【簡単にもうかる】 「転売ビジネス」に注意!

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 「簡単にもうかる」などの口コミで、人気商品の「転売ビジネス」のもうけ話を自分自身でも簡単にできると思い込み、クレジットカードを利用して多数の商品を購入して、フリマサイトやオークションサイトなどで購入価格より高額で売れるはずが、クレジットカードの支払い日が迫ってきて、購入価格を下回るメーカー希望小売価格と同程度に価格を下げて販売せざるを得ない状況になって、フリマサイトなどの手数料分を考慮すると赤字になった、簡単にもうかると信じたために大きな被害が多数発生しています。

価格が高騰しても転売を繰り返す転売ビジネス

 昨年から継続している新型コロナウイルス感染症の蔓延防止対策として、自宅にて過ごす時間が増えて、家庭用ゲーム機などの需要が急騰しました。そのため、家庭用ゲーム機がメーカー希望小売価格より高額な価格でフリマサイトなどで取引きされるようになっていました。さらに転売目的で高額になっている家庭用ゲーム機を購入して、さらにフリマサイトへ出品するという異常な状態になっていました。

 ひとつの商品をフリマサイトなどで転売を繰り返すたびに価格が上がり、クリスマス時期の1ヶ月前では2倍以上になっていました。

転売ビジネスは出荷計画を認識してないため、いずれ破綻する時期が来る

 ニンテンドーSwitchは、クリスマス時期を迎える前に、メーカーが大量に安定供給を開始して、本来必要としている消費者がメーカー希望小売価格以下で購入可能なようになり、転売ビジネスで高額で購入した大量の在庫を調達した価格より大幅に下げて転売ビジネスをしていた方は大赤字になりました。
 クレジットカードなどの返済期限までに支払いができないため、仕方がなく赤字で在庫を全て手放す必要があったのです。
 さらに、それまでの転売で得た利益も赤字分を埋め合わせるために、クレジットカードの支払いに当てる必要があったのです。

国内の需要に追いついていなくて、フリマサイトなどで高額取引きされている、SONYのPS5本体で赤字を取り戻そうと、転売ビジネスは加熱中!

 先日、SONYから発表された第3四半期(2020年11月のPS5本体の販売開始から12月末までの期間)の報告でのPS5本体の出荷台数は450万台で、PS4の販売開始時期と同じ出荷台数ですが、PS4の販売開始当初は日米のみに対して、PS5は日米欧とマーケットが増えています。
 またPS5はPS4の上位互換機となり、PS4のソフトが使えるため、PS5に対する期待が増大しています。さらにコロナ禍の巣ごもり需要が加熱しています。

 一部方面では、本体の販売台数よりソフトの販売本数が圧倒的に少ないとされており、実は本来使用する消費者の手に渡っておらず、転売目的で本体だけを買い占めや、転売目的在庫を保有している方が多いため、販売方法は転売を防ぐために、1世帯あたり1台という抽選販売方法を継続しています。

品薄状態が継続しているため、「抽選で当選したPS5の本体をメーカー希望小売価格より高額で買い取るから譲って欲しい」、「抽選して当選したら高額で買い取るから、名義貸しで抽選申し込みをして欲しい」などの話が、巷で普通の方からも持ちかけられています。

 SONYは、PS5が当初公表していた販売価格より、現状の製造コストが上回っている状態であることを報告ています。これが出荷台数を計画よりも増加できない要因ですが、技術の進歩で改善されることは時間の問題です。
 その事実の裏付けとなる根拠は、SONYの第4四半期(2021年3月)までのPS5の出荷台数を760万台以上の当初予定を下方修正していないことにあります。

単純にまとめると、メーカーの生産は計画通りに出荷されるので、PS5本体の転売ビジネスは、ニンテンドーSwitchのように、ある日突然破綻するのです。


まとめ

 転売ビジネスは、正式な流通業者と異なり、メーカーの出荷計画を知らずに、一般の個人が取引き価格の情報だけで高額で入手して、突然高額で販売できなくなるリスクを伴います。
 さらに言えば、高額調達した商品が到着する途中で商品が転売できなくなり、価格が暴落する恐れもあります。

 複数の在庫を取引しなければ、商品の本体価格分の利益は発生しません。
 そして、多数の取引をするための資金繰りでクレジットカードを使う事で、失敗すると大きな損害を自己責任で処理する義務があります。

 また、高額で買い取るからと約束していたにもかかわらず、抽選販売に当選した瞬間に品薄状態が終了して、買い取りを断られる可能性もあります。

このような転売ビジネスなどの「簡単にもうかる」話を持ちかけられた場合には、十分注意しましょう。

関連リンク

⚫︎国民生活センター:
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20210210_1.html?ldtag_cl=de7e-hVaTpyQQ5V-eQ3IpQAA_oa

  • 作成:令和3年2月11日
  • 文:能登健
  • 出典元:任天堂、SONY、国民生活センター
  • 絵:いらすとや
能登 健
  • 能登 健
  • オフィスまちかど 代表
    消費者トラブルと、デジタル分野に詳しい、大阪で活躍するファイナンシャルプランナー/消費生活コンサルタント
     
    主にスマホ料金相談事業者として、消費者に寄り添った対応で、利用プランと支払い額の最適化を実施し、余分な支払いを削減している。
    不当な契約があれば解約の上、行政の消費者相談窓口を案内している。
     
    化学プラント設備メーカー、産業用エンジンメーカーの商品開発(防災用発電設備)のプロジェクトリーダー・マネージャーなどを経て、現在に至る。

    社会課題を解決するために、問題と向き合い深掘りし、組織を横断して、時には政府に意見し、さまざまな問題に対応し、解決へ導くことをライフワークとしている。
     
    ファイナンシャルプランナー(国家資格:FP技能士)、消費生活コンサルタント(一般財団法人 日本消費者協会)、情報処理技術者試験 初級システムアドミニストレーター(国家試験)、相続診断士(相続診断協会)、お客様対応専門員(消費者庁後援)、色彩検定2級(文部科学省後援)
    デジタル推進委員(デジタル庁)、食品ロス削減推進サポーター(消費者庁)