【通信契約の法的義務】 スマホ本体の分割支払い中でも、他社へ通信契約が乗り換え可能! 通信契約の有無に関わらず単独購入も可能!

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スマホの分離支払い中でも、通信契約だけを他社へ乗り換えることが可能!

 スマートフォンの販売方法が、通信会社(携帯電話事業者)の販売代理店が独占状態から、販売経路が増えていく中で、令和元(2019)年10月に法改正で通信契約と端末購入は別契約になりました。

 すなわち、①通信契約の有無に関係なく単独で端末購入が可能になり、②端末購入しなくても通信契約が可能であり、さらに③端末代金の分割払い期間中であっても、通信契約は他社へ変更可能になり、しばらく経過しました。

 また、端末代金の支払い期間中に、他社へ転出することで、“端末代金の支払額が増額するなどの行き過ぎた囲い込み”が禁止されていますので、消費者からの申し出により、他社に容易に転出が可能です。

 現在では、大手通信会社がオンライン契約専用プランなどを出しており、大手通信会社の2年前での契約プランより好条件で低価格になっています

 消費者が容易に転出可能なように法改正済みですが、販売代理店ではそれを見越して、高額なスマホの購入に対して調べようしない消費者に付け込み、他社への転出が困難なように独自に変更を加えたAndroidスマートフォンの購入を勧めている実態があります。

 Apple社のiPhoneシリーズで有れば、他社の通信契約が使えるようにSIMロックを解除すれば何も問題ありません

 Androidスマートフォンの場合は、販売代理店で取り扱っているモデルは、通信会社が自社の通信サービスのみ動作するように設定変更をメーカーに依頼したものを販売している製品があるので、SIMロックを解除したとしても、他社が利用している電波が使用できないなど、実態はその通信会社の専用機種となっています。
 その様な消費者に対する“不利益な事実”を、販売代理店はスマホ販売時に消費者へ説明することはほぼありません。※“不利益事実の不告知”は電気通信事業法で禁止されており、適合性の原則に基づいた説明義務があります。

 例えば世界中で販売されている機種(XperiaやGALAXYなど)で同じ名称の機種であっても、独自の仕様変更がされているので、他社の電波を受信できないのでSIMロックを解除したとしても、他社での利用には制限が発生し、消費者の自由な契約を阻害しています。

販売代理店で通信契約のない場合は、スマホ本体の販売は拒否していた事例が多く、行政指導に!

 以前から政府(総務省)は、消費者の利便性を図り、通信会社間の乗り換えを容易にする事で、公正な価格競争になることを目的として、法改正をしてきましたが、KDDI(au、UQ)とソフトバンク(ワイモバイルを含む)は、SIMロックの解除などの説明や取り組みに積極的ではなく、消費者が購入後に不利益が発生する仕組みを継続しています。

 総務省の調査では、大手通信会社3社が法令に違反して、通信契約がない端末購入だけを販売拒否していたことが公表され、令和3年5月25日に行政指導による是正要請がされました。

 販売代理店は売上目標を優先して、消費者の意に反した高額なプランなどへの違法な勧誘行為が総務省の調査でも明らかになりました。

 多くの販売代理店は今もなお、契約内容や利用実態に関して理解が追いついていない消費者の弱みに付け込み、不実告知や不利益事実の不告知、適合性の原則から逸脱した勧誘や説明及び契約をしています。

 総務省は本日、株式会社NTTドコモ(代表取締役社長 井伊 基之)、KDDI株式会社(代表取締役社長 髙橋 誠)及びソフトバンク株式会社(代表取締役社長執行役員兼CEO 宮川 潤一)並びに一般社団法人全国携帯電話販売代理店協会(会長 金治 伸隆)に対して、携帯電話の販売代理店の業務の適正性確保に向けた指導等の措置を改めて実施するよう要請を行いました。

 全国に約8,000ある大手携帯電話事業者の店舗(いわゆる「キャリアショップ」※)は、携帯電話サービスの契約やアフターサービスを扱う利用者にとって最も身近な窓口となっています。

※携帯電話事業者の直営店もあるが、その大半は販売代理店が運営。

 特に、携帯電話事業者は様々な料金プランやオプションを提供していることから、利用者が自らのニーズに合った内容の契約を選択することは容易ではありません。このため、利用者が対面で説明やサポート等を受けることができるキャリアショップの果たす役割は大きいものとなっています。

 しかし、総務省の調査(本年4月26日公表)では、主に次の結果が得られました。

⚫︎キャリアショップ店員向けのアンケートで、回答者の4割超が利用者のニーズ等を丁寧に確認せずに上位の料金プランを勧誘したことがあると回答。

⚫︎そのうち4割超が携帯電話事業者の営業目標をこうした勧誘の要因として指摘。

⚫︎覆面調査で、相当程度の販売代理店において、電気通信事業法(昭和59年法律第86号)第27条の3に基づく規律の趣旨に反する端末販売拒否を確認。

 キャリアショップにおいてこのような不適切な行為が行われた場合、利用者利益の保護や公正な競争の促進に著しい支障を来すおそれがあります。

 このため、本日、総務省では、株式会社NTTドコモ、KDDI株式会社及びソフトバンク株式会社に対して、それぞれの販売代理店において上記のような行為が行われないよう、指導等の措置を改めて徹底するよう要請を行うとともに、一般社団法人全国携帯電話販売代理店協会に対して、加盟各社への周知等を行うよう要請を行いました。

 なお、携帯電話事業者と販売代理店との関係については、「消費者保護ルールの在り方に関する検討会」(座長:新美育文 明治大学法学部名誉教授)及び「電気通信市場検証会議 競争ルールの検証に関するWG」(主査:新美育文 明治大学法学部名誉教授)においても検討が進められているところであり、総務省では、その結論も踏まえ、公正取引委員会や消費者庁とも連携しつつ、モバイル市場における利用者利益の保護や公正な競争の促進のために必要な取組を進めてまいります。

総務省 販売代理店の業務の適正性確保に向けた指導等の措置の実施に係る要請 令和3年5月25日

通信会社(携帯電話事業者)は、販売代理店の高額プラン高成約率を重点項目とし、消費者を無視した成果を評価基準とする場合も!

 その背景には、通信会社と販売代理店との関係で、さまざまな課題があることが令和3年6月10日の公正取引委員会の調査報告書で指摘されています。
 その大きな問題として、通信会社が販売代理店に対して行なっている評価制度、携帯電話端末の販売価格の設定方法が、独占禁止法上問題となるおそれがあると報告しています。

 販売代理店のスタッフからの高額なプランの勧誘や契約、スマホ本体の販売方法などで行き過ぎた囲い込みは、消費者よりも通信会社への評価を重視して、販売代理店が利益を得るための手段になっており、結果的に被害が消費者に及んでいる現状があります。

 このビジネスモデルは、マルチ商法(連鎖販売取引)に似ており、表向きは普通のビジネスに見せて、上からの評価基準のために消費者の脆弱性に付け込みあざむいて、必要の無いモノやサービスを不適切に契約させ、不法行為による加害者と被害者が発生しています。
 このビジネスモデルのトップである通信会社(携帯電話事業者)は、末端の販売代理店に対して、評価基準の中で、消費者をあざむくような不法行為を指示していないので、末端の販売代理店のスタッフの判断で不法行為に及んでいたことになります。
 但し一部の通信会社(携帯電話事業者)の誇大広告などは、不法行為ありきで組織的に消費者の脆弱性に付け込みあざむいていたと思わざるをえません。

消費者が、自らの契約などの支払いに理解を深めるために

 そのため、スマートフォンを中心とした通信サービスに関連する消費者トラブルの相談件数は、他の分野より突出して多く、通信関連契約の理解度による情報格差が問題になっていることから、総務省は携帯電話ポータルサイトにて、公正な情報を配信するようになりました。

それでも、多くの消費者は、自分自身の生活に密着したスマホの支払い内容に積極的な関心を持たず、自ら調べることすらせず、なんとなく納得しない契約を締結している、あるいはさせられているのが現状です。

 少し理解することで、妥協せず年間で数万円の節約になるので有れば、契約者である消費者が最も利益を受けることになります。ですが、多くの消費者が販売代理店で騙された経験から、自分自身の理解への自信を喪失して、「難しい」、「面倒」と苦手意識を理由に改善へ向かい合ってない事が社会問題になっています。


まとめ

 端末代金支払いと、通信契約を分離が法的義務であることを認識して、自分自身が生活費の見直しで中長期の生活費の節約が可能であることを理解することから始めていかなければなりません。
 スマホのように自分自身の生活スタイルに密接な内容を、他人任せではいつまで経っても適正化ができなく、ある程度の支払いの無駄が発生します。

 調べることで、契約した時の料金プランより通信料金がかなり低価格化されていることがわかり、高額な支払いを軽減できることがあります。収入を増やすことよりも、支出を減らすことに向き合うことが現実的です。

参考リンク

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  • 作成:令和3年6月19日
  • 文:能登健
  • 出典元:総務省、公正取引委員会
  • 画像:いらすとや、ぱくたそ

能登 健
  • 能登 健
  • オフィスまちかど 代表
    大阪で活躍する消費者問題と、デジタル分野に詳しいファイナンシャルプランナー
     
    主にスマホ乗換相談事業者として、消費者に寄り添った対応で、利用プランと支払い額の最適化を実施し、余分な支払いを削減している。
     
    化学プラント設備メーカー、産業用エンジンメーカーの商品開発(防災用発電設備)のプロジェクトリーダー・マネージャーなどを経て、現在に至る。
    課題を解決するために、問題を深掘りし、組織を横断して、さまざまな問題に対応し、解決へ導くことをライフワークとしている。
     
    ファイナンシャルプランナー(国家資格:FP技能士)、情報処理技術者試験 初級システムアドミニストレーター(国家試験)、相続診断士(相続診断協会)、お客様対応専門員(消費者庁後援)、色彩検定2級(文部科学省後援)
    デジタル推進委員(デジタル庁)、食品ロス削減推進サポーター(消費者庁)