【教育の積重ねの振返り】 成年年齢までの教育目的と、生きていくための能力
高校までの教育の目的は、実質的には大学受験のための訓練になっています。
つまり、大学受験で各科目で高得点を取ることに目的を置いており、社会に出てから生きていくために必要とされる能力や教養があまり関連つけされていない事が、学習意欲を妨げたり、余計な時間を費やして大学受験のためだけに暗記をしたりと、青少年の多感な時期に大きな負担となっています。
大学受験のための教育内容が後に役に立つことはありますが、たいていは結果論であり、多くの学生が成年年齢までの多感な時期に、勉学を優先するための合理的な自覚のきっかけにはなりません。
もちろんこれから述べる内容だけをしておけば大丈夫というわけでもなく、さらに高等教育を受けて可能性を伸ばしたいのであれば当然ですが、大学などへ進み専門知識や見聞を広げることは良いことですが、きっかけがなければ受身になり主体的に進むことはできません。
教育基本法の第一条の内容では、「社会の形成者として…」と明記されてますが、実態の学校教育の中で、そのようなことは今までありません。
教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。
教育基本法 第一条
本来であれば、基本の科目を修了すれば、生活の上などの、生きるために必要な知識を総合的に学ぶことが青年年齢までの本来の教育のゴールにであると考えます。
① 確定申告のための税など知識
② 労働トラブルにならないような関連知識
③ 消費者トラブルにならないように契約などの知識
そうする事で生きる方法がわからない若者が減るはずだと思います。
これは私だけではなく、以前より他の方も考えているはずですが、実現されていません。
学校教育は、「生きるための能力」がゴールであるべき
① 確定申告のための税など知識
働く方の多くが経営者側ではなく労働者側になります。確定申告を全ての国民が適正に始めると、還付金などが増えることになり、税収減少や、納税知識が根付くことで、自然と行政サービスや政治に風当たりが強くなります。
そのため国税庁や政府、政治家などは仕事の質を求められるようになるため、あえてしていません。
政府や政治家は自らの立場が低下するようなことは絶対にしません。
ですが、納税は義務ですから本来は知っておかなければならない知識です。
② 労働トラブルにならないような関連知識
多くが労働者になり、日本では多くの労働者がサービス労働などを許容していることがあります。
これは労働を美徳と考える日本独特の風潮がある一方で、紛れもない違法行為になります。
ですが、労働者は立場が弱く職場で労働組合を作ることさえ知り得ないのです。
結果的に事業者側に労働搾取され低賃金での労働を強いられることになります。
これが自己防衛目的で、労働トラブルにならない関連知識を得てしまうと、経団連が困る事が容易に想像できますので、実現しないわけです。
自分自身の生活を守るためには、労働搾取されないように自己防衛するための知識が必要です。
③ 消費者トラブルにならないように契約などの知識
消費者トラブルなどの契約などのノウハウがないが故に、今までは契約書を確認しないで、あいまいに確認したつもりになって契約する日本人が多く、消費者トラブルの原因となっています。
関連知識を得て注意深くなれば、契約や商品購入の際に慎重に検討や事前調査をするようになり、無駄な商品やサービスが軽減され、満足感の得られる買い物の割合が多くなり、生活の中で充実感が得られます。
これは消費者にとっては良い事ですが、事業者側の労働者の立場で考えると、消費者が目が肥えて慎重になると、売り上げが縮小し、企業の業績も工夫をしなければ下がります。
消費者と事業者は相反する内容ですが、無駄な出費のために、余分な労働をするのは本末転倒です。
では、どうすればよいのか? それは教育基本法や学習指導要領が変わるのを待つのではなく、将来を生きていくために自らが①②③を修学の集大成として、社会に出る前に一通り演習などをしておく必要があると考えます。
コロナ禍で、露呈した「生きるための知識」の欠如
コロナ禍で、経営者が支援金や助成金の申請方法がわからないといった話が、行政批判のようにマスコミは印象操作をして報じています。
ですが、経営者は資金繰りなどをしっかりと調整するのが責務であり、そのための金融庁主導の特別支援の融資も早くから開始されていました。
行政はさまざまな方法で告知をしていますが、マスコミの伝え方が悪く、残念ながらその制度などが経営者まで伝わらずに廃業された事業者も少なくはありません。
一方、労働者は雇用調整助成金などで勤務先か休業分の賃金が支払われない場合に、国が補填する制度があり、勤務先ではなく労働者が直接申し込める制度も用意されています。
しかしながら、これもマスコミの伝え方が悪く、その制度を必要としている方には伝わっておらず、生活が難しくなってきている方も多くおられます。
個人事業者などは、銀行の融資または、社会福祉協議会の特別貸付など(免除条件あり)がありますが、これも制度を必要とする方には伝わっていません。
常に利用できる行政サービスを見渡す危機管理意識を持ち、自らの生活に慎重にならなければ、単なる政治批判の責任転嫁で終わります。
しかし、実際は自らが知らなくてはいけなかった知識を得ることを先延ばしにしてきたから、江戸時代末期に黒船が来航して圧倒的な軍事力で開国を迫った来た時のように、コロナが容赦なく来て対応していくことすらできなかった事が多くあったと思います。
本当に必要な「生きるための能力」とは
学校教育などの内容を応用した、ある契約がその時の自分自身に適正であるか、合理的に判断できる能力であると考えます。
そのためには文系だけではなく、数学などの理数系のノウハウは不可欠になりますので、現在の教育の延長の先にあるものは、大学受験での高得点化だけではありません。
このような生きるための能力は特別な資産家でない限り、学習が必要ですがそれらの必要性を感じる大人が少な過ぎるあまり、日本社会が大きく変化を迎えている今、さまざまな部分で今までにない不具合が生じています。
終身雇用は既に過去の話
30歳以上の方に、「将来何歳くらいまで本気で働きますか?」と質問すると、揃って50歳と回答されます。
これは新卒一括採用でその組織に尽くして、50歳までしっかりと働けば、定年年齢までは組織が面倒を見てくれるだろうといった、終身雇用が前提の話です。
トヨタ自動車でさえ終身雇用を続けていけるかわからないと明言してますから、終身雇用を当てにせず人生設計をする事が望ましいと考えます。
日本には大手企業から下請け孫請けなどの中間搾取の商習慣があり、企業ないでも働き盛りの世代が50歳以上の世代を支えている形態が当たり前になっています。
その温床となっているのが外国人技能実習生の制度で、中間搾取がアメリカの国務省から明確に問題視されています。
このように、労働トラブルにならないような知識が少しでもあれば、違反行為を見て見ぬふりや、手を貸すなどはありえないのです。残念ながら多くの国民は知らないが故に、自らの首を絞め、日本の経済の健全な発展を阻害していることを自覚ていません。
また、IT関連の労働者が、過度な中間搾取をされ、さらに待遇も悪く、結果として優秀な人材が育たないばかりでなく、海外や外資系企業に流出し、国力低下を加速させています。
どうすればいいの?
現実問題を、問題であると認識するための知識は、法制度ですので、簡単に身につけられるものです。そして関連知識を体系的に得るためには、便利な国家資格という目標があります。
例えば、次のような資格があり生きるためやトラブル回避の自己防衛に役に立ちます。
① 確定申告などの納税の知識など → ファイナンシャル・プランニング技能士
② 労働トラブルにならないようするための知識 → 衛生管理者
③ 消費者トラブルにならないように契約など、消費者として騙されないための知識 → 消費生活相談員資格など
※上記③の知識が有れば、ICTを利用するにあたって、戸惑う事なく道具を使うように利用できると考えます。
★筆者の個人的な意見ですが、契約の演習問題を、紙媒体、パソコン、タブレット、スマホ、電話などあらゆる形式のものを、毎年社会情勢の変化に合わせて50問を解いて、そこで自分自身に適切な合理的な判断能力を継続して保つ事が効果的で望ましいとも考えています。ですが、今はそのような取り組みを推奨されている団体などはありません。
まとめ
人生とは、成長するにつれてライブイベントがあり、ライフステージが変わります。それらに臨機応変に対応する能力が、自らの力で生きていく能力です。
これらは、基礎的な科目を修了してからではなければ、全ての応用となりますので近道はできません。
変化を面倒がって嫌うことから諦めて、臨機応変に自分のレベルで対応する事が将来につながります。
政府や親や家族が、みなさんのライフプランを考えてくれるわけではありせん。一人ひとりが主役となり主体的に将来のことを考え、「生きるためには?」と考える事が大切なのです。
他人を変えることはできませんが、自分の将来を変えるのは自分自身でできます。
※今回の記事は筆者の個人的な意見ですので、全ての方に参考になるわけではありません。
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- 作成:令和3年7月5日
- 文:能登健
- 画像:いらすとや、ぱくたそ