【スマホの法改正】 販売時のSIMロック禁止に、でもiPhone以外は他社の通信に非対応の場合も!

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 携帯電話やスマートフォンなどを販売した通信会社が、自社の通信サービスでしか通信できないように制限を設定しているSIMロックが、令和3年10月から原則禁止になります。

SIMロックとは

 スマートフォンより以前の3Gの携帯電話から、電池の奥にSIMカードが入っていた携帯電話をご利用されていたと思います。
 SIMカードには携帯電話番号などの個別の情報が入っており、3G以降の携帯電話はSIMカード無しでは電話や通信が一切できません出した。

 SIMカードは、当初はひとつの携帯電話でSIMカードを入れ替えることで、異なる電気通信事業者の通信サービスが利用可能や、電話番号が使い分けが可能になります。
 国際標準規格ISO/ICE 7810 “ID-1″およびISO/IEC 7816のICチップ内蔵のクレジットカードなどと同じ産業規格で、具体的にはISO/ICE 7810 “ID-000″がSIMカードの標準SIMサイズに該当します。
 物理的なSIMカードのサイズは、大きなものから、標準SIM、 miniSIM、 microSIM、nanoSIMと4種類あります。

 同じ携帯電話やスマートフォンなどの通信機器を世界中に販売するためには、国際標準規格に準拠したSIMカードが使えるように設計することで、利用者がひとつの携帯電話にSIMカードを入れ替えることで、さまざまな国で通信可能にすることを目的としています。

 例えば海外旅行先では当然ですが、EUのように国家間が陸続きで、国境を越えると先の国のSIMカードに入れ替えて使うことを想定しています。
 蛇足ですが、EUで国際標準規格で主導権を握り、EUに産業界で有利に進める手法は以前からよくあり、日本は、国内の標準規格を国際標準規格にする事は苦手とされています。これは日本国家としての今後の先進技術分野の進め方の課題になっています。

今までのSIMロックの状況

 低価格での通信サービスを手掛けている、いわゆる「格安スマホ」や「格安SIM」と呼ばれる、自前設備は持たずに大手の携帯電波の基地局を保有している電気通信事業者から、回線契約を借りているMVNO(仮想移動体通信事業者)や、前例を打破する低価格での自前の通信ネットワークを設置して、新規参入した楽天モバイルは、現状でも消費者の不利益につながるとして、SIMロックを設定していません。

 既存の通信大手3社は、一定の条件を満たせば解除していますが、取り組み状況には各社で対応の難易度に格差があり、総務省は「スマートフォンを購入した消費者の、通信サービスの選択肢の利便を損なう」、「事業者間の競争を阻害する」として、令和3年10月1日からの新商品について、事業者側でのSIMロックを原則禁止にする法改正の施行が始まりました。

国内各社の5Gと4Gの使用周波数は電気通信事業者別に異なる

 各社で携帯電話の利用する電波は異なり、総務省にて割り当てられています。

 5Gは、後述する4Gと比較して、高い周波数帯の電波が割り当てられています。高い周波数はより多くのデータを高速に通信が可能ですが、電波の特性上は直進性が高く、障害物には特に苦手です。
 特にn275(28GHz帯)は、高速大容量の通信が可能ですが、極めて直進性が高く、雨や霧、雪などの天候に弱いため、限定的に使用が開始されています。
 国内で現在販売されているiPhoneは対応していません。

 4Gは、限られた電波を細かく割り当てられています。国内で販売されているiPhoneは、全ての周波数帯に対応していて、SIMロックがなければ国内全ての通信サービスが利用可能です。
 電波の特性上、周波数が小さい数値(700〜900MHz)ほど障害物に強く、プラチナバンドと呼ばれています。
 電波の特性は、ラジオのAMとFMそれぞれで、周波数の値が小さい、ラジオ局の放送電波がハッキリと遠くまで聴こえることで、ご存じの方は多いと思います。

AndroidスマートフォンのキャリアモデルはSIMロックと関係なしに、自社の通信サービスにしか対応していない場合が多い

 AppleのiPhoneは国内携帯各社の全ての周波数に対応しており、SIMロックがされていなければ国内の通信サービス各社を自由に選択でき、消費者の利用スタイルに合わせて通信サービスを変更可能です。

 ですが、Androidスマートフォンでは転出先の電気通信事業者の周波数に対応してい場合が多く、他社の通信サービスが利用できないため、実質は乗り換えることはできません。

 法改正後に販売開始するAndroidスマートフォンのSIMロックを原則禁止にした場合であっても、スマートフォン本体側の消費者側の自由な通信サービスの乗り換えを阻害する状態が継続することになります。

他社の通信サービスが使えないのは、事業者によるスマートフォン本体の最適化?

 Androidスマートフォンでは同じメーカーの同じモデルにもかかわらず、販売する電気通信事業者が自社の通信サービスのみに対応するよう周波数を設定している場合が多くあります。

 電気通信事業者は自社ネットワークへの最適化した商品を提供しているのですが、消費者が購入した高額なAndroidスマートフォンを、販売元以外の国内他社の通信サービスに乗り換えを前提に設計されていません。

 SIMロックが解除対応または禁止されているAndroidスマートフォンであっても、国内他社での通信サービスの乗り換えての利用は、法改正後であっても実質は困難で、電気通信事業者の「いき過ぎた囲い込みの禁止」や「消費者の自由な通信サービスの選択」は改善されずAndroidスマートフォンの課題は残り続けるでしょう。

 例として、AppleのiPhone13/Proシリーズと、SONYのフラッグシップモデルであるXperia 1 Ⅲのキャリアモデルの周波数対応状況を可視化しました。楽天モバイルはXperia 10 Ⅲ Liteを取り上げています。

5Gの種類でありる①sub6、②ミリ波、③4Gの5GNR化について

  1.  sub6はn77、n78、n79で高速、低遅延、多数接続が可能です。
     
  2.  ミリ波の現状はn257のみで、超高速、低遅延、多数接続が可能ですが、性能は降雨や雪や霧などの天候による大気中のわずかな障害物に影響されます
     
  3.  NR化は既に電気通信事業者に4G(LTE)として割り当てられている周波数(バンド)を5Gに転用することであり、通信速度は4Gと変化はありません。また、4Gから5GのNR化が進むことで、4Gの速度低下などに影響が発生します。
     これは通信会社でも考え方が分かれておりNTTドコモは、5Gと表示されていても4Gの転用なので通信速度が変わらないことから、消費者をあざむいている景品表示法の優良誤認表示に該当するのではないかと、導入に慎重になっています。
     総務省は見切り発車で、NR化による高速通信を満たしていなくても、他の2項目である低遅延と多数接続のひとつでも満たしていれば、5G表示をしてもよいよ見解を出しています。
     今後は消費者庁が消費者を欺いていると判断すれば、総務省の決定は覆る可能性は十分あります。

※下記の比較表では、4Gを5GにNR化した対応状況は、iPhone13/Proシリーズが全ての国内4Gが5GのNRに対応しているため、比較などを省略しています。既にiPhone側はあらゆる想定を考慮して設計されており、Androidスマートフォンのキャリアモデルの商品力と比較すると散々な結果になるので、割愛しています。

機種または電気通信事業者700MHz帯
バンド28
800MHz帯
バンド18/26
800MHz帯
バンド19/26
900MHz帯
バンド8
1.5GHz帯
バンド11
1.5GHz帯
バンド21
1.7GHz帯
バンド3
2.1GHz帯
バンド1
3.5GHz帯
バンド41/42
※5G
3.7GHz帯
n77
※5G
3.7GHz帯
n78
※5G
4.5GHz帯
n79
※5G(ミリ波)
28GHz帯
n257
iPhone13/Proシリーズ
 
●/●●/●●/●✖️
Xperia 1 Ⅲ
ドコモモデル
●/✖️-/●
NTTドコモ
の周波数 
○/○-/○
Xperia 1 Ⅲ
auモデル
●/●-/●
auの
周波数 
○/○-/○
Xperia 1 Ⅲ
ソフトバンクモデル
●/●
ソフトバンク
の周波数
○/○
Xperia 10 Ⅲ Lite
楽天モバイルモデル
●/✖️○/-○/-✖️
楽天モバイル
の周波数
△/△
※au回線利用
↑各社の対応している携帯電話の電波と Apple iPhone 13シリーズとSONY Xperia 10 Ⅲ/Xperia 10 Ⅲ liteの対応状況
●:販売している通信会社の周波数に対応、○:販売している通信会社が対応していない電波、✖️:販売している通信会社の電波に対応していない、-:販売しているモデルが対応していない電波

 ご覧いただくとすぐにわかりますが、iPhoneは国内の5Gのミリ波以外の全ての電波に対応しています。※iPhoneの5Gのミリ波対応モデルは全世界でもアメリカ国内専売モデルのみになりますので、Appleは日本国内の5Gミリ波のエリア拡大状況を見定めてから、市場投入すると思われます。
 一方、AndroidスマートフォンのXperia 1 ⅢはSONY直販のSIMフリーモデルがなく、販売する電気通信事業者ごとに通信の最適化が実施されており、他社の通信サービスを利用しようとしても他社の電波が利用できなくて、通信エリアが限定され結果的には消費者側の通信サービスでの不利益が発生します。

 これは、Androidスマートフォンのメーカーの直販だけでは販売力が弱く、販売台数が少なくなるため、従来からの販売ルートである電気通信事業者の販売代理店の協力が必要になっています。そのため電気通信事業者の都合で、対応する通信サービスに特化し、他社の通信サービスを排除したモデルになりがちです。
 AppleのiPhoneのように強力なブランド力があり、Appleの直販であっても十分に販売力があれば、SONYも直販モデルを充実させていくでしょう。

通信サービスの契約と端末購入は法改正で完全分離されています

 自動車に例えると、自動車の購入はメーカーのディーラーなどで購入します。通信サービスにあたる燃料はガソリンスタンドで給油します。ガソリンスタンドで新車販売をしている場合もありますが、自由度は低くかなり限定的ですので、例外的なものとなります。
 白米は食料品販売ルートから購入し、炊飯器は家電量販店などでを購入します。食料品売り場で、白米と炊飯器を購入する事はありませんし、またその逆はありません。

携帯電話業界では、従来からの商習慣を事業者側からTVCMなどで繰り返し広告し、消費者の新しい購入と契約の行動変容を妨げているのが現状です。

Androidスマートフォンは、国内全社の通信に対応するのは実質困難

 AppleのiPhoneは全世界で販売されており、1種類の機種での販売台数が他社のAndroidスマートフォンの一つひとつの機種に比べて、圧倒的多く通信サービスに対応する開発テストに費やすコストも十分にあります。

 そのため、開発費用や開発期間を軽減するために、国内の電気通信事業者の販売代理店で扱われているAndroidスマートフォンは販売されている電気通信事業者の通信サービスにしか対応していない事が多くなります。

 iPhoneのようにSIMロックがされていない状態にしても、消費者が自由に通信サービスを選べることにはならないことが現実です。

 仮に国内4社の通信サービスに対応するように義務づけた場合は、Androidスマートフォンは開発コストが上昇して販売価格が上がり、消費者がiPhone以外の選択肢が低下して、スマートフォン本体の公平公正な市場競争を阻害することになりかねません。

 せっかく国内メーカーが、国内市場の売り場で、低価格帯から高価格帯までバリエーションを揃え始めた、SONYのXperiaシリーズ、SHARPの AQUOSシリーズ、FUJITSUや京セラなどのスマートフォンがある中で、バリエーションを揃えるために、特定の電気通信事業者の通信サービスだけに対応し、販売価格を抑え、海外勢のGalaxyシリーズなどと同じように店頭で見かけるようになってきた状態です。

 このような状態の理由には、Androidスマートフォンは国内全ての通信サービスに対応しないことで販売価格を抑えて、消費者に個性的な機能面で満足してもらうことを優先していることがあります。

 iPhoneとAndroidスマートフォンは対応している電波の種類が圧倒的に違い選択肢に格差があることはとわかりいただけたと思います。.

 しかし、そこで何も知らないふりをして、販売代理店へ訪れると、ほとんど言っていいほど、店舗スタッフにAndroidスマートフォンを強く勧めてきます。
 これは、消費者がよく知らないことにつけ込んで、実質的に他社への転出が困難で、利用サイクルの2年経過後に再来店の機会を作っているのです。

 そして、iPhoneよりAndroidスマートフォンを販売した場合に販売代理店の販売利益が大きいと言われているためです。ですので、そのような販売代理店などのスタッフは、消費者の意向なんてあまり配慮していません。ですので、相手にせず、用事を思い出したと言って退店してください。


まとめ

 スマートフォンを2年以上大切に使い、自由に通信サービスを変更したいのであれば、iPhoneを選択すれば良いでしょう。

 利用できる通信サービスが限定的で、通信サービスの価格の自由度よりも、AndroidスマートフォンのiPhoneにない個性的な機能を優先し、スマートフォンの利用サイクルが2年程度と考えるのであれば、個性的で気に入ったAndroidスマートフォンを選択肢に入れて、スマートフォンを購入しましょう。

 スマートフォンは2万円程度の機種から20万円を超える高価格な機種もあり、購入に際しては出費が高額になることから、分割払いを利用することで毎月の支払額を抑えて、あまり考慮しないことがあったと思います。

総額は高額な出費になりますので、通信サービスの料金を含めて長期的な計画を検討するかしないかで、経済格差や消費者問題につながりかねないと懸念されています。

参考リンク

  • 作成:令和3年9月30日
  • 文:能登 健
  • 出典元:総務省、 NTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイル、Apple、SONY
能登 健
  • 能登 健
  • オフィスまちかど 代表、ファイナンシャル・プランナー、グラフィック・デザイナー、エンジニアリング・アドバイザー、システムアドミニストレーター、相続診断士、お客様対応専門員(CAP)、消費者啓発活動ボランティア、課題解決型・組織横断型地域ボランティア