10月から最低賃金(時間給)が改定されました

この記事のポイント
⚫︎令和5年(2023年)10月1日から、最低賃金が全国平均で1,013円/時間に改定されました。大阪府では1,064円/時間になりました。
⚫︎最低賃金は、研修期間や学生などを理由に下回ることは違法です。請負給などの出来高払いにも適用されます。
⚫︎政府と日銀が意図的に物価上昇(インフレ)に誘導しており、10,000円で購入できる内容が以前より少なくなっています。これは貨幣価値を下げるためです。
⚫︎物価上昇のため、事業者は収入が増加する仕組みを考えなければなりません。労働者は賃上げが継続していますが、物価上昇幅が大きいため、厳しい経済事情が続いています。
⚫︎消費のスタイルが高額商品の購入などの物質的な所有欲から、さまざまな場所や新しい体験、趣味や成長など多様化が進んでいます。
⚫︎過去の借入金(住宅ローンなど)の元金価値が下がり、高齢世代の貯蓄やタンス預金の価値も下がります。富が現役世代へ移動します。
⚫︎デジタル分野で国際的に遅れている日本は、デジタル化の過渡期で、存続が危ぶまれる業種があります。一方、新たな業種や働き方などが増加し、社会の進歩や多様性を受け入れることが迫られています。
令和5年(2023年)10月1日から最低賃金が改定され、例えば大阪府では時間額が1,064円に改定されてます。使用者も、労働者も必ずチェックしましょう。
最低賃金とは
最低賃金は研修期間や学生を理由に下回ることは違法となります。
※使用者側と労働者側の双方の合意で、最低賃金未満で契約した場合は法律で無効となり、最低賃金と同じ定めをしたものとみなされます。
請負給などの出来高払いにも適用されるため、最低賃金を下回るために業務委託や業務請負契約をしている場合は、偽装請負となり違法行為となります。
使用者が労働者に最低賃金未満の賃金しか支払っていない場合には、使用者は労働者に対してその差額を支払わなくてはなりません。
地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められています。
なお、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法に罰則(30万円以下の罰金)が定められています。
最低賃金との比較方法
① 時間給の場合 | 時間給 ≧ 最低賃金額 |
② 日給制の場合 | 日給 ÷ 1日の平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額 |
③ 月給制の場合 | 月給 ÷ 1年間における1か月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額 |
④ 出来高給(請負給)の場合 | 賃金算定期間(賃金締切期間)に支払われた総額 ÷ その期間に出来高制によって労働した総労働時間 ≧ 最低賃金額 |
①〜④が混在 | 各賃金の1時間あたりを算出し合計した額 ≧ 最低賃金額 |
最低賃金との比較時に含めない賃金の種類
- 精皆勤手当・通勤手当・家族手当
- 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
- 臨時に支払われる賃金(結婚手当)
- 時間外・休日労働及び深夜労働に対する賃金(項目ごとに時間給に対し25%上乗せ)



継続的な物価上昇の発生と影響
現在、政府と日銀が意図的に物価上昇(インフレ)に誘導しており、10,000円で購入できる内容が以前より少なくなっています。これは我が国の貨幣価値を意図的に下げ続けているためです。
物価上昇のため支払いが増えるので、事業を営んでいる方は、収入が増加する仕組みを考えなければなりません。
労働者は賃上げが継続していますが、それ以上に物価上昇幅が大きいため、厳しい経済事情が継続しています。
現在の消費のスタイルのトレンドが、他人と同じような高額商品の購入するなど周囲に影響受けた物質的な所有欲から、多くの情報を活用してさまざまな場所や新しい体験、趣味や成長など多様化が進んでいます。
物理上昇(インフレ)の影響
政府と日銀の誘導での意図的な物価上昇で、しばらく大きな物価変動が30年ほど発生してこなかった日本経済ですが、今回の物価上昇でさまざまな影響が起きています。
- 人件費も含め、あらゆる物価が上昇するため、事業継続のためにビジネスで工夫を強いられる。
- 過去の借入金(住宅ローンなど)の元金価値が下がる。※金額は変わりません。
- 高齢世代の貯蓄やタンス預金の資産価値が下がり、事業や労働している現役世代へ、富が移動する。
物価上昇とデジタル化の同時対応が迫られる
30年以上物価を上昇させなく初任給を上昇させることができなかった日本経済ですが、デジタル分野で国際的に大きく遅れています。
円安になってあわてて追いつくためにあらゆる職業がデジタル化の過渡期で、存続が危ぶまれる業種があり一方、新たな業種や働き方などが増加し、社会の進歩や多様性を受け入れる事が迫られています。
まとめ
支給された賃金(給与)を確認して、労働した時間に対し改定された時間給で計算されてない場合は、事業の経営者側に問い合わせましょう。
事業者側の説明時には、後でトラブルにならないよう、両者同意の上でスマホなどで録音しておくようにしましょう。事業者側の考え方や説明が正しいとは限りませんので、最寄りの労働局や労働基準監督にも必ず相談しましょう。
参考リンク
- 厚生労働省 必ずチェック最低賃金:
https://pc.saiteichingin.info - 厚生労働省 賃金引き上げ特設ページ:
https://pc.saiteichingin.info/chingin/
- 作成:2023年10月5日
- 文:能登健
- 出典元:厚生労働省、大阪労働局