【霊感商法の注意喚起】 不安につけ込み合理的な判断力を鈍らせた霊感商法の契約は無効です! つまり契約後でも取消が可能!
霊感商法とは
霊感商法の悪質な手法は古来からあります。
霊感商法とは、ターゲットとなる消費者を霊的な(合理的な検証できない)情報で不安にさせて、霊的な付加価値があるとされる高額な商品などを、合理的な判断力を鈍らせて購入させる手法です。
悪質業者は、独居の方をターゲットに、宗教活動が目的と告げずに、霊的な内容の話で不安にさせて、不安を取り除く方法として弱みにつけ込み高額な価格で商品などを購入契約させます。
霊的な不安をあおる、合理的な判断を鈍らさる例(開運商法も含む)
- あなたの七代前の祖先が殺生をしていたので、その悪霊があなたに取りついて不幸にしている。
- あなたの祖先の男性が色情で女性を不幸にした。その怨念があなたと家族を不幸にしている。
- あなたが以前飼っていたペットが、悲しい亡くなり方をしたので、供養をしっかりとしてあげなければ、あなたはこの先の人生も不幸になる。
- 凶悪な悪霊があなたに取りついているので、体調や病気の症状が良くならない。今後は家族にも症状があらわれる。
- 知り合いの占い師に姓名判断をしてもらったら字画が良くないと言われた。
占い師からは、先祖に供養されていない人がいる、毎日先祖供養し、印鑑を押しながら心の中で願うように言われ、印鑑を30万円程で購入した。
また、家族の幸せのために追加で印鑑を作った。
毎月料金を支払うことで幸せになると言われたが、支払いをやめたい。
- ネットの広告で見た「無料占い」から始め、鑑定士からメッセージが届く有料の占いサイトを利用するようになった。
料金が高額になっており心配だ、やめたいと鑑定士に返信してもそれに対する返信はなく、指示どおり返信を続けた。
家族から危険だと言われて目が覚めた。
支払った料金を返金してほしい。
- 一人暮らしの母のもとに宗教の信者が押し寄せてきて判を押させられ、「入会」させられ、数珠等を購入させられた。
- 知り合いの女性に「あなたの病気が心配。病気が治る。お金はかからない」と言われ、連れて行かれた先で「浄霊」され、入会金を求められた。
最低1万円は払えと言われ、1万円支払った。
パンフレットには意味が分からないことが書いてあり、怪しげな宗教だと思った。
退会して入会金の返金を求めたい。
- 母が複数の預金口座を一つにまとめたが、残金が殆どなくなっていた。
母は宗教を信じており献金したのだと思う。
今までに献金したお金を取り戻したい。
…どれも合理的な検証ができない内容である反面、誰もが内容を否定できない事です。
特に③のペットが悲しい亡くなり方…ペットが亡くなれば悲しいのは当たり前ですが、ペット自身が悲しかったのか、大好きな飼い主に看取られてよかったと感じてるのかは、確認する手段はありません。④については医療機関に任せるべきです。
ですが、そこにつけ込んで心を揺さぶり不安にさせる動機を形成することが特徴です。
事実確認が出来ない話を根拠に不安にさせて、高額な商品などを販売契約させる事は、詐欺的で反社会的な手法であり、決して許されるものではありません。
また法的には、事業として認められないため契約が無効となるのです。
残念ながら、社会の一定数の方々は霊感商法の被害にあい、そして相談先すら分からず霊感商法の沼から抜け出せなくなっているのは事実で、不幸が連鎖しています。
社会課題として、社会全体がタブー視せずに向き合って、“被害の未然防止の仕組みづくり”が今後求められる社会の取り組みです。
不安にあおられても一旦冷静になりましょう。
そもそも、霊的な内容の話がキッカケで不安になる前は、何もなかったので前後で変化はないはずです。
霊感商法は、悩み事と霊的な話とつなげるようにして、課題解決としてのアプローチ手法として、現実問題に向かあうことはなく現実逃避を勧めます。
悪質業者は、ターゲットを現実逃避の沼に引きずり込んで、さらに次から次へととさらに不安にさせ、高額な購入契約をさせ、最終的には経済的に破綻させます。
最近の霊感商法の手
最近では、悪質業者はインターネットのSNSなどで、ターゲットの人間関係や趣向、仕事や生活スタイルを徹底的に調べてから、SNSなどで軽く接触を試みてきます。
ターゲットである消費者には、悪質業者側は宗教活動などが目的であることを隠して接触してきます。
悪質業者と、ある程度の人間関係が形成された状態になっていると、以前の他の人間関係が破綻していたり、一定の距離を置かれている場合があります。
いつのまにかその霊感商法を盲信してしまって、多重債務をして霊感商法の沼から抜け出せなくなり、悪質業者側になっているのがこの手の悪質商法の恐ろしさです。
霊感商法は契約後でも、契約が取消可能!
上記のような一般的な悪質な霊感商法は、令和元年6月15日の法改正以降は契約そのものが無効ですので、契約後であっても取消が可能です。
霊感商法は度々社会問題になっていますが、消費者問題として不当な契約で無効であると消費者契約法で規定され、国民に注意喚起の周知が開始されたのは平成30年です。
法改正がずいぶん最近で、それより以前の霊感商法の被害は個別に、事業者や宗教法人と経済的な被害者である消費者の間で、紛争などで経済的な被害回復などをしていました。
現在では消費者契約法の法改正で、霊感商法の契約自体が法的に契約として認められるものではないため、最初からなかったものとされ、無効取消を申し出れば、事業者は応じる義務があります。
消費者契約法とは
消費者契約法とは、民法の特別法で民法で解釈する以前に消費者契約法に抵触すれば、その契約は無効となる強い効力の民法の特別法です。
「信教の自由」を人権侵害する口実にする事は許されません!
日本国憲法の第十一条以降では人権を侵害する行為は不法行為となっています。第二十条の「信教の自由」の権利はあり保障されてますが、他者の自由な意志や権利を侵害する行為は許されません。
つまり嫌がっている他人を何度も宗教に勧誘する行為は、明確な人権侵害となるのです。
また、本人の意に反して誤った情報で囲い込むようにして、信じ込ませることは人権侵害となります。
ジョーク的な回避策
ちなみに私に対して宗教勧誘などがあった場合は、「私はフライング・スパゲッティ・モンスター教を信仰してます。」とハッキリ断る口実のために作られた宗教を明示して、勧誘者に対して対策済みである事を知らしめています。
面倒なのであらゆる話について、真剣な話はあなたとはしませんと、勧誘者に知らしめるには有効な手段です。※ご利用の際は上記の宗教の経緯を調べてからお使いください。
まとめ
霊感商法は、親族や知人関係などあらゆる人間関係を悪用して迫ってきます。
人間関係を悪用している部分で、他人に相談する事をある程度阻止していますが、そもそもが合理的な根拠のないため、関わる事で周囲から強い疎外感を感じてしまうでしょう。
経済被害が発生するおそれがあれば、必ず行政サービスの消費者ホットライン(局番なしの188)へ相談してください。
参考リンク
- 消費者庁 消費者契約法のリーフレット:
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/consumer_contract_act/public_relations/pdf/public_relations_190401_0001.pdf
- 作成:令和4年8月11日
- 文:能登健
- 出典元:消費者契約法、日本国憲法
- 画像:いらすとや、ぱくたそ