【クルマの走行計画】 脱炭素の前に、減炭素の生活では?
COP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)が10月31日から11月12日まで、英スコットランド・グラスゴーで開催されています。
この会議の内容は、私たちのくらしに大きな影響があるものです。
なぜなら、科学者や環境保護活動家などよりも、各国の首脳代表団が政治への影響力があり、各国の計画に大きな影響を及ぼします。
各国の首脳代表団は、気候変動と経済発展を両立したい想いがありますが、現状の技術では両立が困難なものです。
画期的な技術革新なしで、計画を決めて進めると、今後の人類は大きな犠牲を背負うことになります。
日本は環境問題で、他国に共感されない条件下で苦労
日本は火山が多く、地殻プレートが複数合わさる地震が多い地域です。
さらに大陸の東側の島国であるがゆえに、年間を通しての気候変化が激しく、台風の通り道にもなっています。
日本は他国と異なった環境条件で、厳しい制約の中で気候変動対策に取り組もうとしていますが、共通の認識を持てる地理や気候の条件の国がありません。
日本国内では自然由来の再生可能エネルギーの活用が諸外国のように普及が難しく、そのため、日本ならではの独自の取り組みが世界で共感を得にくく、欧米諸国の環境保護活動団体には、遅れていると一方的な厳しい評価をされがちです。
何事も結果を直接目指すのは短絡的な発想
環境保護活動や気候変動対策、温室効果ガス排出削減対策には、結果に直結する行動以外は認めないという、しばしば極論が話題になります。
そもそも文明的な社会で活動している時点で、情報を発信すること自体が、水やエネルギー、さまざまな工業生産品を利用して、情報が拡散していることには、なぜか都合よく棚に上げて話をしているようでしかなりません。
極端な理想だけを考えてみて、移動は徒歩か自転車で、活動時間は日中のみ、通信は伝書鳩、食事は植物のみで加工はしないなど、徹底しても極端に不便で、実質的には情報発信は不可能です。
怪しいビジネスやサプリメントの勧誘が、この手の将来の不安をあおり、極端な思想に持ち込もうとしますが、勧誘の際に将来の不安をあおる事は、消費者契約法で取消可能な不適切な勧誘行為となっています。
極端な不安をあおる行為は、ビジネスではよくある事で、消費者は不安や不満を解決するために消費行動を実施するのです。
何もしないか全てするかの2択の発想は危険
例えば、何も取り組めていない人を0%として、全てしていると強く想いがある人を100%と考えて、100%の人が0%の人を非難するのは、単なる自己満足で、分断が生じます。
これでは情報発信しても理解が深まりません。
ここまでなら30%で…など、さまざまな生活スタイルに合わせた複数の選択肢を示して、相手の多様性を尊重しながらていねいに導くことが、必要であり大切だと考えます。
例えば、クルマの移動は?
クルマを利用する際に、移動のために駆動する目の前のエネルギー源が、電気なのか化石燃料なのかで大別して、化石燃料を利用するクルマを利用することに罪悪感を発生させるようなキャンペーンをしています。
ですが、全ての消費者が電気をエネルギー源とした電気自動車を利用するとなると、世界中の自動車メーカーにはそれに応える生産能力はありませんし、充電設備も整備されていません。現実的には無理な計画なのです。
日本国内での自動車メーカーの取り組み
日本ではガソリンエンジンが燃費と発電効率のよい定回転で発電させながら、電気モーターだけで駆動する簡易的な電気自動車があり、現状は火力発電所で発電した電力を送電されてきて、利用するより効率が良いものもあります。
多くの大災害を経験している日本ならではの、電力だけに頼らないリスク分散型エネルギー対策なのですが、国際社会では完全な電気自動車を導入する事を前提に、新たな自動車が普及製造がされています。
現実的な導入可能な対策
エンジン駆動車は全く温室効果ガス排出削減対策が不可能か?それは違います。
実は、運転方法でかなり変わります。
もっとも大きな効果がある手段は、目的地を決めて、最新の地図情報と、常に変化する交通情報を考慮したルート案内で、走行時間と走行距離が短縮され、使用される燃料は少なくなります。
ナビゲーションで少し先に一時停止の標識があることがわかっていれば、加速も無駄にしませんよね?
日本のお家芸とも言うべき高性能なカーナビゲーションでなせる技で、最近ではスマートフォンの一部の機能を、カーナビゲーションの画面に利用したり、スマートフォン本体を車内に固定して、効率がよいルート案内を利用されている方々が増えています。
短い距離でもエンジンをかける前に目的地を決めて、走行計画を工夫することで、使用燃料の削減と時間短縮が可能です。
これらを継続することで、年間の使用燃料と走行時間が短縮され、経済と時間に余裕が生まれます。
まとめ
スマートフォンや通信環境がこれほど進歩することが10年前には予見できなかった社会環境がゆえに、駆動方式を電気に変えるなどの大胆な事をしなければ、環境に悪いと0%か100%の選択肢を突きつけられた消費者に過度な経済的な負担が押し付けられているようでなりません。
自動車メーカーは、さまざまな利用方法の工夫などを含めた現実的な共生可能な0〜100%の選択肢グラデーションを示して欲しいものです。
私たち消費者は、持続可能な社会の構成員として、商品やサービスを利用する事でさまざまな多方面に与える影響に配慮する「使う責任」を意識しましょう。
- 作成:令和3年11月5日
- 文:能登 健
- 出典元:外務省
- 画像:ぱくたそ、いらすとや