【SDGsの世代間ギャップ】 脱炭素社会や海洋汚染、脱プラスチック、性差別、児童労働、児童婚,食品ロスなど、現代社会が抱える環境問題や社会課題

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 SDGsは2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。 SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本としても積極的に取り組んでいます。

SDGsが示す「持続可能な開発」とは

○将来の世代がそのニーズを充足する能力を損なわずに、現世代のニーズを充足する開発のことです。
○そのためには、人々と地球にとって包摂的、持続可能かつ強靭な未来に向けた取り組みが必要です。
○持続可能な開発を達成するためには、経済成長、社会的包摂、環境保護という3つの主要素を調和させることが欠かせません。

SDGsの日本での問題点

 一人ひとりの認識や意識によって、生活の中で取り組める行動が大切なのですが、日本人特有のの大衆意識や同調圧力で、自ら深刻な問題を認識して、率先して行動する方は少数派です。そして、人口割合が少ない若い世代が自らの深刻な問題として捉えています。

↑中学生向けの副教材『私たちがつくる持続可能な世界~SDGsをナビにして~』(外務省・日本ユニセフ協会作成)
※画像をクリックするとPDFが開きます。

世代間によって認識が異なる

 世代によって若い人ほど、今後の将来の時間が長く、降りかかってくる課題が深刻になるため、課題を深掘りして自分自身の世代が背負い解決していかなければ、とんでもない将来になると危機感を感じて同世代で論じています。
 一方で、世代によっては、自分自身の同年代だけを考え将来に深刻な影響がないと考えて、自発的に調べようとしない方々が多いことが残念です。

経済な報酬(インセンティブ)がなければ無関心な国民性

 この国民性を鑑みて、政府は脱プラスチックを全世界的な環境問題として考えるキッカケとして、レジ袋の有料化が開始されました。
 増税後のキャッシュレス還元期間が終わる頃に、レジ袋の有料化を施行したことで、わずかですが経済的な負担が増えてレジ袋を必要とする方は、ペナルティー的に有料で購入して、予め買い物用のマイバッグなどを持参してレジ袋を利用しない場合は、レジ袋の費用が加算されないインセンティブが発生して、経済的な変化があったことで、多くの国民が脱プラスチックについて考えるようになりました。
 生活の中で何が日常消耗品で、繰り返し利用する事を大多数の国民が考えて行動を起こすキッカケとなったと思います。

権威的な押し付けによる上からの指示待ちで、自発的には行動には消極的

 行政や組織、家庭、学校などの集団の中で、上からの権威的な押し付けによる指示であると、その具体的な手段が目的になり、本来の目的や意味が伝わりにくく、指示されたことが理由になり、自ら考える機会を失います。
 本来は、主体性をもって自ら行動し、現実問題の深掘りをしなければなりませんが、実践する方は少ない国民性です。

厳しい現実を受け入れて、さらに将来世代へ負担を押し付けない

 今の生活のニーズを、将来の世代に負担をかけずに実現できるようにするためには、持続可能な取り組みが必要です。

 「そんな数年先のことはわからないし、生きているかわからない…」こんな無責任な言い訳はいけません。自分たちの世代だけが環境破壊をして、気候変動の影響が深刻になってきている中、既に影響が明らかに発生しており、集中豪雨の多発、夏場の異常な気温上昇、強力な台風の発生頻度上昇、海洋汚染やマイクロプラスチック問題など、生命を脅かす深刻な影響がジワジワと繰り返し発生して、危機感を感じるようになっている方は少なくありませんが、解決へ向けての根本的な取り組みはされていません。

SDGsの5つの特徴

  • 普遍性:先進国を含め,全ての国が行動
  • 包摂性:人間の安全保障の理念を反映し,「誰一人取り残さない
  • 参画型:全てのステークホルダーが役割を 
  • 統合性:社会・経済・環境に統合的に取り組む
  • 透明性:定期的にフォローアップ

持続可能な開発目標(SDGs)の詳細

目標1:貧困
あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる。


目標2:飢餓
飢餓を終わらせ,食料安全保障及び栄養改善を実現し,持続可能な農業を促進する。


目標3:保健
あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し,福祉を促進する。


目標4:教育
すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し,生涯学習の機会を促進する。


目標5:ジェンダー
ジェンダー平等を達成し,すべての女性及び女児のエンパワーメントを行う。


目標6:水・衛生
すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する。


目標7:エネルギー
すべての人々の,安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する。


目標8:経済成長と雇用
包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある 人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する。


目標9:インフラ,産業化 イノベーション
強靱(レジリエント)なインフラ構築,包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る。


目標10:不平等
各国内及び各国間の不平等を是正する。


目標11:持続可能な都市
包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する。


目標12:持続可能な生産と消費
持続可能な生産消費形態を確保する。


目標13:気候変動
気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる。


目標14:海洋資源
持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し,持続可能な形で利用する。


目標15:陸上資源
陸域生態系の保護,回復,持続可能な利用の推進,持続可能な森林の経営,砂漠化への対処ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する。


目標16:平和
持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し,すべての人々に司法へのアクセスを提供し,あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する。


目標17:実施手段
持続可能な開発のための実施手段を強化し,グローバル・パートナーシップを活性化する。


まとめ

 SDGsは、国連加盟国の全ての国民、全世代の努力にて、次の世代が負担のないように、持続可能な社会の仕組みをつくることが大切です。
 そして、全く何も落ち度がない将来の世代が、過去の世代が目標だけを立てて、達成できなかったと恨まれないように、達成しなければなりません。

 そのためには、一人ひとりが仕事や暮らしの中で、些細なことでも配慮して取り組まなければなりません。
 目標のレベルは高いかもしれませんが、皆さんが協力して達成しなければ社会や地球環境は、悪化の一途をたどるでしょう。

 一人ひとりがSDGsの内容を理解して、個人レベルでも取り組むことが大切です。

関連リンク

  • 作成:令和2年12月24日
  • 文:能登 健
  • 出典元:外務省、国際連合広報センター
  • 絵:いらすとや
能登 健
  • 能登 健
  • オフィスまちかど 代表
    大阪で活躍する消費者問題と、デジタル分野に詳しいファイナンシャルプランナー
     
    主にスマホ乗換相談事業者として、消費者に寄り添った対応で、利用プランと支払い額の最適化を実施し、余分な支払いを削減している。
     
    化学プラント設備メーカー、産業用エンジンメーカーの商品開発(防災用発電設備)のプロジェクトリーダー・マネージャーなどを経て、現在に至る。
    課題を解決するために、問題を深掘りし、組織を横断して、さまざまな問題に対応し、解決へ導くことをライフワークとしている。
     
    ファイナンシャルプランナー(国家資格:FP技能士)、情報処理技術者試験 初級システムアドミニストレーター(国家試験)、相続診断士(相続診断協会)、お客様対応専門員(消費者庁後援)、色彩検定2級(文部科学省後援)
    デジタル推進委員(デジタル庁)、食品ロス削減推進サポーター(消費者庁)