被災に便乗した悪質な工事商法に注意! 被災地以外全国で自宅の悪質な点検商法が多発中!
■この記事のポイント
⚫︎この記事は、被災につけ込む悪質な訪問工事業者の手口と対策ついて記されてます。
⚫︎悪質業者は、被災地以外でも消費者の不安を煽って高額な工事の契約を迫る。
⚫︎消費者は、クーリングオフの期間内に契約解除を申し出ることができるが、悪質業者はそれを拒否することが多い。
⚫︎消費者は、消費者相談窓口に相談して、消費者行政の支援を受けることが重要である。
⚫︎消費者は、日本人の危機管理意識の低さや社会構造的な問題に気づく必要がある。
被災につけ込み、悪質な訪問工事業者
悪質業者は被災後に、被災地以外でも「耐震の必要がある、台風や地震に備えて今の屋根の状態は大丈夫か…などと災害の様子などの話を交えて消費者の不安を合理的な判断が出来なくなるまで必要以上にあおります。
悪質業者は、訪問された消費者側が困惑して躊躇(ちゅうちょ)している隙に、居宅を点検しようとします。
軽く雑な点検してから「工事が必要だ」と業者の立場で断定的な表現で、「今回なら業者がすぐに対応できるが、今後は震災後なので業者は忙しくなって対応できなく、工事費用もかなり高くなる」と、緊急性などの不安をあおります。
そしてすかさず、「すぐに契約しなければ、次の時は見積もり条件が変わる」と不確かなウソを積み重ねて、すぐに工事の契約をするように迫って来ます。
この状態では悪質業者が不安やウソで、消費者は合理的な判断ができなくなり、悪質業者の狙い通り高額な契約して、悪質業者は雑な工事をすぐに実施します。
契約後に怪しいと感じ、直ぐに対応した場合は…
後日になって少し冷静さを取り戻した消費者が別宅に住む家族に相談したところ、家族は工事価格が高く驚いて、消費者相談窓口に相談するように被害を受けた消費者に案内しました。
消費者相談窓口に相談したところ、「クーリングオフ期間なので、クーリングオフを申し出れば悪質業者はお金は全額返金する義務が発生します。」とアドバイスをうけました。
相談してアドバイスを受けた日が幸にして契約書面を受け取ってからの日を含めて8日以内だったので、無理由・無条件で契約解除ができるクーリングオフを使おうとし、アドバイスを受けた当日にすぐ、悪質業者に先日の訪問販売で契約した工事をクーリングオフする旨を電話で連絡を伝えようとしましたが、その日には連絡が取れませんでした。
特定商取引法では、クーリングオフは消費者側の発信が期日以内であれば有効ななるため、郵便局で特定記録郵便にて、先日の訪問販売工事を全てクーリングオフして全額返金してほしい旨の内容を記載して、契約書面に記載されていた住所へ送付しました。
クーリングオフの通知を発送して1週間ほどしてから、訪問販売工事をした悪質業者から連絡があり、「契約した工事は終わったので、全額は返金できない」旨の回答がありました。
納得のできない被害を受けていた消費者は、再び消費者相談窓口へ相談したところ、消費者行政から特定商取引法によるクーリングオフのため、法令の通りに全額の返金に応じるように悪質業者へ申し入れをしました。
消費者行政が、消費者被害のあっせんをしたところ、後日に悪質業者から、全額を回収することができ、時間がかなりかかりましたが、粘り強く対応することで、不利益な被害を回復することができました。
被災地以外でも被災地のイメージなどで不安をあおる悪質な訪問工事業者が全国に多発中!
訪問してくる業者は、十分に注意してください。被災地の状況や将来のことを考えた場合に、被災した居宅は当然ですが、被災地以外でも悪質業者は、強引に訪問して勧誘してきます。
悪質な屋根専門業者は、下から見ただけで「屋根に上がって点検した方が良い」と不安をあおります。
被災地以外でも、消費者の被災全体に対する動揺につけ込んだ、悪質な工事業者は日本中にいます。
なぜ、法規制されているのに、散見されるのでしょうか。それは日本人の普段からの危機管理意識が低いところにあります。日本人は災害や犯罪、消費者トラブルに巻き込まれるリスクがゼロではないのにも関わらず、正常化バイアスが強いため「自分は大丈夫」と関心を持たず、何もしないで、ゼロリスクだけを根拠もなく信じています。
くらしにはさまざまな知恵や対策が必要なのはわかっていますが、現役世代は収入から約半分の税と社会保険料を負担させられているため、副業などをしなければ生活が成り立たない状況にある人が多くいます。結果的に労働時間が長くなり、疲弊してくらしの知識の重要度を下げざる得ません。要は社会構造的にくらしの知識へよ無関心が増加しているのです。
その結果は、大切な話も十分に理解する事なく暮らしているので、悪質業者への対策もわからなくなります。「クーリングオフ」のキーワードだけを覚えていて、何にでもクーリングオフが可能であると、多くの方が思い込んでいる現状があります。
【常識を確認】どんな契約でもクーリングオフできるわけではありません
クーリングオフができるのは特定商取引法にて規制されている商法に限定されています。
この手の悪質商法である、訪問販売の点検商法は、特定商取引法で規制されている訪問販売に該当します。
不意打ち的に、悪質業者が不安をあおったり、点検を装って、消費者の訪問販売の対応を聞き入れる動機を形成し、契約をして工事などをした場合は、クーリングオフが可能です。
クーリングオフが可能なのは、法律にそった内容が記載されている契約書面を受け取った日から8日間です。消費者保護のため発信主義になってますので、記録の残る特定記録郵便や、電子メールなどで契約書面を受け取った日を含む8日以内に、消費者側が発信すれば(消費者保護の法律のため、事業者が通知を受け取ったかは関係ありません。)無理由、無条件で契約が解除可能です。
怪しいなと思っても誰に相談すればいいのかわからないし…失敗を相談するのは恥ずかしい…
悪質商法の消費者被害にあっても、当人は誰に相談をしたらいいのかわからないことが多くあります。
身内に相談すると、自分が失敗したことを知らせることになるので、「相談したら負け」と思い込んでいる方が日本人の中には多く、孤立して泣き寝入りしています。
その要因となっているのが、トラブル被害直後のクーリングオフ期間中に、第三者的な相談窓口を探す考えも及ばず、辿り着くことなく、考えも及ばす、クーリングオフが可能な期間が過ぎて、被害回復が難しくなってきます。
周囲の方に知られることなく、第三者的な消費者行政である消費者相談窓口へ相談することまで考えが及べば良いのですが、常に「私は大丈夫」と思い込んでいるため、全国共通ダイアルがあることもあまり知られていません。(消費者ホットライン:全国共通188番)
契約後でも、怪しい、納得できない、理解できないと思えば、消費者と事業者との契約であれば、被害回復の方法が法整備されており、消費者相談窓口であればアドバイスや、被害消費者に代わって事業者への事実確認や被害回復などの支援をしていただけます。
悪質商法被害や消費者トラブル、特殊詐欺などは消費者が理解できないまたは困惑していることに便乗して契約をむすび、契約後は「契約という拘束力があるものに消費者が縛られる」旨の説明を高圧的な態度で、被害消費者との話し合いに応じません。
これでは被害消費者は社会構造的に泣き寝入りするようになると考えられていますが、一人でも多くの方が消費者行政に相談して被害回復に向けて話を進めるようにしましょう。
まとめ
被災につけ込む悪質業者は、被災地以外でも消費者の不安を煽って高額な工事の契約を迫ります。
消費者は特定商取引法に基づいてクーリングオフを行うことができます。しかし、悪質業者はそれを拒否することが多く、消費者は消費者相談窓口に相談して、消費者行政の支援を受けることが重要である。
また、消費者は日本人の危機管理意識の低さや社会構造的な問題に気づき、速やかに消費者被害にあった時の相談先である消費者相談窓口に相談することが大切です。
⚫︎消費者相談窓口:消費者ホットライン(局番なしの188番)※全国共通
⚫︎警察相談ダイヤル:各都道府県の警察相談窓口(局番なしの#9110番)※全国共通
- 作成:2024年1月29日
- 文:能登健
- 出典元:消費者庁、国民生活センター
- 画像:ぱくたそ