有権者の公平で公正な権利を守るために… 大阪市の住民投票の禁止行為をご存知ですか?

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 インターネットを使った活動ができるようになりましたが、ルールもなく自由というわけではありません。禁止行為は、選挙には公職選挙法にて規定され、住民投票は自治体の条例にて規定されています。
 住民投票の賛成や反対を得る目的とした、投票活動の禁止行為があるのをご存知でしょうか?
 日本は民主主義の国家であり、住民投票は有権者の意思を反映するための手段として、公平で公正に行わなければなりません
 大阪市の住民投票の禁止行為を大阪市選挙管理委員会のウェブサイトから引用しております。

 投票活動はある一定の条件と範囲で認められている活動で、全てが自由ではありません。
 有権者は公平で公正な情報を得て、自己判断し投票(投票した内容を秘密にする)する権利があります。

 社会通念上の良識の節度を超えた投票運動をすることは、公正な選挙のあるべき姿から逸脱しており、禁止行為が含まれています。
 特に前回の住民投票で散見された、署名運動は、明確な違法行為です。関係法令を理解した上で、一人ひとりが主役となり、住民投票に参加しましょう
 事例を含めて、代表的なルールをいくつか紹介します。


インターネットを利用した選挙活動の失敗事例

 残念な例としては、ルール(法令)を理解していない個人事業主が自身の店舗のSNSにて特定の政党を批判し、それを見た反対陣営の活動員が、その方がルールにルーズな事を利用して、シェアしたり、その店舗に集まるようになり、自身が店舗で築き上げてきた店舗の雰囲気や方向性や常連客に関係のない政治活動の踏み台に利用される事がありました。
 店舗や個人事業主は、その政党や団体と関わりが深いと周囲から思われるようになり、地元や馴染みの客の足が遠のき、事業継続が困難になりました。

 SNSの活動においても、一定の制限がありますので違法行為とならないように、情報発信する際は、ルール(法令)を理解してからしましょう。


戸別訪問の禁止

住民投票に関して、賛成または反対の投票を得ることを目的として、戸別に有権者の家や会社、工場などを訪問すること

大阪市選挙管理委員会

 散見されるのが賛成または反対の投票をお願いする職場や自宅などの訪問ですが、これは大阪市の住民投票では禁止行為にあたります。
 また依頼を受けても、民主主義の原則として、住民投票は公平で公正なものですので、依頼に関係なく、投票は自身の意思にて選挙権を行使することになります。

↑戸別訪問や18歳未満への投票運動は禁止されています。

 強引な複数回の勧誘で、投票依頼をした事にてイメージが悪くなり、依頼通りに投票しなくなるケースが多いようです。
 仮に禁止行為でなかったとしても、勧誘目的で複数回の訪問があると、人間関係に影響が発生する懸念があります。


署名活動の禁止

住民投票に関して、賛成または反対の投票を得ることを目的として、有権者に対して署名運動をすること

大阪市選挙管理委員会
↑選挙に関する署名運動は違法です。違反行為には協力してはいけません。

 賛成または反対を目的とする署名の活動や、賛成または反対を目的とする会の会員募集に名をかりて有権者に署名を求めるなど、投票を得ることを目的として、有権者に対して署名運動をすることは禁止されています。
 厳しく禁止されているにも関わらず、条例を違反してまでも投票を得たい団体や利害関係者が公然と存在するのは事実です。
 これは、無知な有権者に対して個人情報を署名した事で、投票義務が発生すると思い込む心理につけ込んだ悪質な違反行為です。
 また署名した事で、◯◯さんも応援してくれていると、事実上の「名前を貸す」ことになり、後の評価に影響します。
 また選挙活動として禁止されている戸別訪問や子連れの場合は、未成年の選挙活動など、違反事項が重なります。

↑選挙になると普段関わりのない方から署名依頼が来ますが、シンプルにハッキリと断りましょう。

 そのような、ルールにルーズな方々からの署名を求められた場合は違法行為に関わらないために、「既に意思は固まっていますので辞退します!」など、シンプルにハッキリと断りましょう。


連呼行為の禁止

投票運動のため街頭演説及び演説会場の場所以外で短い言葉を短時間内に反復して言うこと

大阪市選挙管理委員会

 したがって、街宣車や自転車、歩行者などあらゆる手段が、投票運動のために、定められた場所以外での短い言葉を短時間内に反復して、連呼することは禁止されています。

↑選挙の結果に影響する内容を公然と連呼行為が散見されていますが、全て禁止行為です。ルールにルーズな人とは程よい距離感を保ちましょう。

 移動しながらの連呼行為などは、禁止行為の疑いが高いため、関わらないようにしましょう。
 また、迷惑な連呼行為に遭遇した場合は、違反をやめさせるためにも、スマートフォンで動画撮影するなどの記録を残して、警察に相談しましょう。


人気投票の公表の禁止

住民投票に関し、賛否を予想する人気投票の経過、または結果を公表すること

大阪市選挙管理委員会

 すなわち、街頭演説、演説会場、チラシ、インターネット、SNSなどで、住民投票に関し、賛否の結果を予想する人気投票の途中経過や、中間結果を公表することは、禁止されています。
 「◯◯さんが賛成又は反対だから、投票結果の途中経過は…」、「大阪市が◯◯◯になると困る住民アンケート結果がこちらです」などの公表は禁止行為に該当します。

↑人気投票を、賛成又は反対に投票を得る目的で公表すると禁止行為になります。したがって全てがフェイク記事扱いとなります。

 人気投票を、賛成又は反対に投票を得る目的で公表すると、禁止行為になります。
 したがって、賛否に関わる市民のアンケート結果などの公表内容が、全て禁止行為となります。


飲食物の提供の禁止

投票運動に関して、湯茶及びこれに伴い日常用いられている程度の菓子以外の飲食物を提供したり差し入れたりすること

大阪市選挙管理委員会

 これは、わかりやすいですが、あえて禁止していなければ、恩をうって投票を得る行為に歯止めがかかりません。したがって、禁止されています。

↑投票運動に関しての飲食物の提供は、ハッキリと断りましょう。

気勢を張る行為の禁止

投票運動のため自動車を連ねたり、隊列を組んで往来するなど気勢を張ること

大阪市選挙管理委員会

 賛成又は反対の投票を集める目的で、注目を集めるべく派手な行為など、駅前などで複数人で意気込んだ気持ちを表現するような、常軌を逸した行為をすることは、禁止となります。

↑投票運動のための気勢を張る行為は禁止されてます。

 グレー部分が多い要素ですが、良識ある範囲内で、節度を持って、周囲に迷惑をかけないこととが社会行為では大前提です。
 表現の自由の権利が、他の権利を侵害して迷惑行為になる場合があるため、禁止行為となっています。


特定の建物及び施設における演説及び連呼行為の禁止

公共の建物、電車・バス等の中や停車場、病院その他の療養施設で投票運動のための演説及び連呼行為を行うこと

大阪市選挙管理委員会

 投票運動の目的で公共機関(駅敷地内、公共機関の中などや、病院や療養施設などの施設内にて、投票運動ための演説及び連呼行為の禁止行為です。すなわち移動しながらの連呼行為含め、公共機関や医療施設の利用者に向けての演説や連呼行為は禁止行為となる場合があります。

↑周囲に配慮した投票運動のための演説や連呼行為をしましょう。

 移動手段である公共機関は、投票運動より、マナーが優先され、医療機関などでは、投票運動より療養が最優先されます。
 社会通念上の配慮で、当然のことですが、投票を得たいがために、目的を優先しがちなります。

 監視カメラやスマートフォンのカメラがありますので、迷惑な場合は撮影されていると考えておいてください。


夜間の街頭演説の禁止

午後8時から翌日午前8時までの間に街頭演説を行うこと

大阪市選挙管理委員会

 街頭演説や街宣車での演説は、時間が規定されています。時間外の街頭演説は禁止されています。

↑街宣車を含め、夜間から早朝の街頭演説は禁止行為です。

 街頭演説の時間が規定されていなければ、夜間に騒音で睡眠できませんよね。
 これはみなさんご存知だと思います。


買収の禁止

賛成又は反対の投票を得る目的やそれを妨害する目的で有権者や投票運動員に金銭や物品を与えたり、供応接待をすること
(投票運動を行う人に報酬を支払うことは買収になります)

大阪市選挙管理委員会
↑買収が禁止なのはご存知ですよね。

 大阪市の住民投票では、投票運動を行う投票運動員にも報酬を支払うと買収になります。
 よくある投票運動員やウグイス嬢への報酬への支払いは、禁止行為に該当するのです。

 買収は禁止行為であることは、みなさんよくご存知だと思います。
 大阪市の住民投票では、運動員への報酬の支払いも禁止行為に該当します。


悪質な誹謗中傷行為の禁止

公然と事実を明らかにし、人の名誉を毀損した者は処罰されます。

刑法 第230条第1項

事実を明らかにせずとも、公然と人を侮辱した者は侮辱罪 により処罰されます。

刑法 第231条

 過去にとある政党の関係者であって、人の名誉や評判をおとしめる目的で事実を明らかにして、不特定多数の方々が知り得るインターネットのSNSなどや、店舗や施設などで誹謗中傷行為は、刑法により処罰されます。
 また、賛成または反対の投票活動をしている人を、不特定多数の方々が知り得るインターネットのSNSなどや、店舗や施設などで侮辱する行為は、刑法により処罰されます。

↑名誉毀損や侮辱は犯罪です。

 元関係者が暴露話などをしたり、特定の人物への誹謗中傷、侮辱は、大阪市の住民投票ではなく、刑法により処罰されます。


まとめ

 選挙や投票には違反行為に横行しており、情報操作に振り回されているのが有権者ですが、選挙権を行使するにあたり最低でも関係法令を理解しておく有権者としての責任があります。
 何も知らなければ騙されるのが選挙です。

 有権者は一人ひとりが自由意志にて投票する権利が憲法で保障されています。有権者一人ひとりが主役となり投票の意義を考え、権利行使を自覚することが本来あるべき姿です。

 また、選挙違反と思われる行為をされてる方には、関わらないようにしましょう。

参考リンク

  • 作成:令和2年9月4日
  • 更新:令和2年9月14日
  • 文:能登 健
  • 出典元:大阪市選挙管理委員会
  • 絵:いらすとや
能登 健
  • 能登 健
  • オフィスまちかど 代表
    消費者問題と、デジタル分野に詳しい、大阪で活躍するファイナンシャルプランナー
     
    主にスマホ料金相談事業者として、消費者に寄り添った対応で、利用プランと支払い額の最適化を実施し、余分な支払いを削減している。
    不当な契約があれば解約の上、行政の消費者相談窓口を案内している。
     
    化学プラント設備メーカー、産業用エンジンメーカーの商品開発(防災用発電設備)のプロジェクトリーダー・マネージャーなどを経て、現在に至る。

    社会課題を解決するために、問題と向き合い深掘りし、組織を横断して、時には政府に意見し、さまざまな問題に対応し、解決へ導くことをライフワークとしている。
     
    ファイナンシャルプランナー(国家資格:FP技能士)、情報処理技術者試験 初級システムアドミニストレーター(国家試験)、相続診断士(相続診断協会)、お客様対応専門員(消費者庁後援)、色彩検定2級(文部科学省後援)
    デジタル推進委員(デジタル庁)、食品ロス削減推進サポーター(消費者庁)