クラウドファンディングへの出資!?それ本当に大丈夫!?

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クラウドファンディングとは

 “クラウドファンディング”という言葉が2014年以降から少しずつ増えて、数年前から急激に増えています。
 クラウドファンディングとは、不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを指す、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語です。ソーシャルレーティングとも呼ばれ、日本語ではクラファンと略されることもあります。
※IT用語のクラウド(cloud)とは関係ありません。

 クラウドファンディングは資金提供者に対するリターン(見返り)の形態によって下記の3類型に大別されます。

  • 金銭的リターンのない「寄付型」
  • 金銭リターンが伴う「投資型」
  • プロジェクトが提供する何らかの権利や物品を購入することで支援を行う「購入型」

金銭的リターンのない「寄付型」

 見返りを求めないで、ただ寄付するだけです。たとえ本当に提供した資金が目的外に使われようが、何も確認する手段はありません。
 確実な方法としては、資金提供前に相手に直接会って説明を受けて納得する事です。
 寄付事業には必ず目標予算があってしかるべきです。決算書や貸借対照表の提示を求める事も有効な手段ですが、粉飾決算していれば全く意味がありません。

金銭リターンが伴う「投資型」

 日本では金融商品取引法の第2種金融商品取引業の登録が必要です。登録していない業者の投資型クラウドファンディングは、金融商品取引法の違反の疑いがあり、投資詐欺の可能性が極めて高いです。
 未公開や非公開のクラウドファンディングの話でセミナー風なものに誘われたら、まず確認しておきましょう。登録手続き中と濁されたらそれは詐欺です。何かしらの理由をつけて勧誘相手とは合わないようにして、速やかに消費者ホットラインへ連絡しましょう。

プロジェクトが提供する何らかの権利や物品を購入することで支援を行う「購入型」

 購入型は主に一般消費者が資金の提供者となることから、瑕疵担保責任が生じるほか、特定商取引法や景品表示法など消費者関連法の規制対象となります。
 インターネットで募集しているタイプは大半が購入型です。ですが独自性と先進性があるように誇大広告や説明をして、実際には既に大手ブランドから低価格で良いものが販売されているにもかかわらず、情報弱者が資金提供するのを募っている案件が散見されます。

筆者の体験談

 筆者は実際に大手新聞社系の購入型のクラウドファンディングサイトにて、こんなのあれば良いなと思ってみていたものは、ショルダーバッグの重さの負荷を肩に一点集中ではなく分散させるためのショルダーパッドの説明が丁寧で、思わずその募集説明を全て読みました。募集価格は6,000円程度でした。
 そして欲しいと思いしばらく考えて、“ショルダーパッド”で検索すると、マンハッタンポーテージというショルダーバッグで有名なブランドが2,000円程度で販売していたのです。
 正規ブランドサイトにてマルイで販売してる事がわかったので、現物を確認してから購入しました。
 このように独自性や先進性はなく、構造や仕組みを真似た商品の誇大広告で、人を欺くような案件が散見しており、必ず同様の商品が既存しているか確認しないと簡単に悪質業者に資金が集まります
 よく考えると、実績もない会社に資金提供して商品が出来上がるのを待つなんて、本当に真っ当な商品が出来上がるかさえわからないというとてもリスクの高い、お人好しな話です。
 その資金が闇に流れて結果的にマネーロンダリングに協力するなんてことがないように、必ず確認しましょう。


まとめ

 こう調べてまとめてみると、クラウドファンディングの全てが胡散臭くなりますが、中には本当に良い案件もあるようです。
 ですが実物も見ないで不動産を購入するようなもので、それが原野だっりするわけです。
 現物や募集人に直接会って十分な説明を聞いて、納得した上で行ってください。
 おそらくここまで警戒するように注意喚起すると、誰も安易に資金提供することがなくなると思います。
 ですが、地域おこしやNPOなどがクラウドファンディングで地域事業をする場合も増加していますので、その公開されている情報を確認して、電話確認や現地確認など図々しく事業に参画する事を前提に調べる程度が良いかもしれません。

ファイナンシャル・プランナーから一言

 まだ公開されていない情報で、この瞬間にあなただけにしか教えることができない、内密にして欲しい、儲かる情報などほど、胡散臭いものはありません。もしそれが本当であればインサイダー取引になり犯罪行為になりますから、どちらにしてもデメリットしかありません。
 要点を確認して、その裏を取り、その話から手離れする判断をする事が大事です。

  • 消費者ホットライン:局番なしの188(い・や・や)
  • 作成:令和元年10月18日、更新:令和2年9月4日
  • 文:能登健
  • 画像:ぱくたそ
能登 健
  • 能登 健
  • オフィスまちかど 代表
    大阪で活躍する消費者問題と、デジタル分野に詳しいファイナンシャルプランナー
     
    主にスマホ乗換相談事業者として、消費者に寄り添った対応で、利用プランと支払い額の最適化を実施し、余分な支払いを削減している。
     
    化学プラント設備メーカー、産業用エンジンメーカーの商品開発(防災用発電設備)のプロジェクトリーダー・マネージャーなどを経て、現在に至る。
    課題を解決するために、問題を深掘りし、組織を横断して、さまざまな問題に対応し、解決へ導くことをライフワークとしている。
     
    ファイナンシャルプランナー(国家資格:FP技能士)、情報処理技術者試験 初級システムアドミニストレーター(国家試験)、相続診断士(相続診断協会)、お客様対応専門員(消費者庁後援)、色彩検定2級(文部科学省後援)
    デジタル推進委員(デジタル庁)、食品ロス削減推進サポーター(消費者庁)