帰省時には、実家で悪質商法や詐欺について話し合い、未然防止対策を!

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 悪質商法や詐欺は手段を変えて、常に高齢者を狙ってきます。

 現状の手口を知って、その上で被害の未然防止対策をしっかりとできるように、話し合いましょう。

現状の悪質商法や詐欺について理解しておく

 悪質商法や詐欺は、流行に敏感で、相手を騙して経済的な被害を発生させる事を目的にして、常に悪質な手段を変化させる事に余念がありません。

 対抗する法制度は遅れて改正されますが、その先を行く手口や内容を理解していなければ、簡単に被害に遭います。

 現状の手口を理解しておくことで、ある程度の対策ができます。

 最新の情報を軽視して、「昔はこうだった」なんて現状維持が継続している様な茶化したり、ゆうちょうな事を話してると、新しい手口に狙われた時に非日常に引きずりこまれ冷静な判断ができなくなります。そして簡単に被害に遭うのです。

狙われる高齢者

 普段は、「自分は大丈夫」と思っていても、突然の新たな手口で日常から非日常に一転して、慌ててしまい被害に遭って、後で被害に気がついたとしても、普段から「自分は大丈夫」とたかを括っていたことが、周囲に話すことがかえって恥ずかしくなり、ストレスと共に孤立します。

 経済的な被害と精神的なショックで、とても辛い気持ちになり、何もかも憂うつに感じてしまう様になります。

 大きな被害の後はメンタルヘルス疾患になりやすく、周囲の事後の対応も必要なのですが、頑なに被害者本人が意思を曲げなく、家族などの近親者は口論になりやすく特に苦労します。

 人間は高齢化すると、社会との関わりが狭くなり、また時代について行く柔軟性も低下するため、自分の活躍していた時期とのギャップに違和感を感じて、狭いコミュニティで自分本位な思いや言動を繰り返す傾向があります。
 これはどうしても仕方がないことなので、周囲が見守るしかありません。

なぜ悪質な被害が減らないのか

 孤立している高齢者のところに、悪質商法や詐欺のグループが接触して、話し相手から始まり、心の懐に入る様にして、あらゆるものを騙し取ります。
 被害者である高齢者は、話し相手になってもらってた手前、被害を認めようとせず、事実が埋もれてしまっていることが多く、悪質業者や詐欺にとって都合が良いのです。

 実際に全国の消費生活センターや、警察に寄せられる相談や被害の件数は全数ではなく、ほんの氷山の一角です。
 社会的弱者である高齢者は、適切な相談へのアプローチ方法すらわからなく、被害者本人の心の中では、誰にも話せない程の辛い気持ちを溜め込んでいます。

少しでも話しやすい状況を普段から作っておく

 日頃からの地域のコミュニケーションが大切で、コロナ禍であっても井戸端会議的な事を継続しましょう。
 地域の集まりは、社会福祉協議会などが熱心に取り組んでいます。

 その集まりなどで、悪質商法や詐欺の被害未然防止のミニ講座などである程度は意識付けはできますが、ご家族の協力でモニター付きインターフォン防犯機能付き電話機などのハードウェア面での協力が必要です。

大量の騙し取られた財産が闇社会に

 悪質商法や詐欺などで経済搾取された金銭は、表には出ずに資金洗浄され、マネーロンダリングされ追跡が困難なところへ行きます。つまりその取引には課税されていないので、社会悪でしかないのです。
 性善説の時代は終わり、自分自身で正解を見つける自己責任の時代になり、性悪説が世界を覆っていると思っていただいていいでしょう。

 このように表現すると将来は不安だらけですが、対抗する措置は常に議論されて、毎年の様に法改正されています。

日本国憲法の中の解釈

 我が国の基本的人権の中には、消費者基本法で定められている「消費者教育を受ける権利」があります。また憲法第二十九条の財産権では、公共の福祉(納税目的など)以外は何人も侵してはならないとあります。

 悪質商法や詐欺の被害は、財産権の侵害であり、被害の未然防止である消費者教育などは国の責務ですが、被害を抑制するほどの効果を出すには、残念ながらほど遠い状態です。
 したがって、生活の中で必要な、契約や義務および権利を理解に前向きな国民が少なく、くらしの中で消費者教育が浸透していないことが顕著に表れていることが格差社会の要因の一因と考えられています

 くらしの中の家計の収入は労働の対価などで外部からもたらされるものですが、賃金が増えたとしても消費者教育がおざなりになっている現状では、出費も膨らみ厳しい家計の世代がさらに拡大するでしょう。


まとめ

 昨今は将来を見通せないほど、予想が困難な変化の激しい世の中になっており、途方に暮れる国民が多く、あまり好ましい状況ではありません。

 ですが、喫緊の課題である規制時に被害対策をする事は、そんなに難しいものではありません。
 このような些細な成功体験の積み重ねが、次の行動に繋がり、くらしの中の消費者にとってより良い社会に少しずつ変化します。

帰省時に既に被害に遭っている事が分かった時は、慌てずに内容を把握して、行政サービスである消費者ホットライン(全国共通#188)へ連絡し、専門の消費生活相談員に相談して、事後の対応を支援やアドバイスしてもらってください。

参考リンク

  • 作成:令和4年5月3日
  • 文:能登 健
  • 出典元:政府広報オンラインなど
  • 画像:いらすとや
能登 健
  • 能登 健
  • オフィスまちかど 代表
    消費者問題と、デジタル分野に詳しい、大阪で活躍するファイナンシャルプランナー
     
    主にスマホ料金相談事業者として、消費者に寄り添った対応で、利用プランと支払い額の最適化を実施し、余分な支払いを削減している。
    不当な契約があれば解約の上、行政の消費者相談窓口を案内している。
     
    化学プラント設備メーカー、産業用エンジンメーカーの商品開発(防災用発電設備)のプロジェクトリーダー・マネージャーなどを経て、現在に至る。

    社会課題を解決するために、問題と向き合い深掘りし、組織を横断して、時には政府に意見し、さまざまな問題に対応し、解決へ導くことをライフワークとしている。
     
    ファイナンシャルプランナー(国家資格:FP技能士)、情報処理技術者試験 初級システムアドミニストレーター(国家試験)、相続診断士(相続診断協会)、お客様対応専門員(消費者庁後援)、色彩検定2級(文部科学省後援)
    デジタル推進委員(デジタル庁)、食品ロス削減推進サポーター(消費者庁)