異業種交流会や勉強会での交流後の個別のお誘いにはご用心!

964

 社会人になると情報収集のために、異業種交流会や勉強会に参加する機会が発生する場合があります。
 そこで交流した方から、直後に連絡を取ってきて、目的をあいまいにして個別に誘い出す行為には十分気をつけてください。

 実際にカフェ等で面会してから初めて目的が勧誘であることが明らかになるのですが、あなただけにしか話せない今がチャンスの儲け話等の連鎖販売取引(いわゆるマルチ商法)等の特定商取引だったりします。海外旅行、タワーマンション、高級車、高級ブランド品、高級ホテルでのパーティー、先行者利益、権利、非公開、未公開等の実績がないが今後は爆発的に利益が膨らむような怪しい話を長時間されます。※長時間拘束は不法行為です。

 要は目的を偽って誘い出して勧誘する行為は、勧誘をする側がコンプライアンスを理解していない場合が少なくありません。

「氏名などの明示」(法第33条の2)では、連鎖販売取引を行うときには、勧誘に先立って、消費者に対して、次のような事項を告げなければなりません。
① 統括者、勧誘者または一般連鎖販売業者の氏名(名称)(勧誘者、一般連鎖販売業者にあっては統括者の氏名(名称)を含む)。
② 特定負担を伴う取引についての契約の締結について勧誘をする目的である旨。
③ その勧誘にかかわる商品または役務の種類。

特定商取引法の規制対象となる「連鎖販売取引」 (法第33条)

 したがって、目的を偽って誘引(誘い出しす)した場合は、不法行為となり事業者が行政処分の対象となります。
 行政処分となった場合は、事業者と実際に不法行為をした加害者の氏名等が公表されます。

 これではリスクが高すぎて、勧誘どころではありません。

 ですが連鎖販売取引の活動員はコンプライアンスやモラルが低く、幻想と物欲が高いチームプレイで接触してきますので、こちらから違法性ついて説得しても「この案件は大丈夫です。」と自信たっぷりに断定的表現で返してきますが、断定的表現も不法行為になります。


 なぜ、このような人間関係を崩壊させ、信頼を裏切り、不法行為をして人生を詰むような事までして彼らはそのビジネスにのめり込むのでしょうか?

 彼らに共通するのは、他力本願で、物欲が強く、倫理観が欠落しており、情報の取捨選択能力が乏しく、偏った情報に影響されて、自分の意見がなく、責任転嫁する傾向があり、他の方もされているので不法行為ではないと、ビジネスセミナーで強く教え込まれているからです。

 パンフレットや説明資料には、グラフィックデザイナーが使う素材集から引用したものが使われている事が散見され、専門家が見れば適当に並び替えたとすぐに見破られます。

なぜ、今もなお、このような悪質商法が継続して、被害者が増えているのでしょうか?

 その要因の1つに、異業種交流会や勉強会が彼らのターゲットを探す温床になっているからです。最近では異業種交流会や勉強会の主催者は会を守るために迷惑行為を行った彼らの出入り禁止にして、他の交流会への情報共有をします。

 ですが、一方で主催者や世話役の方針で不法行為や迷惑行為で評判が悪くなるより、不法行為を行う彼らを受け入れて規模を大きく見せようとする異業種交流会や勉強会も少なくありません。

 参加者の素養が高く判断力がぶれなければ被害遭うケースは少ないのですが、ゼロとは言いませんし、主催者や世話役が自身が“膿を出し切る決断を避け続け”て、良い人材が主催者や世話役と意見が対立して去っていく傾向になり、不法行為を行う温床になります。

 不法行為を行う彼らの業界では、どこの異業種交流会や勉強会が温床として踏み台として利用できるかを、常に情報交換されています。


まとめ

 異業種交流会や勉強会で、ビジネスの勧誘行為等での迷惑行為を固く禁じますと、ポリシーに記載していれば、主催者は予防策を考え悪質業者の温床になる事を嫌っています。
 ですので、参加される際は慎重になさってください。残念ながら悪質業者に寛容な主催者も少なくありません。

怪しい勧誘などされた場合は、被害者を増やさないために、消費者ホットライン:局番なしの188へ相談してください。

  • 作成:令和元年11月22日9時
  • 文:能登健
  • 絵:いらすとや
能登 健
  • 能登 健
  • オフィスまちかど 代表
    消費者問題と、デジタル分野に詳しい、大阪で活躍するファイナンシャルプランナー
     
    主にスマホ料金相談事業者として、消費者に寄り添った対応で、利用プランと支払い額の最適化を実施し、余分な支払いを削減している。
    不当な契約があれば解約の上、行政の消費者相談窓口を案内している。
     
    化学プラント設備メーカー、産業用エンジンメーカーの商品開発(防災用発電設備)のプロジェクトリーダー・マネージャーなどを経て、現在に至る。

    社会課題を解決するために、問題と向き合い深掘りし、組織を横断して、時には政府に意見し、さまざまな問題に対応し、解決へ導くことをライフワークとしている。
     
    ファイナンシャルプランナー(国家資格:FP技能士)、情報処理技術者試験 初級システムアドミニストレーター(国家試験)、相続診断士(相続診断協会)、お客様対応専門員(消費者庁後援)、色彩検定2級(文部科学省後援)
    デジタル推進委員(デジタル庁)、食品ロス削減推進サポーター(消費者庁)