大阪市消費者保護条例に違反して不当な取引行為を行っている「きもの松葉」に是正勧告しましたが、従わないため、条例に基づき、令和4年9月1日に事業者名等を公表しました。

 当該事業者である「きもの松葉」は、現在でも各店舗を構えて営業活動を継続しています。

 当サイトでは、消費者被害の行政指導に従わず、反社会的な手法を反復継続している悪質業者として、国民を消費者被害から守る目的で、本内容を注意喚起情報として掲載することにしました。

公表した主な内容

事業者の名称等

  • 名称:株式会社松葉(屋号:きもの松葉)※
  • 代表者:代表取締役 松葉将登
  • 所在地:大阪市西区北堀江二丁目16番18号

※ 令和3年6月22日及び令和3年9月30日付けで是正勧告を行った事業者は株式会社奈良松葉(代表取締役 松葉将登、奈良県橿原市醍醐町283番地の1)であるが、令和4年2月1日付けで株式会社松葉と合併して権利義務全部を同社に承継して解散しました。

主な取扱商品及び販売方法

 大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県内など近畿圏内の商店街やショッピングモール等に店舗を構え高齢者を主な顧客として定期的に開催する展示会に顧客を集めて着物、帯、宝石、洋服、バッグ、健康器具、布団、メガネ等の商品を販売をしています。

是正勧告に従わない不当な取引行為

 現在でも展示会を開催して販売営業活動を実施しており、是正勧告を行った不当な取引行為のうち、次の行為を含め、10項目の勧告に従っていません。

  1. 意に反する執拗・強引な勧誘 (是正勧告:令和3年6月22日)
  2. 契約を締結する意思がない旨を表示している消費者に対する勧誘 (是正勧告:令和3年6月22日)
  3. 判断能力の不足に乗じた勧誘 (是正勧告:令和3年6月22日)
  4. 次々販売 (是正勧告:令和3年6月22日)
  5. 適合性原則違反 (是正勧告:令和3年6月22日)
  6. 過量販売 (是正勧告:令和3年6月22日)
  7. 取消しの申出の拒否・黙殺 (是正勧告:令和3年6月22日)
  8. 取消しによる原状回復義務の履行の遅延・拒否 (是正勧告:令和3年6月22日)
  9. 取消しの申出の拒否・黙殺 (是正勧告:令和3年9月30日)
  10. 債務の履行遅延 (是正勧告:令和4年5月12日)
出典元:大阪市

大阪市消費者センターに寄せられた相談件数(令和4年7月31日まで)

年度大阪市の
相談件数
大阪市の
潜在被害数
4府県の
潜在被害数
平成2891801,073
平成29480477
平成307140835
令和元91801,073
令和2102001,193
令和3641,2807,632
令和4※153001,926
合計1182,36014,209
※令和4年度は7月末日まで相談のあった件数

 一つの事業者で被害相談件数は多く推移しており、消費者行政への相談件数は被害の氷山の一角です。
 相談件数に対して潜在している被害は20倍とされています
※潜在倍数の根拠:消費者庁「令和元年度消費者白書」

主な相談事例と問題点

高齢者に対して展示会で次々と販売

  • 「見るだけでよい」などと言って高齢者を展示会に誘い、高額な着物や宝石、健康器具などを次々と販売します。
  • 「帰りたい」「年金生活だから払えない」などと何度断っても契約させます
  • 認知症や認知機能が低下した高齢者に対しても次々と販売しています。

支払い能力を超えた自社割賦契約で販売

  • わずかな年金収入しかない高齢者に対して、自社割賦契約により支払い能力を超えた契約をさせます。親族等の本人以外の名義で契約させる名義冒用も見られます。
  • 割賦販売法に違反して、商品を渡す前に2回以上の支払いをさせる前払式割賦販売を無許可で行っていました。

展示会スタッフとして雇用した高齢者に対して販売

  • 展示会のスタッフとして多数の高齢者の女性を雇用し、知人や友人を展示会に誘わせています
  • スタッフは、展示会に人を連れて来られないなら自ら購入するように求められ、多数の商品を次々と購入させられています。
出典元:大阪市

被害の救済

 大阪市内にお住まいの方で被害にあわれたと思う場合は、すぐに大阪市消費者センターにご相談ください。

  • 消費生活相談 専用電話番号:06-6614-0999
  • 対応時間:月曜日から土曜日の10時から17時まで
    ※ ただし、年末年始(12月29日から1月3日まで)、祝日を除く

 大阪市以外にお住まいの方は、消費者ホットライン(局番なしの188番)へ相談してください。

消費生活相談とは

消費者問題は、地方自治体の住民サービス(無料)です。
消費生活相談は、消費者問題に高度な専門知識を有する消費生活相談員(国家資格)が相談に対応します。

 現状の地方行政の多くでは、消費者行政以外の一般の窓口にて相談した場合は、職員などの消費者問題の理解が乏しく、自治体が実施している無料の法律相談へ案内され、消費生活相談とは異なりますので注意してください。

消費者被害は自ら調べて理解して未然防止に、情報格差の拡大防止へ

 このような悪質な消費者被害が、是正勧告後にも継続しており、騙して経済搾取する目的で継続的に事業を営んでいる現状や、継続拡大している消費者被害に対して、残念ながら昨今のマスコミは、社会問題への監視機能を果たさず消費者問題には消極的です。
 本来であればマスコミが、違反した事業者や大勢いる被害者に事実確認などの取材などを実施して事実関係とともに注意喚起として機能すべきですが、消費者問題にはあまり関心がありません。

 テレビ放送や新聞などで情報を収集している多くの国民は、このような被害が近くで日常的に発生している実態には関心がなく、また被害の未然防止のために自ら調べ理解することはありません。
 これが情報格差が拡大するメカニズムです。

 「消費者問題」に関心がなく、極端に学びを嫌う国民性と社会構造的な問題が、さまざまな消費者問題に連鎖しています。


まとめ

 「きもの松葉」の事業者名から着物に関連商品に限定してではなく、健康器具など多岐に渡り継続して消費者被害が幅広く発生しています。

 物が急に増えた周囲の高齢者などのご家族やお近くのの方に心当たりのある方は、消費者ホットライン(局番なしの188)へ相談する事を案内してください。

参考リンク

  • 作成:令和4年9月5日
  • 文:能登 健
  • 出典元:大阪市、大阪市消費者センター
能登 健
  • 能登 健
  • オフィスまちかど 代表
    消費者問題と、デジタル分野に詳しい、大阪で活躍するファイナンシャルプランナー
     
    主にスマホ料金相談事業者として、消費者に寄り添った対応で、利用プランと支払い額の最適化を実施し、余分な支払いを削減している。
    不当な契約があれば解約の上、行政の消費者相談窓口を案内している。
     
    化学プラント設備メーカー、産業用エンジンメーカーの商品開発(防災用発電設備)のプロジェクトリーダー・マネージャーなどを経て、現在に至る。

    社会課題を解決するために、問題と向き合い深掘りし、組織を横断して、時には政府に意見し、さまざまな問題に対応し、解決へ導くことをライフワークとしている。
     
    ファイナンシャルプランナー(国家資格:FP技能士)、情報処理技術者試験 初級システムアドミニストレーター(国家試験)、相続診断士(相続診断協会)、お客様対応専門員(消費者庁後援)、色彩検定2級(文部科学省後援)
    デジタル推進委員(デジタル庁)、食品ロス削減推進サポーター(消費者庁)