【高額絵画勧誘トラブル】 「投資、希少、限定、絵のある生活」などの勧誘に注意!
最近、絵画の展覧会に行ったのよ!
ていないな説明を聞いて、とても感動したわ!


そうなんですか、ステキですね。
私も行ってみたいので、どこで開催されてるのか教えてもらえませんか?
それは、展示会というか広告でみたのよ。
数日間だけの開催で、すでに終わっちゃったのよ。


そうなんですね。
そして、誰の絵画だったのですか?
それが近代画家の印象派で、とても貴重なのよ。
絵画の投資って、知ってる?
貴重な絵画のエディションナンバーがある複製版画は、美術品として価値があって、値上がりする場合があるのよ。
いくらになってるのか調べてみてよ!


え?
ユキリン、それって、もしかして、エウリアンじゃ…
展示会と称して広告などをして人を集めて、実際は絵画のシルクスクリーンの複製版画を高額で購入契約させるための、セールストークですよ。
他にも「絵のある生活ってステキですよ!」とか言われませんでしたか?
アレレ?
どうしてその会話を知ってるの?
あたしはまだ話して無かったよね?
もしかして、あたし騙されたの?
価値が上がるって言われたのよ!


価値が上がるからって、美術品を購入するのは動機が不純ですけど、その話は以前からよくあった絵画商法です。
強引でひつこい勧誘が有名で、高額被害が多く、ネット上ではエウリアンと揶揄されていますね。
そうなの?
でも、その絵を自宅に飾って気に入ったし、どうしようかな?
騙されたのなら、取消しってできるの?


できるかどうか確実なことは言えませんが、展示会と称して誘い出して、実際は高額な販売契約が目的だったのですから、特定商取引に該当しますね。クーリングオフができる場合があります。
消費者契約法の不実告知、不利益事実の不告知、退去妨害などで契約そのものが無効取消に該当するかもしれないから、このような消費者トラブルは消費者ホットライン(局番なしの188)へ相談してみてくださいね。
わかったわ。
いつもありがとう。

筆者の暮らす大阪市内では、日本橋界隈で数年前まで、若い女性が通行人に「絵画に興味ありませんか?」と、通行人に次々と声をかけて絵画の展示場へ案内する強引なキャッチセールス被害が多発していました。
現在では場所を変えて同様の手法で事業を継続しています。
キャッチセールスとクーリングオフ
そもそもキャッチセールスは、消費者が興味がない状態に対して不意打ち的に勧誘するため、特定商取引法では厳しく規制されており、違反した事業者に対して行政処分や刑事罰が課せられる場合があります。
特定商取引法ではクーリングオフ期間が定められており、期間内であれば無理由、無条件で契約を無効にできます。
クーリングオフは無理由・無条件で利用可能
特定商取引法のクーリングオフとは、消費者が事業者から不意打ちで勧誘されて契約したが、冷静になって考えてみたら必要がなかったとわかり契約を無効、すなわち最初から無かったことに出来るのです。
クーリングオフは事業者に対して消費者が通知すれば完了するため、消費者がクーリングオフをしたい旨の内容の郵便物等を事業者宛へ特定記録などで差し出した時点で完了となります。
商品が届いてからと勘違いされる場合が多いですが、クーリングオフは契約書面交付後から起算しますので、契約書面が交付されなければ起算が始まりません。
契約書面が交付されない場合は、すぐにクーリングオフが可能です。ですが契約書面を交付しない悪質な事業者の可能性が高いので、その場合は消費者ホットラインへ相談しましょう。
高額な絵画の契約トラブルの現状
絵画などの販売契約が目的であることを隠して、絵画のある店舗内へ案内して、少し会話をしてから担当者と個室で購入契約の動機を形成するための勧誘や説得を長時間にわたり実施して、購入契約をするまでは帰りたくても帰してくれない退去妨害などが行われています。
中には高額であるにもかかわらず絵画などの知識を十分にないまま、勧誘や分割払いの提案を受けて、ついその気になって購入契約をする方が少なくありません。
特に20〜30歳代の人が狙われやすく、契約金額も高額(50万〜150万円程度が多い)のため、ほとんどの人がクレジット契約で分割払いでの購入をしています。
絵画の展示会等の勧誘やキャッチセールスでよくあるトラブル
- 路上でつきまといや通行妨害などの節度を超えたキャッチセールスをして、ひつこく勧誘される。
- 別の路上等で展示会等の無料招待チラシを渡され、消費者に事業者の名称や明確な目的の説明のない状態で展示会場等へ誘導される。
- 世界中で、絵は投資対象になっていて、値上がりが期待できると、オリジナルと複製版画を混同して、今後はさらに価格が上がるような説明をされ、購入動機の形成に働きかける。
- エディションナンバーの記入がある数量限定の販売なので、希少だから高額だと説明される。
- 今回は、特別に額縁は無料サービスで付属しますとお得感を訴求して購入動機に働きかける。
- 普段なら値引きはしていないが、お客様だけ特別に今回限りの特別価格と提案される。
- 最長の分割払いのプランで、月額数万円だけで絵のあるステキな生活に変わると説得される。
- 有料の友の会に入会するように勧められて、個人情報を記載してしまい、電話やダイレクトメールで展示会等の案内の連絡で、断っても何度も継続的に勧誘される。
これらは、全て特定商取引法で禁止されている行為です。
契約は慎重に
絵画は、一般の消費者にはその場で価値を見抜くことが難しい商品といえるでしょう。
販売されているのは、絵画の原画ではなくシルクスクリーンの複製版画です。
楽天市場など複数の事業者が流通させている所で取引されている価格を調べると、相場の数倍から十倍以上の価格で勧誘されていたことがわかります。
購入契約した方の中には、騙されていることに気が付かず、購入した複製版画の価格が上がるのを待っていて、悪質商法の被害にあった現実を受け入れない方もおられます。
まとめ
絵画の展示会のほとんど手法は、複数の違反行為に抵触するものです。
テレビや新聞、ネットの広告であったからといって、そこが悪質な業者かどうかは判定できません。
実際に、テレビCMの広告を使い、交通アクセスの良い都心の中心部の有名な場所で開催されることが多くあります。
消費者一人ひとりが調べることをおこたる事を狙って、勧誘で成り立つ悪質商法なのです。
本当に今必要なのか、支払いは可能なのか等を考えるほか、商品知識のある人に相談したり、美術専門誌を調べ、楽天市場などで市場価値を確かめてから慎重に契約することをお勧めします。
その場の雰囲気で高額なものを買うことは大変危険です。しつこい勧誘には、はっきり断る勇気をもちましょう。
それでも勧誘が断れない、勧誘が継続するは場合は、面倒がらずに消費者ホットライン(局番なしの188)へ相談しましょう。
参考リンク
- 消費者庁 特定商取引法ガイド:
https://www.no-trouble.caa.go.jp
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- 作成:令和3年4月30日
- 文:能登健
- 出典元:消費者庁
- 画像:いらすとや、ぱくたそ