【配置薬の訪問内容注意】 配置薬の補充だけのはずが…高額な健康食品を買うはめに!

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配置薬の補充の悪質な事例

 一人暮らしの高齢(70歳代)女性は、20年以上前から配置薬を使用し、約3カ月ごとに訪問を受けていました。先日、今までとは別の担当者が来られました。
 常備薬の補充の後、1瓶約4万円もするサプリメントの勧誘を受け、断っても「10回払いにすればいい」と言われ、配置薬補充代金とは別に、約3千円を集金されたようです。

↑国民生活センター[2020年11月17日:公表]「配置薬の補充だけのはずが…高額な健康食品を買うはめに」
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被害の未然防止のポイント

配置薬を補充する定期訪問の際に、高額な健康食品を勧誘されたという相談が寄せられています。不要なら、きっぱりと断りましょう。
できれば一人で対応せず、家族など周りの人に同席してもらいましょう。

家族など周りの人は、高齢者の家に頻繁に訪問してくる人がいないか、家の中に多量の未開封の品物や不明な契約書がないかなど、日ごろから気を配りましょう。

筆者の体験談

 筆者が日中の在宅時に、大手の配置薬会社の訪問販売員がインターフォンを押して訪れたので、「営業ですか?」と質問したところ、「説明させてください。」と返事をされたので、「最初に、特定商取引法の勧誘に先立って勧誘の目的や氏名等の明示でしょ、アプローチの方法が間違ってます。警察を呼びますからそこにいてください。」と訪問販売員に伝えたところ、「申し訳ございませんでした!」と言ってその場を去っていきました。

 大手の配置薬の訪問販売員であっても、法規制を理解している上で法令遵守よりも自らの利益を優先して、法規制を守らず、言葉巧みに勧誘しようする場合が散見されています
 特に高齢者の在宅時は、判断力が衰えていることに付け込んで言葉巧みに高額な勧誘をする場合が多く、後に消費者トラブルとなり、国民生活センターでは注意喚起をしています。

関連法令

第2節(訪問販売)関係
1 法第3条(氏名等の明示)関係

(1) 「勧誘に先立つて」の解釈について 商品若しくは権利の販売又は役務の提供の目的で、契約締結のための勧誘行為を始めるに先立って、の意味である。

 ここでいう「勧誘行為を始めるに先立つて」とは、相手方が勧誘を受けるか拒否するかを判断する最初の重要な機会を確保できる時点と解することとなり、少なくとも勧誘があったとい える「顧客の契約締結の意思の形成に影響を与える行為」を開始する前に所定の事項につき、 告げなければならない

 具体的には、個々のケース毎に判断すべきであるが、住居訪問販売の場合であれば、基本的 に、インターホンで開口一番で告げなければならず、またキャッチセールス又はアポイントメ ントセールスの場合においては、当初から勧誘行為が始められる場合が多いことから、基本的 に、呼び止めたり、電話をかけるなど相手方と接触した際に告げることとなる。


(2) 「氏名又は名称」について 個人事業者の場合は、戸籍上の氏名又は商業登記簿に記載された商号、法人にあっては、登記簿上の名称であることを要する。

 例えば、会社の販売員が訪問した場合に当該販売員の氏名のみを告げることや、正規の名称が「(株)××商事」であるにもかかわらず、「○○公団住宅セ ンター」や「○○アカデミー」等の架空の名称や通称のみを告げることは、本号にいう「氏名 又は名称」を告げたことにはならない


(3) 「売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をする目的である旨」について具体的な告げ方としては、以下のような例が考えられる。

○「本日は、弊社の健康布団をお勧めにまいりました。」

○「水道管の無料点検にまいりました。損傷等があった場合には、有料になりますが、修理工事をおすすめしております。」


(4) 「商品若しくは権利又は役務の種類」について、例えば「化粧品」等商品等の具体的イメージがわかるものでなくてはならない。他方、個々の商品等の名前までを告げる必要はない。


(5) 「明らかにしなければならない」について 明示の方法は、書面でも、口頭でもよいが、相手方に確実に伝わる程度に明らかにしなければならない。特に身分証明書等を携帯提示することを法律上義務付けているわけではないが、 できる限り身分証明書等(例えば公益社団法人日本訪問販売協会又はその会員の発行する「JD SA 認定教育登録証」)を携帯提示するよう指導されたい。


(6) 上記を踏まえ、例えば、消費者の家を訪問して開口一番に住宅リフォームの勧誘をする目的 であることを告げずに、「近くで工事をやっているので、ついでに御宅の屋根を点検してあげ ましょう。」、「排水管の点検に来ました。」、「以前施工をした業者からメンテナンスを引 き継いだので、挨拶に伺いました。」等と告げて点検等を行った後に住宅リフォームを勧誘す る場合や、「排水管の清掃をしませんか。」等と排水管の清掃のみ勧誘して清掃を行った後に、 「高圧で清掃を行ったため、排水管に亀裂等がないか点検するために床下を見せて欲しい。」 などと告げて床下を点検し、その結果床下リフォームを勧誘する場合は本条違反に該当する。

【通達】(令和2年3月31日付け) 特定商取引に関する法律等の施行について

まとめ

 以前から継続して利用している訪問サービスであっても、常に絶対に安心とは限りません。
 怪しいと感じた場合は、すぐに契約せずに一旦回答を保留して、周囲の方などに相談しましょう。

 困ったときは、消費者ホットライン(局番なしの188)ご相談ください。
 家族や周りの方が相談する場合は、できるだけ本人から詳しく話を聞きましょう。

  • 作成:令和2年11月20日
  • 文:能登 健
  • 出典元:国民生活センター
  • 絵:いらすとや
能登 健
  • 能登 健
  • オフィスまちかど 代表
    大阪で活躍する消費者問題と、デジタル分野に詳しいファイナンシャルプランナー
     
    主にスマホ乗換相談事業者として、消費者に寄り添った対応で、利用プランと支払い額の最適化を実施し、余分な支払いを削減している。
     
    化学プラント設備メーカー、産業用エンジンメーカーの商品開発(防災用発電設備)のプロジェクトリーダー・マネージャーなどを経て、現在に至る。
    課題を解決するために、問題を深掘りし、組織を横断して、さまざまな問題に対応し、解決へ導くことをライフワークとしている。
     
    ファイナンシャルプランナー(国家資格:FP技能士)、情報処理技術者試験 初級システムアドミニストレーター(国家試験)、相続診断士(相続診断協会)、お客様対応専門員(消費者庁後援)、色彩検定2級(文部科学省後援)
    デジタル推進委員(デジタル庁)、食品ロス削減推進サポーター(消費者庁)